この前の日曜日、生まれて初めて「きじ鍋」というものを食べました。
きじ、鳥の種類の「きじ」です。
夫の仕事の関係での知り合いであるとある社長さんがいるのですが、このおじ様にこれまで実際に私がお会いしたのは、過去に一回だけながら、常々私はこの社長さんのことを陰ながら「食いしん坊の先輩」と勝手に師事してきました。
お酒と煙草と女性、そしてなによりも美味しいものが大好き、というこの社長。
還暦も目前という年齢ながら、まだまだダンディーで若々しく、なかでも夫経由で聞かされる、この社長が日本の色々な場所で食べてきた様々な美味しいもののお話は、とにかくいつでも間違いなく私の「食いしん坊」としての本能を心の底から揺さぶってくれるのですが、中でも、「きじ鍋」については、数年前から「いつか奥さんも一緒に連れて行く」と仰ってくださっていて、ずっと楽しみにしていました。
ところが私がほとんど寝たきりになるほどの大病を患ったり、突然夫の仕事で愛知県に引っ越すことになったり、となかなかその機会も訪れずすっかり忘れかけてもいたのですが、先日の日曜、夫がその社長のところに「また関東に帰ってきました」と挨拶にいった折、突如
「今晩、きじ鍋を食べにいくぞ!もう奥さんの分まで予約したからな」
って言われたって言うのです。
日曜日、SPN S3の妄想日記をなんとか書き上げたところでいつもの通り消耗していた私は、今日はもう出かけたくない…といつもの引きこもりの癖が出かけたものの、まだ食べたことのない「きじ鍋」という言葉の誘惑には打ち勝てず、夕方4時に自宅を出発して社長たちと合流し、総勢5人で秩父の山奥深くにある「きじ亭」というお店に向かいました。
秩父のお店についたのは、6時少し前というところ。
とても温厚そうな老夫婦お二人で切り盛りしているそのお店は、普段は夜7時で閉店となってしまうそうなのですが、その日は「ゆっくりしていただいて大丈夫ですよ」と仰っていただいて、6時からゆっくりと「きじ鍋」を堪能させてもらいました。
帰り道の運転手として任命されていた私は、非常に残念ながら手を出せなかったのですが、社長と夫は「きじ酒」を頼み、まずテーブルに運ばれてきたのは、
「きじ焼き」。
きじ鍋用の肉をさばいた後の骨に僅かに残った肉に塩を振って炭火で焼いただけのものなのですが、骨をつまみ、すごい歯ごたえの肉をなんとか引きちぎって噛み締めるとなんともいえないうま味が口の中に溢れます。
社長曰く、「酒のつまみに最高なんだよ!この骨をずっとしゃぶりながらいつまででも酒を飲んでいられる」とのこと。
くぅ~っ!私も「きじ焼き」と一緒に、きじ酒をちびちびやってみたかった!
次は「きじのたたき」。
あれはきじのささみの部分なんでしょうか、小さく叩いて円形に盛りつけたピンク色のお肉の中心には細かく刻んだ白ねぎと生姜のすりおろしが添えてあって、ピンクのぷりっとした身に薬味を載せ、お醤油につけて口にいれると、強烈な歯ごたえの「きじ焼き」と同じお肉とはとても思えないほどの柔らかな歯ごたえです。臭みなんかもまったくありません。
これもお酒のつまみに最高なんですけどね…。
そうこうしている内に土鍋の中で湧いてきた濃い目の琥珀色のお出汁に、大皿に盛られた鍋の具をもう順番関係なしにどどっと入るだけ投入してしまいます。
主役のきじ肉に、お豆腐、白菜、きのこが数種類(椎茸、舞茸、えのきに、スーパーで見かけるちっちゃな丸いなめことは似ても似つかない天然の大きななめこ)に青みのセリ(かな?)くらいのごくシンプルな具材です。
白菜に火が通ればもう食べ頃。
野菜とお肉を取り分けて口に入れると…!!!
とにかくこの琥珀色のお出汁のうま味が絶妙なのです…。
これもきじのガラを煮出してとったスープがベースなのだろうと思うのですが、ため息が出るような純粋な美味しさに、その場の全員が一瞬で笑顔になりました。
また社長の日本各地の「食いしん坊話」を色々聞かせてもらいながら、土鍋一杯の具を楽しく美味しくぺろっと平らげ、さらにきじ鍋の具をもう一度追加して、それも平らげ、最後は残ったお出汁にご飯を入れ、卵を回し入れて「お雑炊」です。
お鍋だけでもかなりの満腹状態で、とても「お雑炊」までは…、なんて思ったものの、「騙されたと思って食べろ」と言われて一口口に入れると、あまりの出汁のうま味に、またぺろっと食べてしまいました。
大満足で、それでも8時くらいにはお開きになりましたが、帰り際ご主人が
「そろそろ猪の猟が解禁になりますから、12月の半ばくらいには最高に美味しいのが食べられますよ」
と、またそそるようなことを!
今年はなんでも5年に一度の森の木の実の大豊作の年なのだそうで、秋の木の実をお腹一杯食べた猪は丸々と太ってとても美味しいとのこと。
「12月も後半になると、犬に追い回されて痩せちゃうんだけど。その後は発情期でメスを追い回すようになるからオスはガリガリになっちゃうんです」
なんていう豆知識も教わりました。
☆
社長によると「しばらく経つと、また無性に食べたくなるんだよ」とのことですが、「きじ鍋」、予想していたような臭いやクセは一切なく、とにかく身体に染み入るようなうま味がまさに「癖になりそう」な美味しさでした。
今回はすっかり日が暮れて外は真っ暗になっていましたが、社長はいつもは「朝11時頃にきて、窓の外に広がる山の景色を眺めながら、ゆっくり酒を飲みつつ鍋をつついて(…途中居眠りしたりして(笑))、夕方4時頃帰るんだ。今度はぜひ昼間来てみろ」とのこと。
「きじ鍋」をつつきつつ、昼からゆっくりお酒を飲むなんて!
まさに池波正太郎の世界です。
「きじ亭」から徒歩でいけるくらいのところに素泊まり可能な温泉宿があるので、いつかそこに泊まって、美味しい「きじ鍋」を食べながら、昼からのんびりお酒を飲んでみたいというのが、私の食いしん坊の夢に加わりました。
☆
近いうちにファーストシーズンの妄想日記の続きをいい加減書きたい!と思いつつ、なんだかシーズン3の新しいエピソードが毎週あっというまに放送になってしまって、なかなか進みません。
Suzanne Brockmannのトラブルシューターシリーズ6冊目のペーパーバックもなんとか今日読み終わりそうで、終わったら感想文を書くかもしれません。
6 件のコメント:
SPN EP-5の感想をとお邪魔してみれば雉鍋を食べられたとのコメントを拝見しました。こちらでは道路の近くに雉が飛んでます。
高速道路では猪をよけ損なって事故を起こしたそうですし、最近は見かけませんが猿もでたりします。どんだけ田舎なんだかです。
雉の肉は硬いのかと思ってました。あんなに勢いよく飛んでるもので筋肉質だろうと思ってました。
1週間は早いですね、もうすぐEP-6の放送ですね。EP-5では私もずいぶん元気そうな病人さんだと思ってました。お話の内容と違うところで突っ込みたくなるところ満載でしたが、やっぱり次回を楽しみにしてしまいます。ブログの二重管理でお忙しいと思いますがこちらのSPNの感想も時間のある時にまたお願いします。お風邪などひかれませんように。
藤葉さま
こんばんは!キョウです。
先日はアカウントについてのご助言、ありがとうございましたv ユーザ名の変更が可能でしたので、今後もキョウ名義でログインできそうです。またよろしくお願いいたします。
キジ鍋!さっそく「きじ亭」チェックしました。秩父でヒットしましたので、多分あそこでいいと思うのですが…ちょっと自分にはまだハイクラス過ぎるお値段でした(汗)。でもいつか食べたい!しし鍋も食べたいです。おいしい肴とお酒…梅安さんと彦さん(漫画の方ですが)の食卓シーンではいつも涎が出てしまいます。あの2人も、SPNに負けず劣らずナイスコンビですねv
ところで今回の記事は私の行動エリアに非常に近く、ドキドキしながら読ませて頂きました。思わず窓から秩父連峰を見やってみたり。次の美味しいものとの出会いレポも、楽しみにしておりますv
AIさん
夕方出かけて「きじ」が食べられるくらいですから、私が住んでいるところもたいして変わりません。:D
同じ市内でも山際の地区の友達は小学校時代「熊避け」の鈴をランドセルにつけていたなんていう話を聞いたことがありますし、私は社会人になってから、狸が歩道を歩いているのを一度だけ目撃したことがあります。その時はさすがに目の錯覚かとも思いましたが、あのふさふさの尻尾は確かに「たぬき」でした。
北関東の町は割とどこからも山が近いので、野生動物と出会う機会もまだまだ多いのかもしれないですね。(AIさんは北関東ではなかったのでしたっけ?)
SPN S3も次回どうなってしまうのでしょうね。ちょっと展開がどきどきします。
キョウさん
キョウさんのお住まいになっているところからは秩父連邦が見えるのですか?
日曜の晩にはその山のどこかに私がいた、ということですね。:D
「きじ亭」。現在私は無職の身で夫の一馬力で生活している我が家としても、スポンサーがいないとちょっとひょいひょいとは食べに行けないお店です。
梅安さんと彦さん、小説ではいつも何か(大根と剥き身のあさりとか)を「さっと煮た」鍋をがつがつ食べてるイメージです。鬼平だと長谷川平蔵さんが、見回りの途中「しし鍋屋」の座敷に上がり込んで、ゆっくりお酒を飲んだり。
つらつらと思い出していると、また池波正太郎を読み直したい!という気持ちが蘇ってきてしまいます。
それにしてもあの「きじ亭」の情報が検索できるとは驚きました。ネットの情報網はあなどれませんね!北関東の食いしん坊は、日常の生活圏内にかすってしまうことも多いので、名前と場所を出すのはなるべく控えておこうと思いつつ、今回ばかりは美味しさの感動が大きくて(笑)思わず名前を出してしまいました。
(AIさんへのお返事で言い忘れましたが、お鍋の具のお肉はそうでもありませんけど、焼いた雉肉はまさに筋肉質で硬いです!でもうま味は強い、という感じ。(笑)たぶん生のささみの部分だった「たたき」は驚くほど柔らかい口当たりでしたけれども。)
雉鍋。初めて聞きました。雉といえば、「桃太郎」のイメージしかなくて(笑)あと、国鳥??
この日記を読んで、昔食べた鴨鍋を思い出しました。もうお腹一杯、満足と言いながら、最後に出てきたフワフワ卵雑炊(ダシは鴨)をペロリと食べてしまった事を。これからの季節。鍋物ですよね♪
kyuさん
桃太郎。そういえばお供に雉がいましたね。
鴨だと、「鴨だ」っていう香りがありますが(…鴨ダシの卵雑炊美味しそう!)、雉は不思議なほど、なんのクセも臭いも感じませんでした。
さらに今回は私が代表で卵になる前の「お腹の中のタマゴ」を食べさせてもらったりして、ちょっとどきどきしましたが美味しかったです。
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