2010年11月22日月曜日

SPN シーズン6エピソード9考察

あははははっ!

Supernaturalシーズン6第9話、面白かったー!

この楽しい気持ちが薄れてしまう前に、少しだけでも感想文を書き始めてみたいと思います。







以下、日本ではまだ放送されていないSupernaturalシーズン6のネタバレが出てきますので、閲覧ご注意ください。












これまでは、魂が抜かれちゃって、他人の男のようになってしまったサムと一緒に行動しなければならないディーンを心配していましたけど…。

逆に、中身は何から何まで教えて面倒を見てあげなきゃならない世話の焼ける赤ん坊のような存在で、でも、見た目は愛する夫そのままなのだ、という目線で状況を捉えると、こんなに楽しいことになってしまうのですね。

今回のエピソードの中でも、何度か比喩的なフレーズとして出てきましたが、

『いつかReal Boyになる!』 という、

ピノキオ坊やと同じ目的を持つことになったSoullessサミー坊やの人間らしい人間になるための教育を(ちっちゃなコオロギおじさんのJiminy Cricketとして…)なんとなく、なし崩しにという感じで、一手に引き受けることにもなってしまったディーン。

この設定、もちろんとても面白いのですが、私の心の片隅をなんとなく小さなトゲのように時々チクッと突くのは、

ディーンが本当の「人間らしい」感情や反応についての心得を「魂無しサム」に教える時、サムがそういったややこしい人間の感情をまがりなりにも理解しようとしたり、覚えようとしたりしているらしき様子が見て取れますよね?

そうすると、空っぽのサムの中に、小さな魂のようなものが芽生えていっているような気がして…、

サムの本物の心は今この場にはなくても、地獄には存在しているのに、本物の魂が戻ってくる前に空き家のサムの中で、別のサミー坊やの新たな魂が育っちゃうようなことになっていいの?

そして、あまり考えたくはないけど、今現在、地獄でサムの魂はどんな扱いを受けてるの?

今後、なんとか地上の体の中に戻してもらったとしても、そんなに長い間地獄にいたサムの魂で、本当に昔のサムに戻れるの?

というような小さな疑問が次々湧いてきてしまうのですが…。

空っぽサミーの中で育つ新しい魂、なんていう考えについては、ま、考えすぎというものなのでしょうね。



***



今回のエピソード。

放送前の情報で、兄弟がFairy(妖精)と対決する、ということは耳にしていて、

エピソードのタイトルも 『Clap your hands if you believe』 という、これはピーターパンの中で、妖精を信じる子供が減ってしまったことで、子供たちの信じる力で生かされている妖精のティンカーベルが死んでしまいそうになったとき、本を読んでいる子供たち(もしくはテレビを見ている子供たち)に向かい、

「妖精を信じるなら手を叩いて!」 と、ピーター(だったっけ?)がお願いする時の言葉でしたよね?

(私はこの言葉に、「信じる!!」と必死に手を叩く子供たちの姿を思い浮かべるたび、いつも、ついうっかりぽろっと涙が出そうになってしまうのです)

とはいえ、予告の映像なんかも見ないままだったので、この妖精のエピソードに関しては、さしたる思い入れも興味も持たないまま、本放送を目にすることになったのですけど、いざ蓋を開けてみると…

冒頭の『本日の事件』からして!

とうもろこし畑の中で、高校生の男の子が目映い光によってどこかへ連れ去られてしまう?

あのショットは(笑)!!!

そして、あのSupernaturalという文字から、ぱちっと瞬きする目のアップの後、

THE TRUTH IS IN THERE.

というフレーズが画面に現れて終わるあの一連の映像で構成されたオープニングクレジット!

あれはまさに、完っ全に、X-Filesのパクリじゃありませんか。

(本家、X-Filesのフレーズは、The truth is out there. ですが、このフレーズも、最終的にLeprechaunであることが判明する、UFO研究の第一人者を自称するおじさんが、Abductされてしまったディーンを見つける手がかりを探しにきたサムに向かって、さらっと口にしていましたよね)

あまりに楽しくて! このオープニングだけでも既に何度リプレイしてしまったかわかりません。

長らくこの日記に遊びに来ていただいている方はもうよくご存知でしょうが、この日記のタイトルをご覧いただいてもお分かりのとおり、

私はそもそも『X-Files』(Slash…)ファン出身で、Supernaturalというドラマを見てみようと思ったきっかけも、このドラマにX-Files出身のスタッフが大勢参加しているから、というのが大きな理由でした。

Supernaturalは、これまでのシリーズでも、時々、X-Filesに関わるような台詞なんかがそこかしこに散りばめられていたりもしたし、

現在は、X-Files当時、まさにFBIの副長官として、X-Files 課および超問題児のモルダー特別捜査官を不運にも受け持たされていた、スキナーさんこと Mitch Pileggiが、Winchester兄弟の母方のおじいちゃんとして、準レギュラー出演していたりもするわけで、

(あー、そう考えると、先々週、兄弟がサミュエルおじいちゃんと一旦決別、という展開になってしまったのが、悔やまれます!
兄弟がいつも父親代わりに頼りにしているボビーおじさんもUFOだとか、Abducteeだとかは専門外だ、とかいって、兄弟の質問に答えられなかったりとかで…、
じゃ、悪魔のCrowleyも認めるくらい狩りの知識に造詣が深いおじいちゃんなら、なにか知ってるかもしれないから電話で質問してみようか…、なんていうシーンが出てきたら!(笑) 最高に面白かったのに!)

キム・マナーズ監督の死後も、X-Filesから受け継いだ「超常現象」(Supernaturalだろうが、Paranormalだろうが…)をベースに、世界中のSlash大好きな腐のつくFangilsの心を虜にして放さない演出は、綿々と受け継がれているということは承知していたつもりでしたが、

まさか「Fairy(妖精)」が主役のエピソードをこんな風に演出してくれるなんて!

シーズン6に入って以来、どうも、私の個人的な好みに沿うよう、エピソードを作ってくれているような気さえして仕方ありません。

シーズン6、ルーツに回帰するっていってた、そのルーツってX-Filesのことだったとか…。

それにしても、ここまでのそのまんまなパクリ演出は、SPNみたいに、X-Filesの親戚筋ではない他のドラマだったら訴えられかねないのじゃないんでしょうか…。



***



今回のエピソード、本当に楽しくて、兄弟の台詞を残らず全部書き出してしまいたいくらいなのですが、そんなことをしたら、きりもなく長くなってしまうので…。

なるべくポイントだけに絞ってやっていきたいと思います。

インディアナ州のとある田舎町で、このほんの数週間の間に4件もの謎の行方不明事件が発生しているということで、

新聞社の記者(WWNでしょうか…)を装って、調査を開始した兄弟。
(ディーンが逮捕されたりする展開上、今回は残念ながらFBIというカバーは使えなかったということなのでしょうかね)

ところが、一番最初の行方不明者の少年(オープニングの事件の子)が消えたという現場へ一人で調査に行ったディーンが、なんと怪しい目映い光によって誘拐されてしまいます。

ディーンの体感時間では、一時間ほど、といっても、そのほとんどはモーテルまで歩いてくるのにかかった時間だから、誘拐されてたのは一瞬で、それでもやっとの思いで戻ってきて、モーテルの部屋の灯りをつけると、そこには驚愕の光景が!

なんと、サムが、(UFO村のようなところで「あんたのお兄さんが誘拐されたのって、子供の頃に起きたこと?」と、明らかにX-Filesマニア的な質問をした)ヒッピー娘と一緒に、裸で、ベッドの中にいるではありませんか。

(余談ですが、サムの裸の胸には、今回も確かに胸毛が生えていましたね!)

ヒッピー娘をとりあえずは穏便に部屋から追い出したものの、ドアに両手をついて気持ちを整理しているディーンに、

Sam: Y-You're upset.
  お、お前、怒ってるのか。

Dean: I was abducted. And you were banging patchouli.
  あたしは、誘拐されてたっていうのに。 そんな時、あんたは、パチョリ臭いヒッピー女なんかとセックスしてたのよ。


註:Patchouli:オリエンタルな香りには欠かせない香料として広く利用されており、ヒッピーたちの愛した香りとして有名ということ。

Sam: I didn't think she smelled that bad.
  俺、そんなに臭いとは思わなかったけどな。

Dean: I was abducted by aliens!
  あたしはエイリアンに誘拐されてたんだって言ってんの!

Sam: I was looking into it!
  だから俺だって、調査してたさ!

Dean: Looking into it?! I was gone for like an hour!
  調査してた!? あたしがいなくなってたのなんて、ほんの一時間くらいじゃないのよ!

Sam: An hour?
  一時間?

Dean: And most of that was walking back to town!
  そうよ、それもそのほとんどは町まで歩いてた時間なんだから!

Sam: Dean, I think your watch is off. You've been gone all night.
  ディーン、お前、時計なくしたんじゃないか。お前、ほとんど丸々一晩いなくなってたんだぞ。

Dean: What are you talking about? No, I haven't. 4:00 a.m.?
  なに言ってんの? あたし、なくしてなんか…(と、そこでサムの差し出した携帯の画面を見て)午前4時?

Sam: Yeah. U.F.O. Time-Slip. That actually falls in line with a lot of abduction stories.
  そうさ。はっ、UFOタイムスリップだ。それって、実際色んなUFOによる誘拐話と合致するじゃないか。

Dean: "Falls in line"?!
  なにが「合致する」よ?!


と、言いつつ、ベッドに腰掛けようとして、それが、サムがヒッピー娘と一緒に寝ていたベッドだと気づき、余計にイラつきながら、隣のベッドの方に移動するディーン。(笑)

Sam: Yeah!
  そうだよ!

Dean: Nothing's falling in line!
  なにも合致なんかしやしないわよ!


ま、これでも飲んで落ち着け、と、お酒をついだグラスを渡され、何があったか話してみろといわれたディーンは、

何って、サム、眩しい白い光が現れたの。

と言って言葉を切ったディーンの膝に、ぽんっと大きな手を乗せ、大丈夫だ、この部屋は安全だよ、と、「昔の俺」の記憶に基づき慰めてみるサム。
(この手と、それに続く血管の浮いたぶっとい腕が、なんか妙にいやらしくて!ついニヤニヤしてしまいます。)

ヒッピー娘なんかに触った手で私に触れないで!という、ディーンの無言の非難を読み取ってサムが手をどけると、ディーンは再び話を続けます。

そしたら、突然あたし、別の場所にいたわけ。で、そこには何かがいて、それはまぶしすぎて見えなかったんだけど。でも、そいつらが、あたしを何かテーブルみたいなものの方へ引っ張っていくのを感じたの…。

Sam: Probing Table!

註: Probing Tableとは、多くのUFO Abducteeたちの経験談に共通して現れる、宇宙船の中らしきところにある診察台のようなもので、主として生殖器なんかを重点的に、複数のエイリアンの手により色々と恥ずかしい検査を実施されてしまうというテーブルのこと。

Dean: God! Don’t say that out loud!
  やだ!そういうことを大きい声で言わないでちょうだい!

とはいえ、パニクッたディーンが常に携帯しているナイフやら銃やらをフル活用して、大暴れを始めたところ、それまでそんな風に反撃するAbducteeはいなかったらしく、謎の存在たちもびっくりして、ディーンを元のところに返してくれた、とのこと。

あたし、未知との遭遇を果たして、そいつらを打ち負かしたってことなのよ。

これまでずっと、Winchester家の家訓としては、UFOやエイリアンは嘘っぱちという主義でやってきたのだったけれども、実際に未知の存在と遭遇を果たしてしまったディーンが、ちょっと興奮ぎみ&得意げな感じなのが、面白いです。

Probing Tableには乗せられずには済んだようなのに、サムから「シャワーを浴びたほうがいい」と言われ、素直に「そうね、あたしシャワー浴びる」とバスルームに入り、その後多分ディーンは仮眠して、翌朝、ダイナーで二人でコーヒーを飲みながら、

妙にまったりと

悪魔だとか天使だとかに加えて、幽霊にスキンウォーカーでしょ。その上よ…、その上もし、本当にエイリアンがいたってことになったら、次はなに?ホビット?マジ?

なんて、まだ夕べの衝撃的体験の余波に浸りつつ、語っているディーンの目の前で、ウェイトレスのおねえちゃんに色目を使っているサムを目撃してしまったディーン。


Dean: You just gave her the silent "how you doin'."
  あんた今、あの娘に無言の「調子はどう?」の合図を送ったわね。

Sam: What?
  なんだって?

Dean: Our reality's collapsing around us, and you're trying to pick up our waitress?!
  あたしたちの常識が今、目の前で崩れ去ろうとしてるっていうのに、あんたはウェイトレスをナンパしようっていうの?!

Sam: Yeah. Okay, look... that brings up a question. So, say you got a soul, and you're on a case, and your brother gets abducted by aliens.
  ああ。わかった、なあ、…それで聞きたいこと思い出した。つまりさ、魂がある人間がさ、狩りをやってる時に、兄貴がエイリアンに誘拐されたとするよな。

Dean: Yeah, then you do everything you can to get him back.
(かなり食いぎみに…)
ええ、そしたらその人間はあらゆる手段を講じて、お兄さんを取り戻す努力をするものよ。

Sam: Right. You do. But what about when there are no more leads for the night? I mean, are you supposed to just sit there in the dark and suffer, even when there's nothing that can be done at that moment?
  そうだ。そうするさ。でもその晩、それ以上の手がかりがなくなっちゃったとしたらどうする、ただ暗がりに座って、苦しんでろっていうのか?その時点では他になにもできることがなくても?

Dean: Yes!
  そうよ!

Sam: What?
  えっ?

Dean: Yes. You sit in the dark, and you -- You feel the loss.
  そうよ。暗がりに座って、あんたは…喪失感を感じてるべきなの。

Sam: A-Absolutely. But -- But couldn't I just do all that and have sex with the hippie chick?
  も、もちろんそうだろうけどもさ。でも…でもさ、そういうことを全部した上で、ヒッピーの女の子とセックスするっていうのは?

Dean: No!
  駄目!

Sam: It would be in the dark.
  それも暗がりの中でするものだけど。

Dean: No, you couldn't, because you would be suffering. And you can't just turn that off for the night.
  駄目よ、そういうことはできないの、だってあなたは苦しんでる最中なんだもの。で、そういう感情は、夜になったからって、電気を消すみたいには消せないものなの。



そこで、お勘定のレシートを持ってきたウェイトレスにまたもや反射的に色目を使ってしまうサム。


Sam: Why not?
  なんで消せないのさ?

Dean: Because if you had a soul, your soul wouldn't let you.
  だって魂があれば、魂がそうはさせてくれないからよ。

Sam: So, you're saying... having a soul equals suffering.
  じゃ、こういうことか…魂があるということは、イコール苦しむってことだって。

Dean: Yes, that's exactly what I'm saying.
  そう、私が言ってるのはまさにそういうこと。

Sam: Like...the million times you almost called Lisa. So, you're saying suffering is a good thing.
  つまり、…お前が何百万回もリサに電話かけそうになるけどかけない、みたいなもんか。じゃ、苦しむってことは、いいことだっていうんだな。

Dean: I'm saying it's the only game in town.
  私が言ってるのは、他に選択肢はないんだっていうことよ。

Sam: Okay.
  わかった。



何をわかったのかはわからないもののサムが何かを納得したところで、エイリアンの調査をさらに進めることにした二人でしたが、

その場でサムには見えない怪しい赤い帽子のおじさんを目撃してしまったのを契機に、ディーンの身の回りでおかしなことが起こり始めるのでした。


***


それにしてもディーンの台詞、どうやってももう男言葉では日本語をつけられません。

これまでのシーズンで、あらゆるチャンスを捉えて女の子に色目を使う兄ちゃんに、それとなくヤキモチを焼くのはサムの役目でしたが、Soullessサムと、急激にこのところ乙女度を増したディーンでは、完全に立場が逆転してしまいましたよね。

一緒の車にも乗りたくない!気持ち悪いのよ!なんて言ってたものの、サムの見た目は大好きなダーリンのそのままなわけで、そんな愛する彼が、目の前で得体の知れない女とベッドインしてたり、過剰に露出度の高いウェイトレスなんかに色目を使ってるのを目にすると、メラメラとヤキモチの炎が燃え上がってきてしまう、というのは、妻としてはどうにもいたし方のないところ。

それにしても、サムに他の女に手を出させないための防衛手段として、やたらと「魂があれば」という理屈を便利に使っているけれども、ディーンの態度に表れているのは明らかに、とても素直なヤキモチ以外のなにものでもなくて、そんなディーンのヤキモチは、すごくわかりやすくてとっても可愛いです。


***


ということで、ささっと感想文を書きたいのに、兄弟の会話が面白すぎてどんどん長くなってしまうので、残念ですが、一旦ここで投稿ということにしてしまいます。

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