2007年1月15日月曜日

X-File slasher の見たSupernatural その8

第4話です。

オープニング明け、いきなりのサービスショットからスタートです。
眠るディーンを脚から頭まで舐めるようなカメラワーク(ほんと、誰の指示なの?)。
模様ガラスのついたての向こうでガチャガチャと鍵が開く音がして、のっぽな癖毛頭のシルエットが現れます。
ドアのところで一瞬立ち止まって首をかしげるのっぽの影(もちろんサム)。


ガラス越しに、自分の気持ちも知らずのんきに熟睡しているディーンに向かって、襲ってやろうか、という殺気を発っしているようです。
さすがのディーンもこの殺気に目を覚まして、枕の下に左手を滑り込ませます。



もはや、この妄想日記の中では常識となりつつある事実ですが、サムの不眠症はジェシカや悪霊退治のストレスのためなんかじゃなく、ディーンのためだ、という藤葉の定説を確固たるものにしているシーンといえるでしょう。
悶々として寝付けずにいるすぐ横のベッドで、あんな色っぽい寝姿を一晩中見せ付けられたら、いかに精神修養を積んだサムでも、何もかも振り捨てて兄ちゃんを襲ってしまいたい、という誘惑にかられるのは当然です。

Dean: "Did you get any sleep last night?"(昨夜、少しは眠れたのか?)

Sam: "Yeah, I grabbed a couple hours."(うん、二時間くらいはね)

Dean: "You're lier."(嘘ばっか)

ディーンに"Lier"呼ばわりされた後、「俺が3時に目を覚ました時、お前は、the George Foreman infomercial (例の深夜、早朝のTVショッピング)を見てた」という、ディーンの根拠を聞くまでの間、サムは一瞬ですが、なんというか呆然とした表情を浮かべます。
それはあたかも、「寝ている兄ちゃんをおかずに、何かをしているところを見られた?ひょっとして?」という衝撃の顔のようです。(やっぱり、やってるんだね、サム)

とりあえず、やばいところを見られたわけではない、と、ほっとしたサムが、「眠れなくったって、たいしたことじゃないし、兄ちゃんには関係ないだろ」とかなんとか言い訳を始めると、

Dean: "It's your job to keep my ass alive. I need you sharp."
    (お前の仕事は俺(の尻)を生かしておくことだ。お前にはシャープでいて欲しいんだ)

そりゃあもう、当然、うんうんうんうん、とうなずくサム。
そして、「まじで、ジェシカのことでまだうなされてんのか?」と問いかけるディーンに、サムは一つ大きなため息をついて、

Sam: "Yeah. But it's not just her, it's everything.
I just forgot, you know, this job....
Man, it gets to you."
   (ああ。でも彼女のことだけじゃないんだ、あらゆることだよ。
   俺、忘れてたんだ、つまり、この仕事ってさ…
   精神的にくる、もんがあるだろ)
[藤葉註:くどいようですが、サムが忘れてたのは、兄ちゃんに対する自分の思いがどれほどのものかってことです]

Dean: "You can't let it. You can't bring it home like that."
    (そんなのに振り回されてんな。そんなことで神経やられてるんじゃねえよ)

Sam: "So, what, all this, it never keeps you up at night?"
    (じゃ、なんだよ、こういう状況で、兄ちゃんは眠れなくなったこと一度もないっていうのか?)

ないよ、と首を振るディーン。

Sam: "Never? You're never afraid?"
   (一度も?一度も怖いと思ったことないのか?)
[藤葉註:しつこいようですが、afraidの後に サムの心の中では、of me (俺を)って言ってます]

Dean: "No, not really."
   (ないな、これといって)

サムは鼻で笑って、ディーンの枕の下からごっついナイフを引っ張り出します。
(サムが最後の一線を越えるのを我慢しているのは、ディーンがこんな物騒なお守りを隠し持っていたからなのですね)

Dean: "That's not fear. That is precaution."
   (それは、怖れじゃない。予防措置っていうんだ)

Sam: "All right, whatever. I'm too tired to argue."
   (わかった、なんとでもいえよ。言い争いする気力も失せた)

そんなところに電話が鳴り、以前父ちゃんとディーンが仕事をしたことのあるおじさん(Jerry)から依頼が舞い込みます。

兄ちゃんのことにかまけすぎている嫌いのあるサムですが、このSupernaturalでは、父ちゃんとの確執というのも大きなポイントになっています。
男の子が成長の過程で男親とぶつかるというのは大切なステップで、それがないとディーンのように親離れの出来ない、父ちゃん大好き青年が出来上がってしまいます。

そこでちょっとわざとらしいくらいのおじさんの台詞。

Jerry: "He was real proud of you, I could tell.
He talked about you all the time."
   (君の父さんは、君(サム)のことを本当に自慢に思ってるよ、それは間違いない。彼は君のことばっかり始終話してたもんだ。)

ほら、俺がいつも言ってるとおりだろ、と言いたげに、ちらっとサムを見るディーン。

Sam: "He did?" (父ちゃんがそんなことを?)

Jerry: "Yeah, you bet he did." (ああ、確かにね)

さらにおじさんこんなことも、

Jerry: "Well, we're missing the old man, but we get Sam. Even trade, huh?"
   (親父さんがいないのは残念だが、サムが来てくれた。差し引きゼロってとこか?)

Sam: "No, not by a long shot."
   (そんな、とんでもないですよ)

そう謙遜しながらも嬉しそうなサム。
ライバルや宿敵が自分を認めている、と知るのも、男の自尊心をくすぐる最大級のポイントです。

ここまでほんの数分のシーンをいったいどこまで掘り下げれば気が済むのか、という感じですが、そんなこんなで今回も(やっと)お仕事です。
今回は、飛行機に乗る人に取り付いては悪さをする悪魔が相手です。

早速新しい偽造IDを製作しているディーンを車のところで待つサム。
それまで大して待ちくたびれた様子もないのに、コピー屋さんから出てきたディーンが、すれ違った女の子にへらっとした笑顔で挨拶したのを目にした途端、

Sam: "You've been in there forever."
   (時間かかりすぎなんだよ)

相も変らぬ兄ちゃんへの執着ぶり。
そして、この少し後のシーンで、Men in brack(X-Fileでもお馴染み、黒スーツは謎の政府組織で働くお役人の制服といっても過言ではありません)に扮装する二人ですが。

Dean: "Man, I look like one of the Blues Brouthers."
   (俺、ブルースブラザーズの片割れみたいじゃないか)

なんて言ってるディーンに対し、すかさずサムが、「いやむしろ七五三みたいだよ」という私の心の声を代弁してくれます。

Sam: "No, you don't.
You look more like a seventh-grader at his first dance."
   (いいや、どっちかっていうと、初めてダンスパーティーに行く7年生(中1)みたいに見える)

サムのあんまりなコメントにキレるかと思いきや、自分の姿を見下ろしてディーンは一言、

Dean: "I hate this thing."
   (だからこういう格好するの嫌なんだよ)

ディーン、自分でも実は内心自覚があったようです。

墜落機が保管されている倉庫に入り込んだ二人。
ディーンお手製のEMFメーター(お化け探知機)にサムがケチをつけるあたりでも、ディーンはむしゃぶりつきたくなるようなあけっぴろげな可愛い表情全開で胸が痛くなるほどです。

さて、今回X-Fileファンのコメントがない、とお嘆きの奇特な貴女に、悪魔に憑り付かれた人間の Black eyes は当然のこととして、主人公二人が飛行機に乗るシーン、について。
あれだけアメリカ中(時には香港やロシアまで)をあちこち飛び回っているモルダーですが、飛行機に乗っているシーンはほとんどなくて、一番印象的なのな第1話で UFO abductees を調査に行くシーンくらい。モルダーことデイビッド・ドゥカブニー自身が「僕は飛行機嫌いで…」なんて語っていたのをどこかで拾い読みしたことがあります。

ディーンの飛行機恐怖症の設定がDDの飛行機嫌いに関係しているとはいいませんが、これから悪魔祓いをしなきゃならない深刻な状況なのに、兄ちゃんの弱みを見つけたサムがにやにやしっぱなしなのと、おびえ続けているディーンが妙に可愛いのがたまりません。
兄ちゃんを思う存分自分の庇護下に置いて、大人の自分を見せ付けることができる状況が、サムは内心嬉しくてしかたないのでしょう。

なにはともあれ今回も兄弟は事件を解決します。(萌シーン以外はあっさりと…)

エンディングにて、そういえばJerryおじさんはなんで6ヶ月前に変えたばかりの俺(ディーン)の番号を知っていたのか、と(本当に今更ながら)ディーンが尋ねると。
父ちゃんの番号にかけたら、ディーンの番号にかけろ、とメッセージが流れたから、とのこと!

半信半疑で父ちゃんの携帯を鳴らすディーン。
するとJerryが言ったとおり、父ちゃんのメッセージが!
飛んでいく飛行機をバックに、頭をくっつけるようにして、父ちゃんの声を聞いている兄弟の姿にぐっときて、第4話終了とあいなります。

連絡不能とはいえ、父ちゃんが留守電はチェックしていると知った兄弟は、今後、弱音を吐きたくなる度に、父ちゃんの留守電にメッセージを残すようになります。

次回は第5話。

0 件のコメント: