2008年2月21日木曜日

SPN S3 EP10 感想文

シーズン1の感想文に戻ってから…、いや、でもやっぱり感動が新鮮なうちに新しいエピソードの感想文を書いてしまわないと…。

ここしばらくあれこれあれこれ迷った挙句、S1の感想文をちょっと、S3の感想文をちょっと、書き始めてはまたやめるなんていうことを繰り返していましたが、いい加減自分でもうんざりしてきたので、もうこの際思いつくままシーズン3第10話についてどの程度のことが書けるかやってみたいと思います。

途中で、まだこの日記で取り上げていないS1やS2のエピソードの妄想解釈が入る可能性もありますが、その時はその時、ということで。

また物凄く長い日記になってしまうかも…。



***



以下は、Supernaturalシーズン3第10話「Dream a Little Dream of Me」の感想文です。
日本では未放送のSupernaturalシーズン3のネタバレが含まれますので、閲覧にはくれぐれもご注意ください。さらに、私の翻訳には常に、誤解、曲解、妄想が含まれる可能性があります。
以上を充分にご理解いただいた上で、広い気持ちで私の馬鹿な感想文を読んでみてもいい、と思われる方のみ閲覧いただきますよう、くれぐれもお願いいたします。








私、少し前の日記でSera Gamble&Raelle Tuckerのツータッグがまた…、なんていうようなことを書いたのですが、Raelle Tuckerって、セカンドシーズンを最後にSupernatural制作スタッフから去っていたのですね!
日頃細かな事情を探して検索したりすることのない私は今まで全く知りませんでした。
(どこかでちらっと聞いていたのかもしれないけど、全く記憶に残っていませんでした。)

今回の第10話のエピソードのオープニングクレジット、Story by のところで ”Sera Gamble&” でもう一人の名前が下にくっついていたのを文字の後ろの兄弟の会話に気をとられてきちんと読み取る努力もせずにいて、ほとんど条件反射的にてっきりRaelle Tuckerだと思い込んでいたら、今回の名前はCathryn Humphrisでした。
今回の感想文を書き始めたところで初めてその事実に気付き、ちょっとショックです。
もちろん事情があってのことなのでしょうが、シリーズ当初から関わっていた人が去っていくというのはちょっと寂しい気持ちにもなりますね。






ボビーが恐ろしい女の人から酷い目に合わされているシーンから、ベッドの上で安らかに眠っているボビーの顔に画面が切り替わって、え、ひょっとしてボビー、怖い夢に閉じ込められちゃってるってことなの?しかも、お掃除のメイドさんにあんなに揺すられても目を覚まさないってどういうこと?!
というドキドキのオープニング明け。
(直前にJDMの恋の噂を知らされることにもなった今週のSmallvilleのエピソードも、怖い夢を見たまま目が覚めないという病気がテーマでしたが、またむやみに長くなるのでここで感想を述べるのは今回はやめておきます)





いかにも場末のバーといった感じの店に画面が切り替わると、店の奥の方にはなんと真昼間からウィスキーを飲んでるサムの姿が!

前回のエピソードで、Rubyのお師匠さんから、

『あんたなんか、もう本命じゃなくなったの』

なんてあっさり言われてしまって、さぞ役立たずな気分に苛まれているだろうとは予想していたものの、お酒ですか!昼の2時から?

『酔っ払いサム』でまず頭に浮かんでくるのはもちろん、2.11『Playthings』です。
あの時は父ちゃんが遺した衝撃の秘密をついにディーンから告白された直後で、父ちゃんが心配していたようなダークサイドに堕ちないためになんとか人助けをしたいと思っているのにうまくいかなくて、やっぱり思いっきり役立たずな気分に襲われた挙句、ディーンがちょっと部屋を留守にした隙に一人で盛大に酔っ払って、兄ちゃんをベッドに押し倒しそうになったり、兄ちゃんにとんでもなくツラい約束を強要したりしていたのでした。

さて、今回のサムの荒れ具合、本当に単なる役立たず気分のみに基づいたものなのだろうか…と注意深く見守っていると、サムを探してやっぱり酒場に姿を現したディーンに、


I tried, Dean.  To save you.


なんて言い始めたから、またさらにむむっ、とサムの言動に注目です。
この兄弟、普通の人間なら秘密にしておくべき事柄をあっさりとお互い告白してしまうことでもよく知られていますが、まさかディーン、前回のRubyとのあの会話の内容をもうサムに…?
そんな画面のこちらの心配をよそにサムは言葉を続けます。


I mean, where you're going...what you're gonna become.

I can't stop it.



ええっ?ディーンを地獄から救う方法なんかないと認めたRubyのあの言葉、ディーン、サムに言っちゃったってことなの?!と思ったら、


I'm starting to think maybe even Ruby can't stop it.
俺、(兄ちゃんの死は)Rubyにだって止められないんじゃないかと思い始めてきたよ。


thinkやmaybeが入ってるってことは、あくまでサムが自分で考えてそういう仮説に達したってことで、さすがにディーン、あのRubyとの会話をサムに洗いざらい話してしまったわけではないみたい。
でもその後で、(ここまでのエピソードで画面のこちら側から完全にサムのその気持ちは汲み取ってはいたけれども)サム本人の口からこんなにはっきりと聞かせてもらえる日がくるとは思ってもいなかったような台詞が続いて、私は正直感動しました。


But, really, the thing is, no one can save you.
でも本当を言えば、誰にも兄ちゃんを助けることなんかできない、ってことなんだよ。

(だから俺がずっとそういって…、と口を開いたディーンを遮って)

No, that's not what I mean. I mean, no one can save you because you don't want to be saved.
違う、俺が言ってるのはそういう意味じゃない。俺が言いたいのは、兄ちゃん自身が助かりたいと思っていないのに助けるなんてこと、誰にもできないってことだ。

I mean, how can you care so little about yourself?
ねえ、どうして兄ちゃんはそんなに自分を粗末にできるの?

What's wrong with you?
兄ちゃん、どうしちゃったんだよ?


シーズン3が始まって以来、兄ちゃんを死なせたくない一心でなんとか兄ちゃんを助ける方法を探そうと、たった一人、必死に努力してきたサム。
そんなサムが一番手を焼いていたのは、サムがこんなにも兄ちゃんを愛して大事に思ってるっていう気持ちが兄ちゃんにちっとも伝わらずに、自分はサムにとってなんの価値もない存在だと思い込んだまま一人であっさり地獄に行ってしまおうとしているディーンの心なのだ、ということはこの妄想日記で繰り返し言ってきたことです。

それでもシーズン3に入って以来、毎回毎回のサムによる兄ちゃんの心揺さぶり作戦が功を奏し、シーズン3の第1話から

自分のことはもうどうなってもいい、俺はもうサムから手を離して、サムを自由にしてやるんだ

と、はっきりと結論を出してしまっていたように見えたディーンの心に、ここ数話、明らかな迷いが生じてきているのが私たちにも見て取れました。

この時点ではきっとディーン自身にも答えがわかっていなかったはずのサムからのこの重大な問いかけに答える前に、ディーンの携帯が鳴り出します。

ボブ、緊急時の連絡先として、兄弟を指定していたのですね!
当然と言えば当然のことながら、兄弟とボビーの絆にこんなところでも心が温まります。
しかしドクターからボビーの健康状態について質問されたディーンが、「風邪もひいたことない」と断言しているのがなぜか笑えます。

今回、こうしてボビーの病室で会話をしている兄弟のシーンがよく出てきますが、Chicago Conの時、Jaredはボビーがカメラに写っている間ボビーことJimの足元で、ずっとJimの爪先をつまんだりしていたずらしてたんだって言ってましたよね。
最後の最後、カットの声がかかった時、さすがに “What's wrong with you?” ってJimに怒られたけど、カメラに写ってる間Jimはぴくりとも動かなかった。彼は鋼鉄の爪先を持ってるよ、って。(笑)

4月に放送されることが決まったらしい追加のエピソードを含めてもいつものシーズンより大幅にエピソードの数が減ってしまうシーズン3、DVD BOXには、せめてこうしたJ2のいたずら映像を大サービスで大量に入れてくれるといいのですけどね。

そしてもう一点、今回(私は)初めて気付いたのは、帽子を被らず、明るい照明の元にいるボビーの髪の色って、あれ茶色というより赤毛じゃありませんか?
まさにどうでもいいことですが、赤毛のボビーちょっと気になりました。


とにかく全くの健康体なのに眠りに落ちたまま目を覚まさなくなってしまったボビーの謎を探るため、兄弟はボビーの泊まっていたホテルに戻り、
Dr. Walter Greggという睡眠障害を研究していた神経学者が、ボビーと同じように眠りについたまま、こちらは死んでしまったことを、そしてボビー自身も刑事を装ってその教授のことを調べていた事実を突き止めます。
Dr. Greggのアシスタントの女の子が、ボビーのことを

A very nice older man with a beard.

と描写しているのにも思わず頬が緩みます。
ディーンには結構つれない態度で接している彼女、ボビーにはあきらかに好印象を抱いていたということがわかりますよね。
ボビー、女性を一瞬で味方につけてしまうテクニック、ぜひ兄弟に(っていうか、サムはもともとその素質を持っているので、比較的いつも女の子に胡散臭がられることの多いディーンに…)教えてあげて欲しいものです。

父ちゃんはどうだったのでしょう?私は、父ちゃんにあの声と笑顔でSweetheartなんて声をかけられた瞬間、洗いざらい全てを話してしまう自信がありますけど…。

結局亡くなった教授のアシスタントの女の子から少々脅迫気味に教授の研究資料を巻き上げ、教授の実験対象だった青年を訪ねてきたディーン。
子供の頃の頭の怪我が原因で夢をみることができなくなったという青年は、教授に処方されたひどい匂いと味の黄色いお茶を飲むことによって、非常に鮮明な夢をみることができたと、でも怖くなってすぐに実験への参加はやめてしまったというのですが…。





シーンは前後してしまいますが、少しでも今回のSupernaturalな事件の説明を短縮するためショートカットしてしまうと、この青年こそが今回の事件の犯人Jeremyであるわけですよね?
Jeremyは、自らが神として君臨できる夢の世界を取り上げられないよう、邪魔者と認識した人間の夢に入り込み、支配して、夢の中で死なせてしまうという恐ろしいことをしているわけですが、夢を支配するためには対象となる人間の身体の一部(究極としてはDNA)をなんらかの形で入手する必要がある。
この後のシーンでのボビーの証言により、Jeremyに勧められたビールを飲んだことにより、ビンの口についた唾液からDNAを奪われ(これはまさにCSI!)、Jeremyに夢を支配されてしまうことになってしまうのだということがわかります。

最初にこのエピソードをみた時は、ビールに黄色いお茶を混ぜてあるのかとも思いましたが、Jeremyはあきらかに栓をしたままのビールをディーンに渡しているし、あのお茶を飲んだら直後に意識を失うなんていうことも言ってるので、ビールはあくまで邪魔者のDNA獲得のための手段であると判断できます。

小さなことですが、ここでディーンは、クリスマスのエピソードでサムに貰ったことが明らかになったAmuletに続き、Jensenがシカゴのコンベンションで語ったことを実践し、指輪をビールの栓抜きとして使っていますね。





JeremyにDNAを奪われてしまったことには全く気づかないまま、調査を終えてボビーの病室に戻ってきたディーンは、なんだか妙に思いつめた顔でじっとボビーの寝顔を見つめています。

サムはディーンが調べてきた教授の実験の様子をもとに、教授がJeremyの治療に使っていた黄色いお茶の正体が、African dream rootとしても知られる Silene capensis という薬草であり、何世紀にも渡りシャーマン達がDream-walkingのために(つまり他人の夢の中に入るために)使っていたものであることをつきとめました。
そしてDream-walkingを行う者は充分に訓練を積むことにより、他人の夢を完全に支配することのできるFreddy Krueger(私は一度もまともに見たことがありませんが、エルム街の悪夢のフレディですね)になれるのだと。

結局ディーンの強い望みにより、なんとかそのAfrican dream rootを入手して、兄弟二人でボビーの夢の中へと入り、ボビーを連れ帰るという作戦を実行することに。

(この辺りの相談をしつつ病院の廊下をあるく兄弟が老人とその付き添いの看護師さんという二人連れとすれ違いますが、時々画面に挿入されるこうした普通の大きさの人たちによって、ディーンが全くもって小さくなんかないのだということに気付かされて驚愕します!点滴を杖代わりに歩くおじいさんもディーンより頭一つ分は確実に小さくて、そのおじいさんよりも小さな女性の看護師さんはディーンの肩までもまったく届いていません。でも兄弟のツーショットになった途端、ディーンはまた一瞬でちっちゃくなってしまう…、サム、あんたって人は本当に巨人です。)

ボビーのベッドの傍らでじっとボビーを見つめていたディーンの思いつめた顔に続き、危険すぎるよと渋るサムをごり押しして、ボビー救出のためボビーの夢の中に飛び込むことをサムに認めさせたディーンは、決め台詞として

Dean: Dude, it's Bobby.

と、言っていますね。

現在、どうにも手のつけようもないまま感想文が保留になっているS1『Devil’s Trap』では、とにかく父ちゃんを助けたい一心で、ためらうことなくメグに冷酷な所業をし、(合間にサムを助けるためメグのお兄さんもこれまたためらうことなく始末し)父ちゃんの体を乗っ取った黄色い目の悪魔が中にいる間にとどめをさせ!と父ちゃんから強要されたサムを押しとどめて、悪魔を殺すことよりも父ちゃんの命を守ることを選んだディーン。

ディーンが命の危険を冒してもボビーを助けることをなんの迷いもなく選び取る様子には、ディーンが父ちゃん、そしてサムという唯一の肉親を大切に思うのに遜色ないほどにボビーを大事に思っていることが明白に現れているように思います。





この後、兄弟がAfrican dream rootを手に入れるにあたっては、あれってストーリーの流れ上必要だった?という感覚もいま一つ拭い去れないBela&サミーのサービスシーンが挿入されますが、
(Belaのおっぱいのふくらみに「おおう!」と気をとられ、そして夢の影響で身体に生じたやむを得ない現象によりすぐには椅子から立ち上がることもできないサミーと一緒に鼻の下をのばしていた私は、今回のBelaの役どころにも、「あー、やっぱり」という程度でこれといって特別な感情は抱かなかった、というか、今後の展開を思ってBelaのことがちょっと心配になったりしていたのですが、このエピソードが放送になった後色々なところで『Bela、大っ嫌い!!!もう我慢できない!』という叫びを目にして、正直ちょっと意表を突かれました。皆それだけ兄弟の苦労&苦悩に感情移入しつつ、兄弟の前途を心配しつつドラマを鑑賞しているということなのですね。若いFangirlsの心とこんなところでまたギャップが…。しかしBelaの不人気ぶり、エピソードが進むごとにファンの共感や好意を着実に獲得しつつあるように思えるできそこないの悪魔娘Rubyとは、見事に対照的です。)

ここでまたシーンは前後しますけれども、無事にJeremyを退治して戻ったサムがボビーとモーテル(ホテル?)の廊下を連れ立って歩くシーンで、ディーンの夢の中に入ったサムがJeremy以上の支配力を発揮できたことについて、ボビーがほんのちょっと心配そうに

あれはお前のpsychic stuffとかいうやつに関係があるわけじゃないんだよな?

と問いかけたあの言葉が、全く意味の無いことであるはずはない、と考えると、

サムのあのエッチな夢には、まったく違った解釈が出てくるような気もするのです。

ボビーの夢の中に入った時も、ディーンの夢の中に入った時も、サムは夢を見ている本人のところへは行かず、まるで何かに吸い寄せられるように邪悪な存在であるJeremyに出くわして対決するはめになっていましたよね。

現実でのBelaの登場シーンが、サムの夢のシーンとどれほど似通っていたかを考えると、サムの見た夢を単なる美味しい夢と捉えるだけでいいのかという疑問も湧いてきます。

黄色い目のおじさんがいなくなって以来、ぱたりと止まっているというサムの予知夢や不思議な能力は、本当におじさんと一緒に消えてしまったの?
それともサムの潜在能力を刺激していたおじさんがいなくなったことで、再び眠りについているだけなの?
Rubyとの交流や、ディーンを助けたいと願う非常に強烈な感情に晒されることによって、サムの力がまた少しずつ目を覚まし始めているのかもしれない、なんていう風にも考えられるのかも、なんて思ってしまうのです。

とはいえ、


Dean: Dude, you were out. And making some serious happy noises. Who were you dreaming about?

Sam: What? No one. Nothing.

Dean: Come on. You can tell me. Angelina Jolie?

Sam: No.

Dean: Brad Pitt?


サムの超可愛いあの笑顔と some serious happy noises を発している弟を愛しそうに眺めるディーンの顔をみると、サムの予知夢が再び?!なんていう恐ろしい解釈はどこかに飛んでいって、ただむやみにニヤニヤしてしまいますけれども。





他の身体の部分よりはましか、ってことで、ボビーの毛(どこの毛?)を振り入れたお茶で乾杯した兄弟は、奥さんがいた頃の綺麗に片付いたボビーの家にやってきます。

ディーンはボビーに目を覚ますよう説得を重ねながらも、ボビーがハンターへの道を歩むきっかけとなったボビーの辛く暗い過去を知ることになり、
サムは一人、まるでSmallvilleのセットみたいに目映い光に満ちた庭へと何かに誘われるように歩み出て、Jeremyと対決。

ここでは兄弟は、なんとかボビーを救い出して三人同時に目を覚まします。
(ディーンが目を覚ますまでお茶のカップを握ったままだったというのがちょっと可愛いですよね。(笑))

夢の中で知ったボビーの過去についてちょこっとだけ話し合い、じっと見つめあうボビーとディーン。

そこに入ってきたサムは、この親密な見つめあいが父ちゃんとディーンだったら、途端に眉間に皺を寄せて何かしらの妨害行為におよぶところですが…。

ボビーの説明により、夢を支配し人を死に至らしめていた犯人が、父親にバッドで頭を殴られるという悲惨な事故の後夢を見られなくなったというJeremyであること、そしてJeremyが他人の夢を操る手口なんかについても詳しく説明を受けた兄弟ですが…、ディーン、Jeremyに勧められたビール、飲んじゃってました。

Dean: I was thirsty.
  だって、喉渇いてたんだもん。


眠ったらJeremyにやられる、ってことで、それから丸二日、まさに一睡もせずに(これはディーンだけ)、Belaの助けまで借りてJeremyの行方を追い求めた兄弟ですが、どうにも見つからず、ついにディーンは眠って夢の中でJeremyと対決すると言い出します。

サムは、もちろん兄ちゃんを一人で行かせることなんかできるわけもなく、お前に頭の中を覗かれたくないと抵抗するディーンの髪の毛をむしりとって、ディーンと一緒に夢の中に飛び込みます。





ディーンの夢の中では、まさに今回のエピソードのタイトルにもなっている『Dream a Little Dream of Me』という曲の甘い歌声がバックに流れる中、S3EP2でディーンに、父ちゃん&サムのいない人生を一瞬夢見させたLisaに対面して、気恥ずかしい思いをしつつ、

サムはやっぱりJeremyに引き付けられるように走り出し、

案の定、二人ははぐれてしまいます。

サムを追いかけて森の中を走っていたはずのディーンは、森の景色が壁紙となったホテルの廊下のようなところに迷い込みます。

きぃーっと微かな音を立てて開いていく目の前のドアの向こうの部屋へと足を踏み入れると、部屋の奥のデスクに座ってスタンドをつけたり消したりしている男が。

振り返ったその男の顔は!

ディーン。

自分の潜在意識と向き合うことが、ディーンにとっての最悪の悪夢だったとは。


Dean: But you can't lie to me. I know the truth.


そう、夢だとわかっている以上、ディーンが自分の意思で目を覚ませばそこで夢は終わりのはず、でも二日貫徹の疲れと眠気を抱えたディーンの身体は、そう簡単に目を覚ましてくれないのです。
(そういうことじゃないの?)
ディーンは、じっくりと自分の潜在意識の声を聞かされることになってしまいます。





Dream!Dean: I mean, you're going to hell, and you won't lift a finger to stop it. Talk about low self-Esteem. Then, again, I guess it's not much of a life worth saving, now, is it?
  なあ、お前は地獄へ行く、なのに、お前はそれを止めるため指の一本も動かす気もないんだ。自己評価の低さの話でもするか。といったって、今や、お前には救うべきほどの命も残ってないとも言えんのかな、そうだろ?


サムを除けば、お前には何も残ってない、お前は自分の考えもなく、ただ命令されたことだけをする噛み付き犬だ。そんなの本当のことじゃない。違うのか?

お前が欲しいものってなんだ?お前の夢ってなんだ?

そうだな、お前の車、あれは父ちゃんのだ。

(うんうん、これは知ってた。まさにシーズン1のパイロットのエピソードで、赤ちゃんのサムを抱いた父ちゃんは、ちっちゃなディーンと一緒にImpalaのボンネットに座ってました。)

お前のお気に入りの革のジャケット、父ちゃんのだ。
(ディーンのジャケット!なんだか妙にぶかぶかで身体に合ってないと常々思っていましたが、父ちゃんのお古だったのですね!)

お前の好きな音楽、父ちゃんのだよな。
(ディーンの大好きな古~いロックももともとは父ちゃんが聴いていたものだったんだ…)

お前には自分独自の考えってものさえないんじゃないか?

そんなことない。

いいや、お前の頭ん中にあるのは「サミーに注意してやれ。弟の面倒をみるんだぞ、坊主」っていう命令だけだ。父ちゃんの声がいまだに聞こえるんだろ?はっきりと。
父ちゃんがお前にしてきたのは、威張りくさってお前を鍛えただけだ。
でもサムは…。父ちゃんはサムを溺愛してた。父ちゃんが愛してたのは、サムだけだ。

Dream!Dean: Dad knew who you really were -- A good soldier and nothing else. Daddy's blunt little instrument. Your own father didn't care whether you lived or died. Why should you?
  父ちゃんは本当のお前を知ってたよ…。ひとりの良き兵隊、で、それ以外のなんでもない。父ちゃんのぱっとしないちっぽけな道具さ。お前の父ちゃんすらお前が死のうと生きようと気にしなかった。どうしてお前が気にする必要がある?

Dean: You son of a bitch!

思わずそう叫んで、夢の分身を突き飛ばすディーン。そして堰が切れたように、ディーンは分身から奪ったショットガンで殴りかかりながら自ら叫び始めます。

Dean: My father was an obsessed bastard! All that crap he dumped on me about protecting Sam --That was his crap! He's the one who couldn’t protect his family! He's the one who let mom die! Who wasn't there for Sam! I always was! It wasn't fair! I didn't deserve what he put on me! And I don't deserve to go to hell!
  俺の父ちゃんは取り憑かれたろくでなしだ!俺に押し付けてきた、サムを守れなんていうたわ言だって、…あんなのは父ちゃんの責任じゃないか!父ちゃんこそ、家族を守れなかった張本人だ!ママを死なせたのだって、父ちゃんじゃないか!サムついててやりもしなかった!いつも一緒にいたのは俺だ!そんなのフェアじゃない!父ちゃんが俺に押し付けてきたのは俺が背負うべき重荷じゃない!それに、どうして俺が地獄に行かなきゃならないんだ!


最後の言葉を叫びながら、分身に向けてショットガンを放つディーン。

しかし血だらけの分身が再び目を開くとその目はBlack eyesになっていて。

Dream!Dean: You can't escape me, Dean. You're gonna die. And this -- This is what you're gonna become.
  ディーン、お前は俺から逃げられはしない。お前は死ぬ。そしてこれが、…これがお前がそうなる姿だ。





これまで約三年ほども続いたシリーズの中で、ディーンが父ちゃんに向ける愛情はサムに対するものとは微妙に違った意味で、無条件でした。

小さな頃から、サムが『父ちゃんもう死んでるかもね』なんてポロッとこぼす度、『そんなこと言うな!父ちゃんは死んでない!』と必死に反論してきたディーン。

(父ちゃん自身の命が危険にさらされる可能性がない限り)父ちゃんのあらゆる言いつけに、何一つ疑問を挟まずに従ってきたディーン。

ディーンが父ちゃんの言いつけを無条件に守るようになった一つのきっかけとして、『Something Wicked』でのトラウマを挙げることもできるのでしょうが、私の解釈としては、ディーンのこうした父ちゃんへの無条件の服従は、純粋に父ちゃんに対する愛情と尊敬に基づいているものだと判断してきました。
ディーンは父ちゃんを無条件に愛し、尊敬していて、父ちゃんの命令がとにかく自分たち兄弟を愛し、自分たちの安全を考え抜いた上のものであることを心の底から信じていたからこそ、時に理不尽にすら思える父ちゃんの命令にすらディーンは無条件に従ってきたのだと。

しかし父ちゃんと離れ離れになって、サムとの二人旅を続けてきたこの三年余り、ディーン自身、その成長の過程でそもそも少しも疑問になど思ってもいなかった父ちゃんに対する自分の愛情の、そして父ちゃんが自分に向ける愛情の本当の価値に、氷水をぶちまけるような言葉の暴力が繰り返し繰り返し、それはもう執拗なほどに投げつけられるようになったわけです。

一見、まったく自分というものを持たずに父ちゃんの言いなりになっているように見えるディーンに対し、サムはあきらかに嫉妬心(=父ちゃんへのライバル心)から、
(兄ちゃんには自分の考えってもんがないのか?兄ちゃんが助けてって電話した時も、俺が、兄ちゃんが死にかけてるって電話した時でさえ、父ちゃんは無視したんだ…)

そして悪魔達はディーンを排除してサムを手に入れようと企む下心から、
(ぱっと思いつくだけでも、黄色い目の父ちゃんに、黄色い目のおじさんに、赤い目のサンディーに…、悪魔たちはこれまでどれほどディーンを口汚く蔑み、悪しざまに語ってきたか、簡単には引用もできないほど)

考え付く限りあらゆるパターンの蔑みの言葉がディーンにむかって投げかけられてきたように思いますが、そうした言葉がどんな風にディーンの心に届いているのかという描写はこれまで一度もドラマ内に出てきていませんでした。

今回、ディーン自身の潜在意識との対話の中で、サムや悪魔達の言葉がどれほど深くまでディーンの心を侵食していたかを目にして、胸が痛くなりました。

この妄想日記を長く読んできてくれた人なら、父ちゃんのディーンに向ける愛情がどれほど混じりけのないもので、ディーンのことをどれほど大事に思っていたかについて、疑問を挟む余地はないと信じますが…。

シーズン2の第1話『In My Time of Dying』で、ディーンの命を救うため、自分の命をあっさりと犠牲にした父ちゃん。

でもディーンにしてみるとあの時も、ダークサイドに堕ちたサムを殺す、なんて、考えたくもないような責任を自分に押し付けて父ちゃんが逃げたように感じたのかもしれません。
シーズン2に入ってしばらくの間、ディーンはずっと不安定で荒れていましたよね。
万一の時にはサムを殺せ、なんていう言葉を残して逝くなんて、父ちゃんはどうかしてるんだ!って、初めて父ちゃんに対する非難の言葉を口にしたのもその頃でした。

それでもシーズン2の最後、地獄から出てきた父ちゃんのあの顔と涙を見て、父ちゃんの愛情をもう一度再確認してくれたと思ったのに!

でも別の視点から考えてみると、狡賢く、手段を選ばずどんな汚い手をつかうことも厭わない悪魔と対決して、ディーンが自分の生きる道を探り、獲得するためには、たとえ一時でも、自分の望みを一番に持ってくるような考え方ができるようにならないといけないということなのかもしれません。

誰かのために自分を犠牲にしても構わないという気持ちは、悪魔にとっては付け込むのに最適な、絶好の弱みになるということなのかも。

でも…、ボビーとの絆ばかり深めて、父ちゃんに対する気持ちをこんな風に爆発させるなんて…、父ちゃんが聞いたら、絶対泣いちゃうよ。父ちゃん、ディーンのことは、ひょっとしたらサムよりも愛してるのに…。

そんなことをあれこれ考えたまま、サムのかっこいいJeremy退治も、Belaがコルトを盗んで逃げたという衝撃の事実もほとんど上の空のまま、ドラマはエンディングへ。


Dean: I've been doing some thinking. And... well, the thing is... ...I don't want to die. I don't want to go to hell.

Sam: All right, yeah. We'll find a way to save you.


幾分はにかむような口調で途切れ途切れに語るディーン。
4歳でママを亡くして以来、ひょっとしたら初めて、ディーンが素直に自分の望むことを口にした瞬間だったのかもしれません。
ディーンの死にたくない、地獄へ行きたくない、という言葉を耳にして、サムは安心のあまり、いまにも涙ぐみそうに見えます。

最後にBlack Eyesになったディーンの分身の言葉をリフレインさせたのは、蛇足、のようにも感じてしまいましたが…。

でも、自分のワガママを口にし慣れていないディーン、あの瞬間の鮮烈な恐怖を思い出さないと、思わず、「やっぱりいいや…、死んでも…」なんて訂正しちゃいそうだったのかな?


***


かなり省略したつもりでしたが、やっぱりまた妙に長くなってしまいました。
しかも語りたいことをまだ全ては語れていないような気も…。特に父ちゃんについて…。

今回のエピソードと対になるような、第11話の感想文もなるべく早く書きたいけれども、今回また予想以上に体力を消耗してしまったので、また少し間が空いてしまうかもしれません。
でもなるべく、気力が続いているうちになんとか…。

6 件のコメント:

mika さんのコメント...

じっくり読ませて頂きました。いつにも増して深い内容のエピソードで観ていて本当に辛かったです。悪魔達はどれ程DEANの心を傷付ければ気が済むんでしょう?10話でDEANの心境に変化が表れて「生きていたい」と思うよになるって知ってましたが、まさかこんな形で表現されるなんて意外でした。そして感心してしまいました。SAMでさえDEANの気持ちを変えられないのに、いったい何が起こるんだろう?と思ってたので・・これなら納得です。DEANが思わず口走ってしまう叫びだって全部が本当じゃなくても、不満に思って当たり前の感情ですよね、愚痴ひとつ言わない方が不自然なんですから・・DEANにはそういう自分自身も含めて真正面から向き合って逃げずに闘っていって欲しいです!!

yumiusa さんのコメント...

たびたび失礼いたします。Ep10の感想文ありがとうございます。朝の出勤前に、時間も忘れて読みふけってしまいました・・・。最近のEpは、今日も入れてあと5話しかないのに、いろいろ濃いすぎて消化しきれません。とりあえず、お姉さんとしては、BelaがFanの女の子たちに殺されないように祈ります。藤葉さんの感想文を読んで、またいろいろ考えることが増えましたが、最後にDeanが 死にたくない と言ってくれたことが救いでしょうか。Samの言うように、2人ならDeanを救う方法を見つけられると信じています。

藤よう さんのコメント...

mikaさん

完全に父ちゃんびいきの視点でこのドラマを追いかけてきている私としては、悪魔達が父ちゃんをネタにDeanの心を傷つけようとするたび、「嘘よ!そんなことないのよー!」ってDeanの耳元で叫びたくなってしまいます。

今回、Deanが父ちゃんに向けて発した言葉は、Jeremyに支配された最悪の悪夢の中で、捻じ曲げて誇張したものなのだとは思うものの…。
JDM、もう一回くらい戻ってきて、父ちゃんが間違いなくDeanのことを愛してたってことをDeanに思い出させてくれないかなー、と思います。
Deanが本当の意味で自分自身ときちんと向き合っていくためにも、それが重要になってくると思うんだけど…。

藤よう さんのコメント...

yumiusaさん

朝の出勤前に?!
こんなグダグダと長い日記を読んで、お時間は大丈夫だったでしょうか。遅刻したりしてないといいですけど。

12話で終わってしまう可能性に向けて、ここしばらく急激なラストスパートが続いて、本当にあれこれあれこれ消化しきれませんよね。
兄弟の感情面の演出がサービス満点の盛りだくさんだけに、観ている側としては大変消耗もしますが、あっちへ飛ばされたりこっちへ飛ばされたりしつつも、ちゃんと進むべき道に向かって軌道修正されてきているようでもあり、今後の展開が楽しみになってきた感じもあります。まだまだこれからやってくる本当のシーズンフィナーレに向けて油断はできませんが…。

匿名 さんのコメント...

今回も盛りだくさんの感想文、ありがとうございました。そして、お疲れ様です。堪能させてもらいました。

BobbyとDeanの夢の中で、Jeremyに引きつけられる様に動き出す、というSamの解釈に「なるほど、確かに!」と感動してました。最後、Samがイメージを具現化できたところにしか食いついておらず、Jeremyと引き合って出会ったのも、もしかすると・・・という発想にまでは至っていなかったので、Bobbyと一緒で、ますますSamの力のことが気になってきますね。

あと、BobbyとDeanの間に遠慮がちに入ってくるSamとか、コップ握りっぱなしのDeanとか、大変可愛かったなぁと、こちらで思い出してニヤニヤさせてもらいました。

兄弟の行く先も心配ですが、fangirlsの間でそんな感想が飛び交っていると知って、心配になってきました、Belaの今後・・・。ただのフジコちゃんじゃない設定だとは思うのですが、ここから挽回できるのか、微妙になってきますよね。S3残り話数で、どうもって行くのか、期待しながら待ちたいと思います。

藤よう さんのコメント...

takanameさん

Samのpsychic stuff復活?!についての解釈は、深読みしすぎてるかなーという気もしていたのですが、Ep12で、ライバルとされるLilithの強烈さを目にした後だと、Samの中にもあれに匹敵するほどの力が眠っているってこと?予知夢復活の可能性くらいでびびってる場合じゃないかも…とも思うようになってきました。

Bela&Ruby、さらには犠牲者として入れ替わり立ち代り毎週のように登場する女の子たちの扱いに加え、(ゴードンに続いて)ヘンドリクソンをあっさりあんな目に遭わせたことで、ドラマの『白人男性至上主義』の傾向について、海の向こうのFangirlsの間で最近大論争が勃発していたみたいですね。
これも私は騒動のほんの一部をちらりと目にしただけですが、ちょっと驚かされました。

でも配役の偏りなんかについて人種&性差別の議論が湧いてくるというのはそれだけ多くの人の目を集めるようになってきている事実の裏返しともいえるのかもしれませんね。
S4では、色んな人種のキャストが新たに追加されたりして…。