2011年2月5日土曜日

Supernatural シーズン6エピソード11考察②

新しいエピソードが放送になる前に、なんとか、なんとか、この第11話の考察を終わらせてしまいたい!






以下、日本ではまだ放送されていないSupernaturalシーズン6のネタバレが出てきますので、閲覧ご注意ください。













前回の考察のどこかに紛れ込ませるつもりが、入れられなかったので、今回はまずこのエピソードのタイトルへの考察から始めてみます。

この第11話のタイトル

『Appointment in Samarra』

とは、古い小話で、このお話の語り手は「Death」その人なのだ、とのこと。

サマセット・モームもこのお話を書いているということなので、ご存知の方も多いお話なのかもしれませんが、

ネット上でも、この小話の全文は沢山出てくるので、本当に短いお話だし、とりあえずそのままちょっと抜書きしてみると:

There was a merchant in Bagdad who sent his servant to market to buy provisions and in a little while the servant came back, white and trembling, and said, Master, just now when I was in the marketplace I was jostled by a woman in the crowd and when I turned I saw it was Death that jostled me. She looked at me and made a threatening gesture, now, lend me your horse, and I will ride away from this city and avoid my fate. I will go to Samarra and there Death will not find me. The merchant lent him his horse, and the servant mounted it, and he dug his spurs in its flanks and as fast as the horse could gallop he went. Then the merchant went down to the marketplace and he saw me standing in the crowd and he came to me and said, Why did you make a threatening gesture to my servant when you saw him this morning? That was not a threatening gesture, I said, it was only a start of surprise. I was astonished to see him in Bagdad, for I had an appointment with him tonight in Samarra.

(一応、流し読みに日本語をつけてみます:)
バグダッドのとある商人が、食料品の買出しのため一人の召使を市場にお使いに出したところ、少しして、血の気のなくなった顔で震えながら戻ってきた召使が言うには、ご主人様、私はたった今、市場の人ごみの中で、一人の女の人にぶつかったのです、振り返ってみると、私がぶつかった相手は、「死」だったことがわかりました。彼女は私を見て、脅すような身振りをしたのです、ですから、ご主人様の馬を貸してもらえませんか、そうすれば私は私の運命を避けるため、この街を出て、サマラへと行くつもりです。そこなら「死」は私を見つけられないでしょうから。商人は召使に馬を貸すことにし、彼はそれに乗ると、馬の脇腹に拍車をかけて、馬が走れる限りのスピードで一目散に出発しました。それから商人は市場へとやってきて、人ごみの中に立っている私の姿を見つけ、私のところへ来てこう言ったのです。どうしてあなたは、今朝、私の召使を見た時に脅すような仕草をしたのです? あれは脅しの仕草などではなかったのです、と私は言いました。あれは単に驚いただけなのです、と。私は、バグダッドで彼に会ったことに驚いたのです。だって私は今晩、サマラで彼と会う約束があったのですからね。


『Death』 が女性の姿をしているとか、その辺りはまあ置いておいて。

死という運命から逃れようとあれこれ画策したところで、既に決められた運命を変えることなどできないのだ、ということを教えるお話ということになるでしょうか。


***


さて、前回の考察の続きに戻ると、

完全になりふり構わずという感じで、とにかく愛するサムの魂を取り戻すことに必死なディーンは、Deathおじ様から、(理由は分からないまま)おじ様のお仕事のお手伝いを依頼され、アメリカのごく一部の地域限定のようですが、Deathのお仕事を24時間だけ担当することになったわけですよね。

お仕事の内容は、Deathおじ様の指輪をはめ、その日に死ぬことが決められている人たちにポンッと触れて、魂を抜き、その魂を死神(ディーン付の担当はTessa)に引き渡す、というもの。

コンビニ強盗や、コレステロールと中性脂肪の塊のようなおじさん、なんていう、とってもやりやすいお仕事の後、次に予約が入っている、まだ12歳のあどけない少女を前にしたディーンは、

「今日は、俺がDeathなんだっていうなら、あの子は、今日は死なせない」

なんて、勝手なことを言い始めます。

Tessaの浮かない顔を見るまでもなく、画面の前の私たちにも、あー、これはきっと何かまずいことになっちゃう…、と、わかりましたが、案の定…。

臨時アルバイトのディーンが、業務上の基本ルールも全くわからないまま、「死」の「予約(Appointment)」を勝手に変更してしまったことにより、森羅万象が微妙かつ複雑に絡み合って決められている「死」の順番が狂って、

ディーンの担当日に死ぬはずではなかった人が死んでしまい、さらにその死を引き金にまた…という、ドミノ倒し的な死の連鎖反応が起き始めてしまいます。

結局、その死のドミノ倒しを食い止めるため、(これも、案の定!)サムの魂奪還のためにも、絶対失敗したりしない!といきまいていたはずなのに…、Deathおじ様と約束した24時間の期限を待たずして、ディーンは「Deathの指輪」を外さざるを得なくなり、

それ以上の死のドミノ倒しを食い止めるため、そもそも予約の入っていた12歳の女の子の命も、結局は奪うことになってしまいます。

ディーンが小細工したことにより、別の犠牲者が出ることになったり、一度は娘が全快したと信じ込まされた少女の父親はきっと余計に辛い思いをすることになったりと、余分なおまけはついたものの、まさに、「Samarraでの予約」のように、「少女の予約」はきっちりと果たされることになったわけです。

約束の時間までアルバイトを続けることができなかったにも関わらず、最終的にはアルバイト代である「サムの魂」を取ってきてくれたDeathおじ様ではありましたが、その前に、

何度痛い目を見ても、回りに迷惑をかけても、簡単に気楽な気持ちで魂をおもちゃにする傾向のあるディーンに、少々のお説教だけはしておくことにします。

「もし戻れたとしたら、君は、つべこべ言わずにあの小さな女の子を殺すかね?足を踏み鳴らして、駄々をこねたりなどすることもなく?」

「そうしなければどうなるかが、わかった今なら、そうする」

「君がそう考えるようになったとは驚きだ。驚くと同時に嬉しいね。(君がそう思ったというのは、それであの看護婦を犠牲にしなくて済むというだけではない)それ以上の意味を持つことなのだよ。
今日、君は、(死というものの)カーテンの向こう側をじっくりと目にすることになった。自然の摂理を乱すということは、楽しい結果には結びつかない。その後始末を自分でしなければならないとなれば、余計にね。そうだろう?君にとっては辛いことだったろう。
君は簡単に自分の命を投げ出す。それは、そうしてもすぐにまた自分の膝元に跳ね返って戻ってくると思っているからだ。だが人間の魂というものは、ゴムボールとは違う。傷つきやすく、永遠に続くものでもない。だが、君が考えているよりもずっと強いもので、君などは想像もつかないほどに価値のあるものなのだよ。ということで、今日、君は何かしらを学んだのではないかな」

それでも尚、(この時、ディーンはサムの魂をもう返してもらえないと思っていることもあって)

「どうせ、一日もたないって最初からわかってて、俺にやらせたんだろ」なんて、悔し紛れに口答えするディーンに、

「大抵の人間は、もっと尊敬をこめて私に口を聞くものだぞ」(と、一旦叱りつつも)

「さて、ちょっと地獄へ行って、君の弟の魂を取ってくるとしようか。(中略)…君のためにそうするのではない。君と君の弟は、何度も死から戻って来続ける。君たちの存在は、森羅万象のバランスに対する侮辱だ。さらに君たちは、地球規模の混乱を引き起こす原因ともなっている」

「その点は、悪いと思ってます」(と、さすがに一応謝るディーン)

「だがそんな君にも使い道がある。今君は、あることを掘り返そうとしているだろう。勇猛果敢な探偵としてね。ディーン、君にはその調査を続けて欲しいのだ」

「そんな謎めいたこと言われても、俺…」

「魂というものについてだよ。時が来て、必要になれば、君にもわかるだろう」

(それって、サムの魂を取り返すために、続けていた調査のこと?

Crowleyがあっけなく燃やされてしまったことで、宙に浮いてしまったように思える、モンスターたちのAlpha狩り⇒「Purgatory(煉獄)」の在り処の調査のこと?

それとも私が見逃している、何か、なんでしょうか?

天国や地獄のゴタゴタもあるのに、またさらに「魂について」の調査なんていう、ややこしそうなプロットを追加するなんて、本当に大丈夫なの?

Johnパパが自分の魂と引き換えにディーンの「予約」を取り消してもらって以来、Deathおじ様の「Appointment」をことごとくすっぽかしてきたWinchester家なわけですが、

今後、兄弟はこれまでの度重なる「死」の予約取り消しにより、すっかり混乱してしまった世界の秩序を取り戻すためのお手伝いをするための仕事をしていくことになったりするのでしょうか?)

ま、とにかく、そう言って指輪をはめると、ささっと地獄へと足を伸ばし、あっという間に、昔のお医者さんの診察かばんのような黒いかばんにサムの魂を詰めて戻ってきたDeathおじ様。

「さあ、サム。君の意識の中にバリアを張るからね。ちょっとむず痒く感じるかもしれないが、頼むから、壁を掻かないようにするのだよ。なぜなら、信じて欲しいのだが、君が引っ掻いてしまった後に起こることを君は望まないだろうからね」

と言いつつ、止めろっ、俺に触るな!と絶叫し、しまいには兄ちゃんに向かって、こんなことさせないで、こんなことをして、俺の身に何が起こるか知らないんだろう?頼む、お願いだから!と懇願し始めたサムの胸に、魂をぎゅーっと戻してしまうのでした。

ええーーーーーっ!!そんなあっさり、サムの魂戻っちゃうことになったの?

この後、サム、どうなっちゃうの??!!


という辺りは、これから新たに放送になるエピソードでの展開を待つとして。

そんなサムをドア口から、今にも泣きそうな顔で見つめるディーンの脳裏には、一体どんな感情&思いが渦巻いていたのでしょうか。

本物のサムを取り戻したい、と、それだけを一心に願いつつも、

ここ数ヶ月一緒に暮らし、魂を持つ普通の人間としての常識や心得を一番身近で、「Soullessサム」に教育して、ある意味、サムを育てなおしてきたともいえるディーンとしては、

この魂のないサムにも、肉親の愛情に近いような感情を抱き始めていたのであるような気もします。
(なんと言っても、4歳の時から、赤ちゃんのサムを育てていたくらいの母性愛に溢れたディーンですから!)

とはいえ、今この瞬間にも、サムの魂が地獄で苦しんでいることがわかっているのに、

「今の俺とだって、夫婦(兄弟)としてこのまま幸せに暮らしていける」

と説得されてしまいそうで、目の前の気楽な幸せに目がくらんで、地獄にいるサムの魂を見捨ててしまいそうになる自分が許せなくて、

「誰がなんと言おうと、あたしは、愛する夫の魂を地獄から取り戻すのよっ!」

って、じいちゃんを筆頭に、周り中の存在に八つ当たりしつつ、自分の気持ちを奮い立たせていた、ということだったのでしょうか?

だから、魂が戻されることで消滅してしまうはずの「Soulless Sam」の最後の叫び声を聞いて、ディーンは、本物のサムが戻ってくることを喜ぶのではなく、泣きそうな顔をしているということなのでしょうか。


***



そんな微妙なディーンの女心(母心かな)の一方で、

「俺は魂なんかいらない!」 と、

はっきり表明したにも関わらず、死の大元締めDeath様まで巻き込んで、「サムの魂」奪還に向け、ごり押しで猛進し始めた兄ちゃんに、

「魂なんかいりませんサム」は、これまたよく考えたもので、

天国での内戦のどさくさに紛れ、天国から強力な武器を大量に盗み出して、人間相手に、小規模の武器商人のような仕事を始めたりしていた天使 Balthazar を呼び出し、

引き換えにどんなことでもするから、体の中に魂を戻せないようにする呪文を教えて欲しい、ともちかけます。

「いや、タダで教えてやろう。君は有能な青年のようだから、君に貸しを作っておくのもいいだろう。それに、私は君の兄貴のことはあまり好きとはいえないし、あいつを困らすことができるなら私にとっては嬉しいことだ」

(この辺り…、どーうも、過去の Castiel/Balthazar を勘繰ってSlash書いてくれと、ほのめかしているのがミエミエで、天使好きな腐のつく Fangirls へのサービスの臭いがぷんぷんして、私としてはつい、むむむ…と思ってしまうのです。)

Balthazarが教えてくれた、魂が体に戻れないようにする呪文の準備を整える上で一番大切なポイントは、

「親殺し」 だというのです。

「俺の親父は何年も前に死んじゃってるけど…」

「もっとわかりやすいように言えば、君の父親の血は必要だが、その血は、厳密に自分の血筋でなくてもいい」

ということで、

サムは、JDMが、真裏番組のグレイズアナトミーを皮切りに、その後、次々と様々な映画の現場を渡り歩いていて、息子たちの元へ全く帰ってきてくれなくなってしまったこの長い年月の間、ずっと父親代わりに兄弟の面倒を何くれとなく見てきてくれた、ボビーおじさんの血をもらうことに決めるわけです。

ボビーが家中に仕掛けたトラップで酷い目にあっても、全くくじけずに襲い掛かってくるサムの姿に、かつてJared自身が追われる立場で対決した某ジェイソンみたい…と、ふと私は思ってしまいましたが、

「Here comes Johnny! なんて言うなよ」 というボビーのコメントを聞くと、「シャイニング」なんですね。

この日記の中で、何度も書いてるような気もしますが、シャイニングは、小説はずっと昔に読んだものの、あれほど有名なジャック・ニコルソンの映画を、私、まだ一度もみたことがないのです。
いまさらだけど、やっぱりいつか一度は観ておくべきなんでしょうかね。

誰もディーンの「サムの魂奪還作戦」を支持していないとは言っても、「魂抜けサム」のことを心配してくれる人も一人もいないわけで、

サムとしても、自分の身の安全は自分ひとりでなんとか確保しなければ、と必死なのですよね。

シーズン6に入って以来、あまりFangirlsの支持を得ていない感の強かった Soullessサムですが、私はずーっとお気に入りだったので、このエピソードの「シャイニング」なサムにすら、どうしても同情心が沸いてきてしまいます。

それを一番強く思ったのは、「ディーンが、なんとか安全にお前の魂を戻すことができるよう色々やってるわけだから、こんな無茶なことをせずに、それに任せろ」 と、どうにかサムの説得を試みるボビーおじさんに、サムがついに自分の本当の気持ちを吐き出すシーンでした。


Sam: Dean doesn't care about me. He -- he just cares about his little brother, Sammy, burning in hell. He'll kill me to get that other guy back.
  ディーンは俺のことなんかこれっぽっちも考えてない。ディーン…、ディーンが心配しているのは、今地獄で焼かれてる弟のサミーのことだけだ。ディーンは、その別の男を取り戻すために俺を殺そうとしているんだ。


この日記のシーズン6の考察の中では何度か触れてきたことですが、このサムの中には、小さな自我のようなものがあきらかに芽生えていますよね?

当初は脳の中に残っていた強烈な記憶だけに基づいて、兄ちゃんに執着していただけのように思えたサムでした。

でも先週、自分の手首を噛み切ってまで、兄ちゃんを助けにきたあの姿を見ても、ただ記憶に基づく義務感だけの行動とは思えず、

さらに言えば、上の台詞を言うサムは、彼が「Old Me」と呼ぶ、愛しい兄ちゃんの心を常に独り占めにして絶対に放そうとしない本物のサムに、嫉妬のような感情を覚えているようにも思えます。

地獄から戻ってきたサムの魂に身体を乗っ取られたら、今生きて、兄ちゃんを愛しいと思っている自分の存在は消えてしまう=「死んでしまう」。

こんな複雑な感情を抱くこのサムって、本当に魂がないって言えるの?

ここまでややこしい演出をするなら、魂が戻った後も、「Soulless」時代のサムがフラッシュバック的に蘇って、二重人格みたいになる、なんていう設定をぜひこの先のエピソードに盛り込んでもらいたいものだけど…。

Deathおじ様も、「魂についての調査」を続けろなんて、意味深なことを言ってることだし…。

うう~~、最近同じようなことばっかり言ってる気がしますけども…、きっと撮影スケジュールの締め切りに追われつつ、「Soulless」ってことを深く考えずに、あっちにブレ、こっちにブレしながら、その場その場の思いつきで書かれている脚本を、私が異常に深読みしているだけのこと、なんですよね。

サムの魂が戻った後は、きっと、今にも崩壊してしまいそうなサムの魂を覆うバリアのことばっかりで、せっかくいい味を出し始めていた「Soulless Sam」の存在は、全くなかったことになっていってしまうのでしょうね。

こんなにもあっけなく、大好きだった「Soulless Sam」が消されてしまうことになったのは、私個人的には非常に残念でしたが、

それでもシーズン6の後半、どんな展開になっていくのか、やっぱり楽しみです。


***


冬のHiatus前の二つのエピソードはどちらも内容が盛りだくさんすぎて、ややこしくて、まだまだ色々と重要な考察ポイントをもらしてしまっているような気もするのですけど、

一応、これで第11話の考察は終わり、ということにします。

なんとか新しいエピソードの放送までに間に合った!

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