2011年4月19日火曜日

ずぼら人間、てんぷら粉でパンを焼く

てんぷら粉でパン??




またまたー、ご冗談ばっかりー!



って、思いました? いいえ、本当なんです。



でも、本題に入る前に。



Supernatural シーズン6の第17話。



ちょこっとだけ、感想とまではいかない、気になるシーンの覚書を(一応ネタバレ警戒のため、文字を伏せます)



兄弟がボビーに電話で「沈まなかったタイタニック号」のことを報告していたシーン。


ベッドに並んで座ったSam&Deanの姿もちょっと珍しい(いつもだったらそれぞれ自分のベッドに座って合い向かいで話したりするイメージ)と思っていたら、ボビーとの電話を終えた瞬間、Samがさらに大胆にDeanににじり寄ったじゃない!と、ドキッとしたシーンがありました。


またきっと私の妄想による脳内での拡大演出の賜物かな…と思いつつ、恐る恐るそのシーンをリプレイしてみると、(現実はやっぱりほーんのちょこっとではあったものの)Samったら、本当に、Deanに近寄ってましたよね! 狭いベッドの上で、大きなSammyさんとほとんど膝がくっついたような状態で寄り添って座っていても、Deanは全然居心地悪そうじゃなくて自然体といった感じで、やっぱり魂の戻った夫の隣だとここまで気持ちが許せちゃうってことなの?



と思った私だったのでした。





***




さて、パンを焼いた話に戻ります。


幸いにも、この度の東日本大震災において目に見える被害がほとんどなかった、北関東の田舎町で暮らし、

さらに何事も 「喉元すぎればなんとやら…」 的な能天気&大雑把性格の人間の集団である我が家ではあるのですが、

震災直後、関東各地(全国的な現象だったのでしょうか?)で突発的に起こった例にもれず、スーパーやコンビニなどの棚がガラガラになってしまったり、

家の近くのガソリンスタンドに行列する車の列が、800mくらいは離れていると思う我が家の前からさらに先の方まで、午前6時頃から午前中一杯くらいまで延々繋がっている、なんていう、

いかにもな非常事態的光景を日々現実として目の当たりにせざるを得なかった上に、

毎日なかなか時間帯もはっきりとわからない計画停電に備えなければならなかった、一週間から十日ほど(二週間くらいでしたっけ?)は、さすがに精神的にちょっと消耗していたところもありました。



実際、上記のような非常事態の間も、

我が家ではここ数年、玄米の状態のお米を30kg単位で買うという流れが定着していたため、最悪、お米とお味噌くらいがあればしばらくは大丈夫と思う気持ちと、

この辺りでは、日常の足として利用できる公共交通機関がないに等しいため、日々の移動を100%車に頼っているとはいえ、普通に生活している限り、特別遠出をする必要もないのだし、少し様子を見ていればなんとかなるんじゃない? ということで、ガソリンスタンドの行列にも一度も並ぶことなく、結局本当になんとかなってしまった、という、のん気な家庭ではあったのですが、

そんな我が家で、さすがに少々危機感を感じたのは、ヨーグルトを作るための牛乳と、そのヨーグルトと一緒に食べているトースト用の食パンが入手しづらくなっていた数日間でした。

ヨーグルトに関しては、牛乳が1本買えれば、ほぼ二日分のヨーグルトが作れるわけで、結局一度も切らすことなく続けて食べられていたのですが、

食パンに関しては、(これも全く手に入らなかったわけではなく、スーパーなどが品薄だと報道されている間、ちょっとお使いに出かけるのを控えていたため)数日間、切らしてしまったことがありました。



震災後も、計画停電の間も、有難いことに家族で揃って、なんだかんだと日常の小さな笑いのタネを見つけては、馬鹿笑いを絶やさずにいられた我が家ではあったものの、

テレビをつければ、刻々と明らかになる悲惨な被災地の状況を伝える報道に加え、前代未聞かつ先の見通しも全くつかない、被害の程度もどれほどのものになるのか想像すらつかない原発事故のニュースが延々溢れているわけで、

今もまだ被災地で、日々生きていくという一点のみにおいても大変なご苦労をされている方々からしたら、全く恥ずかしいようなことなのですけれども、

今回の震災のような非常事態の状況下では、「いつもと同じものを食べられる」 という、ほんの小さなことが、大変強力な精神安定剤になるのだと気づかされたのは、この時でした。


ついに食パンが切れてしまったある日、ニュースでは、福島の原発の何号機かの爆発が初めてニュースで伝えられたりして、状況がわかるまでは、関東全域も必要のない外出は控えた方がいいというような状態で、食パン一つのためにお使いに出かけるのは、やめておこう、と私が主張し、母も一応納得してその日の外出は断念しました。

すると、とにかくいつも(時には迷惑なくらい)明るく元気な母が、ぐったりと横になったまま動けなくなってしまって! これには驚かされました。

母曰く:「お母さんは、とにかくパンが好きなの! だからもう明日のパンがないと思ったら力が出なくなっちゃっただけ」 としきりに言い張っていたものの、

畳み掛けるように日々深刻の度合いを増す震災の報道に、その実、精神的にかなり消耗しているのは明らかな様子。

震災以来ずっと表面元気にしていたものの、「いつも食べていたパンがない」 という、こんな小さなきっかけで、一気に気持ちが折れてしまったらしいのです。

「平気、平気」 と言いつつも、ただ事でない母の様子に、ちょっと危機を感じた私の頭に、そこでふと 「家でパン焼けるかも」 という考えが頭に浮かびました。


現在は(なんとかかんとか)嫁にいった一番下の妹が、一瞬 「ベーグル」 作りにはまった際に購入した 「ドライイースト」 が冷蔵庫の隅っこに、もういい加減しばらく眠っていたのが記憶の片隅にあったというのもありまして、

試しにネットで、「簡単:薄力粉のパン」 の作り方を検索してみると、なんかやってやれないことはなさそう…という感じ。

しかも、水分の代わりにプレーンヨーグルトを入れたりすると、発酵を助けてくれて、パン作りに慣れていない人でも失敗が少ないなどという添え書きもあったりして、

「お、これならいけるかも…」

ということで、突発的に、パン作りに取り掛かることになりました。



ところが! 台所で薄力粉の探索にとりかかった私の目の前に現れたのは、「てんぷら粉」だったのです。


「むむっ」と一瞬たじろぎましたが、ぐったりと横になっている母の姿をチラ見して、


「ま、これでやってみようか」と決心。


そんなこんなで、突発的に焼き上げたのが、以下のような「てんぷら粉」パンでした。




【材料】


てんぷら粉 (たぶん)180~200gくらい

(我が家で育てている)プレーンヨーグルト 150ccくらい

ドライイースト 小さじ1くらい

砂糖(プレーンヨーグルトを大量購入していた時代に溜まったもの)1袋(8g)

 一つまみ

サラダ油(もしくはオリーブオイル)大さじ2くらい



※ 鋭い方は、もうおわかりでしょうか…。一般的に、目分量は絶対に禁じ手!!だともされているパンを、大雑把人間の私は、そう…、目分量で作りました。



【作り方】


1.ヨーグルトをレンジで人肌くらいの温かさに温める。

2.ボールに「てんぷら粉」、砂糖、ドライイースト、塩(塩はイーストのそばにはおかないこと、と、いくつものレシピに注意書きあり)、油、温めたヨーグルトの順番に投入し、菜ばしでざーっと混ぜます。

3.全体がもろもろな感じになったら、手で全体をまとめ、こね始めます。
 (完全なる目分量で始めた私は、実は最初全く粉が足りず、手でこねられる状態になるまで、延々粉を足し続けました)

4.15分ほどこねたり、まな板の上に打ち粉をして叩きつけたりを続けて、生地が滑らかになってきたところで、生地を丸めてボールに戻し、ボールの蓋をするように少し湿らせたキッチンペーパーを掛けます。

5.4のボールを40℃くらいのお湯を数センチ張った大なべに浸し、上から蓋をして、四十分くらい、第一次発酵させます。
 (震災後、三月とはいえ、まだかなり寒い時だったので、発酵のためこうしました)

6.かなりふくらんだ生地(本当はもとの2倍になるくらいまで待ちたいところだったのですが、待っている母が、「もうできる?」 「もうできる?」 とうるさかったので、1.5倍くらいになったところで、あきらめてしまいました)を軽く打ち粉をしたまな板に出し、軽くガスを抜いて、包丁で、5つくらいに切り分け、一つ一つをまん丸な形に丸めて、オーブンの天板くらいの大きさに切ったクッキングシートの真ん中に隙間を空けずに乗せます。

7.小さく丸めたパン生地を載せたクッキングシートをボールに戻し、再びぬるま湯を張った鍋につけて、20分ほど第2次発酵。この間にオーブンを170~180℃に予熱。

8.ボールからパン生地の乗ったクッキングシートを取り出して天板に乗せ、(私の場合、パンを一個一個引き剥がさず、押しくらまんじゅう状態のまま、焼き上げることにしました)20分くらい焼き上げます。


焼きあがったパンは、(ワクワクと待ちきれない母の圧力により、発酵が甘かったせいか)ふわふわとはいえず、かなりみっちり詰まった感じでしたが、香りも味もちゃんとパンになっていましたよ。

焼きたて熱々の丸いパン(一塊にして焼いても、ちゃんと分かれます)を半分に割って、ジャムなどをつけていただきましたが、まあ、まずまずといったところで、

「明日のパンがない…」 と、まさに青菜に塩をかけたようにぐったりしていた母は、一口食べた瞬間に 「美味しい!!」 と、ニッコニコになっていました。

翌日、朝食用に残しておいた分は、半分に開いてトースターで軽く焼き、ジャムなどをつけていただきました。ま、一応、パンでしたよ。


それにしても、「てんぷら粉」で作ったパンが、精神安定剤の代わりになるなんて…、

母の姿に、まさに自分の「食いしん坊」のルーツを見た思いがします。


薄力粉どころか、てんぷら粉だなんて…、と思いましたが、てんぷら粉には、(うっすらした記憶によると)山芋の粉や、でんぷん、卵などが入っていたはずで、ひょっとしたら、ただの薄力粉より、パン作りには向いていた…? のかもしれませんね。



***



我が家のその後のパン関係の新情報としては:

実はつい先日、母のお姉さんの家で、今話題の生米からパンが焼けるという「Gopan」(つづりが違うかな?)を買うことになったと聞かされた母は、

「ウチもホームベーカリー買う!」

と、突然宣言したと思ったら、

「すぐに買っちゃうから、どれがいいか調べて!」 といつもの強引さが爆発。

ホームベーカリーが家にやってきたら、どうせパン焼き担当になるに違いない私のずぼら目線で、クチコミ情報を斜めに覗き見した結果、イースト自動投入機能がついているため、一番パン焼きの準備手順が簡単そうだった、

パナソニックのホームベーカリーを突如購入してしまうことに決定しました。

ホームベーカリーという家電には、私自身も長年秘かに憧れを抱いていたものの、家庭で「パンを焼く」というのは、やっぱりなんだか面倒そうで、ずっと二の足を踏んでいたのですが、

母の突然の思いつきと勢いで、あっけなく購入して使ってみると、

一番基本の 「食パンを焼く」 だけなら、炊飯器でご飯を炊く手間ともそれほど大差ない手間でできることを発見して、正直ちょっとびっくりしています。
(使った後のパン釜の手入れもとても簡単だし)

ホームベーカリーが到着して一週間弱、という現在、今のところ、一番無難で簡単な食パンしか焼いていませんが、朝、焼きたてのパンの匂いで目が覚めるというのもワクワクするものですね。

耳は香ばしく、中はフワフワの焼きたて食パンは、本当に美味しいです。

今回ばかりは、母の決断力に従って正解でした。

4 件のコメント:

さわ さんのコメント...

発酵を待ちきれないお母さん、かわいい~(^0^)

藤ようさんの親孝行っぷりもステキです。

禁じ手の目分量、そしてどの料理研究家も思いつくことさえ出来ないであろう、てんぷら粉…!!!

そして普通においしい…!!!!!

そしてホームベーカリーご購入と、一分の隙も無い流れにただ感嘆するばかりです。

私も手ごねパンは何度も作り、レシピ違反厳禁だと思い込んでおりましたが、
小さいことでしたね。

ありがとうございました。
楽しかった~、またパン作りに挑戦してみようかな♪

SPNご感想の伏字は少し楽しみに取っておく予定です(^0^)♪

藤よう さんのコメント...

さわさん

早速の書き込みありがとうございます。

さわさん、手ごねパンの先輩でしたか。

「お母さん、ふわふわのパンより、しっかり食べ応えがあるほうが好きなんだから、そんなにふくらまなくていいよ」

と散々急かされて、ちっちゃくて丸い見た目の三倍くらいずっしりとした食べ応えのあるパンができあがりました。

薄力粉だとばかり思っていた粉の袋に、はっきりと「てんぷら粉」という文字を読みとった時は、さすがのずぼら人間の私も「これはさすがに…」とためらいましたが、なんとかなるものですね!(笑)

手ごねパンではプロレベルの友達がいて、パン作りの手順の繊細さを色々耳にしていたので、この私が自分でパンをこねることなど、まずないだろうと思っていたのですが、
やってみるとパン生地はまさに生き物なんだなーという感じの可愛い手触りで、(腕はかなりダルくなりましたが)楽しかったです。

思わぬきっかけから、いい経験になりました。

でも「朝7時までにお願いね」でお任せでやってくれるホームベーカリーの方が、やっぱり楽チンですねー。

oruka さんのコメント...

藤ようさん、こんばんは

藤ようさんには大きな被害がなくて何よりでした。
まだ完全復旧には時間がかかるでしょうが、負担にならない程度に更新してくださるとうれしいです。

そしてさっそくにも、伏字の内容が気になって思わず見直してきました。
おっしゃる通りです。Samさん、何気にやってますね。ムフフフ・・
気づかなかったですよ。
藤ようさん、さすがですね。(^◇^)

このエピの考察が楽しみです。


私もずっとホームベーカリーが欲しいと思ってるんです。
焼きたてのパンっていい匂いですよね。
なんとかこの夏には買いたいと考えてます。

藤よう さんのコメント...

orukaさん

こんばんは

こんな日記でも、更新を楽しみにしてくださる方がいらっしゃると思うと、とても嬉しい気持ちになります。

Samさん、何気にやってますよね。ムフ…

エピソード鑑賞中、(いつものクセで…)自動的に装着されてしまっていたらしい私の妄想フィルター越しには、「どきっ!」とするほど、Samさんが大きく動いた気がして、
鑑賞後、何度もリプレイしてしまいました。(笑)

状況を見ながらとなりますが、
またぼちぼち前のような日記を更新できるようになれば…、と思っております。

ホームベーカリー、私ももう長年憧れ続けてきましたが、まさかこんな展開で、手に入れることになるとは、という感じでした。

朝、「パンを取り出さなきゃ!」と思うと、布団の中のいつもの「あと五分…」が省略できる、というのは思わぬ副産物だったかもしれません。