2008年11月10日月曜日

Supernaturalシーズン4第8話あっさりめに感想文

X-Filesの映画第2弾の公開に浮かれているうちに、(このところ場所がお休みに入る度に、本当にあれこれスキャンダル続きで、一ファンとしては随分辛い思いをさせられ続けながらも…)横綱白鵬がクセモノ安美錦に初日から土をつけられるという波乱の九州場所も始まってしまったので、

なんとか記憶が飛んでしまう前に、少しだけSupernaturalの新しいエピソードの感想文を…。




以下の記事にはSupernaturalシーズン4のネタバレが含まれます。

日本での放送もしくはDVDのレンタルor発売まではネタバレを回避することにしているという方は、閲覧ご注意ください。さらに私の独自の解釈に基づく翻訳には、誤解、曲解、妄想が含まれる可能性が大いにあります。その点を充分にご承知置きいただいた上で、妄想に基づく私の馬鹿な感想を読んでもいいという方のみ先に進んでいただけますよう、くれぐれもよろしくお願いいたします。








***








前回のハロウィーンの楽しい騒ぎに紛れて

『サムがついに天使と遭遇した上、もう使わないと決めたはずの恐ろしい力をつかっちゃった!しかもサムはCastielの同僚天使から、ディーンの下の階での記憶を聞いてみろ、なんて言われてるし…。ディーン、Lilithが「全部覚えてるはず」って言ってたの…本当だったってこと?』

という緊張のエピソードの後、

今週のオープニングは、ホラーやサスペンス映画にはお決まりの美人のシャワーシーンで、彼女の背後には不気味な青白い人の姿が見えたり消えたり…。

女性がタオルかけに向かって放り投げたタオルが、目に見えない幽霊の頭になんとも上手い具合に乗っかっちゃって、「はいっ、どうぞ!思いっきりやってください」とキューを出された感じで、もちろん女性は悲鳴を張り上げます…。





オープニング明け、過剰に陽気でフレンドリーなウェイター君に邪魔されつつ、兄弟が、

兄ちゃんが覚えてないのに、Urielが聞いてみろなんていうのおかしいだろ?だったら俺の目をまっすぐに見つめて、下の階のことは何一つ覚えてないって言ってみろ。なんて厳しく追求するサミーに、

兄ちゃんは目の前に並べたショットグラスのお酒を次々と空けながら、最近すっかり大人っぽくなったハンサムな弟の目をみつめ、下の階のことは何一つ覚えてません!

と前回の重たいエピソードをひっぱりつつ、レストランのど真ん中で大っぴらに二人で見つめ合ったりしています。

で、俺たちこれからどうする?と話題をそらすディーンに、とりあえずのところは、追求を保留することにしたらしいサムはラップトップを取り出して、

あー、今の所、悪魔の活動も、悪魔の現れる兆候(Omen)も出てなくて、入ってきてるのは、UFOの目撃例だとか典型的なくだらないやつだな、一つだけ、Vengeful Spiritかなーっていうのがこの、Health facility(辞書の訳では保健医療施設ということだけど、健康スポーツセンターくらいな感じ?)のシャワールームで女性が幽霊に遭遇して、(逃げる途中)階段から幽霊に投げ落とされたってやつなんだけど…、

とラップトップを兄ちゃんに向けたサムに、兄ちゃんは口に含んだビールを思わずぷっと噴出しつつ、食事の代金のお札をテーブルに投げ、

女性。シャワー? 俺たちその人たちを救いに行こう。

とあっさり決定。





問題の町につくと、今回は珍しく兄弟はそれぞれ単独で調査を開始。

中華料理屋さんの前でImpalaから降ろされたサムは、国のあちこちで起こった不思議な話を集めた「Supernatural」という本を執筆中のノンフィクションライター(笑)という触れ込みで、-近くの席の妙に不釣合いなカップルの過剰なアツアツぶりにあっけにとられたりしながらも-シャワーで幽霊に遭遇したという女性から話を聞いてみると、

姿の見えない幽霊に追いかけられた上、その幽霊はなぜか彼女の名前まで知ってて、さらに

「奇妙なのは、私(実はどうやら自分で足を滑らせて)階段から落ちちゃったんだけど、階段の下でその幽霊ったら、あたしを助け起こして何度も「ママには言わないで!」なんて言ったのよ!」

なんて、どうにも Vengeful Spirit らしからぬ証言が飛び出します。

ニセ取材を終えたサムが、地元の男性が宝くじに当選した!という事実を伝える地元の新聞を眺めてるディーンと落ち合うと、ディーンの調査でも、シャワーやその他の場所で、EMFとかとにかくなんにも反応なしだ、とのこと。

で、目の前を駆けていくいじめっ子に追いかけられる小さな男の子に気合を入れたりしつつ、二人で歩き始めると、今度はなんと狩猟中、Big Footの足跡に遭遇した!という人物に出くわし、そのおじさんに教えてもらった現場に本当に残されていた「Big Foot?のものらしき大きな足跡」を辿っていくと、町の酒屋さんの壊された裏口に辿り着きます。

Big Footは「Amaretto and Irish cream.」なんていう女の子が飲むような甘ったるいお酒と、ポルノ雑誌を棚から根こそぎ奪っていった様子で、ポルノの棚にはふわふわの茶色の毛がひと房残されていました。

ディーンが現場を調べつつ、お酒を一本ジャケットの魔法のポケット(この前のシーンでも新聞を4つ折り程度の大きさのままこのポケットにしまってましたよね。この父ちゃんの日記を入れるために衣装さんがディーンのジャケットの全部につけたという特別製のポケット!今回初めて画面で確認した気がします)に、こっそり滑り込ませていましたが、これも今回のエピソードの兄弟に関わるストーリーのキーとなる小さな伏線ともいえる気がします…。

すっかり訳がわからなくなって、リカーショップの前のベンチに二人で可愛く並んで腰を下ろし、

Sam: It's got to be a joke, right? Some Big-Ass mother in a gorilla suit?
  これって何かのジョークかもね?ゴリラの着ぐるみを着た馬鹿でかいおばちゃんとかさ?

Dean: Or it's a Bigfoot. You know, and he's some kind of a Alcoholo-Porno addict. Kind of like a Deep-Woods Duchovny.
  じゃなきゃ、まじでビッグフットだとかな。でさ、しかもそいつってアル中のポルノ中とかだとかさ。Deep-Woods Duchovny(森の奥深くのドゥカブニー)って感じで。




少し前の日記のどこかにも書いたと思うのですが、X-FilesのモルダーことDavid Duchovnyが、Sex Addictの治療のため自らリハビリ施設に入所したなんていう話題を芸能ニュースで見たところで…、でもさすがに撮影スケジュール的にもまさかそんな取って出しの最新ニュースを台詞に盛り込めるはずがないので、

これは、X-Files映画第2弾の日本公開に(明らかに)便乗する形で、まさに映画の公開日に日本でDVDが発売された邦題「No セックス No ライフ」(原題は「Trust the Man」:2006年)のDDの役柄から発想した台詞ということなのでしょうね?

ジュリアン・ムーアや、マギー・ギレンホールなんていう女優さんたちも出演しているこの映画、実は私はまだ観たことがないのですが…、DVDの宣伝文句の中には、「あのモルダー捜査官がセックス・マニアな夫を熱演!?」なんていう衝撃的な言葉が踊っているので(DDは映画でそんな役を演じたことで、「自分もそうだ…」と気付いてしまったということなのか…)、ディーンはこの映画を(やっぱりサミーと一緒に?)観たってことなんでしょうか…。

ディーン、この子はやっぱり結構、ラブコメ映画を観てるってことなのね…という私の気持ちに呼応するように、

サムが薄っすら笑みを浮かべている兄ちゃんを振り返ったりしていると、

二人の目の前を通り過ぎていった小さな少女の自転車の荷台に積んだカゴから雑誌が一冊落ちて、それを拾い上げてみると「Busty Asian Beauties」(アジアの巨乳美女たち)という、ディーンが地獄から帰還した瞬間すぐに最新号をチェックしていたほどのディーンの愛読書。

「Busty Asian Beauties」にはちょっと早いんじゃないか?

と言いつつ、二人で少女の後をつけると、

少女は酒瓶とSkin Mag(ポルノ雑誌)が一杯に入ったカゴに『Sorry』(ごめんなさい)というメモを添えて「「Big Foot」の足跡が入っていった酒屋さんの裏口に置き、足跡を逆に辿るようにして帰っていきます。





女の子の家を訪れた兄弟と女の子のやり取りが最高に可愛いですよね!

ご両親はいる?(このサムの子供向けの高い声が!(笑))いないわ。じゃあさ、君、見かけなかったかな、(ディーンがこーんなでかくて…という感じの仕草をしつつ)ほんとに毛深くて…。彼、何か面倒を起こしたの?いや、俺たちはただ彼が大丈夫かどうか確かめたいだけなんだ。

すると女の子は声を潜めて、

彼、私のテディベアなんだけど、病気みたいなの。丁度よかった、だって俺たち「Teddy bear doctors」なんだ。ホント?じゃ彼を診てあげてくれる?彼、あたしの部屋にいるんだけど、すっごく機嫌が悪くって。テディ?いい先生たちがあなたを診てくれるって!

と言ってドアをあけると、大きなテディベアが惨劇ばかりが報道されるテレビを眺めてこの世とわが身を憂いつつ、酒瓶を片手に:

Teddy: Close the friggin' door!
  ドアを閉めやがれってんだ!

………。

Audrey: See what I mean? All I ever wanted was a teddy which was big, real, and talked. But now he's sad all the time --Not "Ouch" sad, but Ouch-In-The-Head sad -- Says weird stuff, and smells like the bus.
  ね、あたしの言った意味わかるでしょ?あたしが欲しかったのは、大きくて、本物の、お話しが出来るテディだったのに。今の彼ったら、ずーっと哀しがってるの――どこかが「イタイイタイ」で哀しいんじゃなくて、「頭の中がイタイイタイ」で哀しいっていうやつ。――変なことばっかり言ってて、バスみたいな臭いがするし。(アメリカのバスって…、どんな臭いなんでしょう?この流れで想像するに、おじさんみたいな臭いって感じ?)

Dean: Um, little girl...
  あー、おちびちゃん…。

Audrey: Audrey!
  オードリーよ!(小さくたって、レディーです)

Dean: Audrey. How exactly did your teddy become real?
  オードリー。君のテディ、正確にはどうやって本物になったんだい?

Audrey: I wished for it.
  お願いしたのよ。

Sam: You wished for it?
  お願いしたの?

Audrey: At the wishing well.
  『お願いをかなえてくれる井戸』でね。



可愛いオードリーちゃんのおかげでやっと掴んだ有力な手掛かりを調べるため、サムがオープニング明けのシーンで取材していた中華料理屋さんへとやってきた兄弟。

先ほどいじめっ子に追いかけられていた小さな男の子がなにやら真剣な顔でお願いして去っていったのと入れ違いに『お願いをかなえてくれる井戸』の前に立ち、「何をお願いするつもり?」というサミーに「内緒!」と言って、とりあえずディーンがコインを投げてお願いしてみた瞬間、

最高に美味しいa footlong Italian with jalapeno(1フィートのハラペーニョ入りイタリアンサンドイッチ)

のデリバリーが届きました。

テディベアに、サンドイッチに、宝くじの当選に、またもや過剰なラブラブぶりを見せ付ける非常に不釣合いのカップルに…、この『お願いをかなえてくれる井戸』って本物みたい…。

保健所の職員を装って店の営業を停止させた上、井戸の水を抜き、底を調べ始めた兄弟は、なんだかとっても切ない会話を始めます:


お前もちょっとお願いしてみたいんじゃないか?と言ってサムに向かってコインを投げるディーンに、サムはくすっと笑ってコインを返し、いや。こんなのは本物ではありえない。俺は信用しないよ。どうかな。あのクマはかなりリアルだったぞ。ああ。


Dean: Come on, if you could wish yourself back, you know, before it all started... Think about it --You'd be some big yuppie lawyer with a nice car and a white picket fence.
  やってみろよ、もしお前が、つまりこんなことの全てが始まる前に戻れるとしたら…。考えてみろよ…、お前は、お偉い洗練された都会の弁護士とかになって、いい車に乗って、白いとんがりフェンスのある家に住んでさ。

Sam: Not what I'd wish for.
  そんなのは俺の望むことじゃない。

Dean: Seriously?
  まじで?

Sam: It's too late to go back to our old lives, Dean. I'm not that guy anymore.
  昔の生活に戻るにはもう遅すぎるんだ、ディーン。俺はもうそんな男じゃない。

Dean: All right, well, what, then? Hmm? What would Sammy wish for?
  わかった、じゃ、だったらなんだ?ん?サミーくんは何をお願いする?

Sam: Lilith's head on a plate. Bloody.
  皿に載せたリリスの首だ。血まみれの。

Dean: Okay.
  オーケー


軽い調子で冗談めかしながらも、ディーンがサムに願って欲しいと思う「お願い」の内容は、できることなら、着実に近づいているらしい「この世の終焉」なんていう鬱陶しいことを全て捨て去ってでもサムを戻してやりたいとディーンが願うサムの姿であるに違いなく、

そしてそんなディーンの言葉を軽い笑顔を浮かべて聞き、「俺はもう昔の俺じゃない」と静かに口にするサムの表情がまた苦しくなるくらいに大人びていて、

シーズン1で兄ちゃんが無理やり父ちゃん探しの旅に誘いにきた頃のサミーとは完全に別人の大人の男になってしまったサムを前に、なんとも寂しそうな顔で「Okay」と目を伏せるディーンの表情に泣かされそうになります。





兄弟の強烈なAngstの気配をよそに、井戸の底には、物知り博士のサムすら見たこともないという古いコインが一枚張り付いていて、どうやってもとれません。

ふと何かにぴんと来たらしいサムはノートの切れ端にコインの模様を写し取って兄ちゃんに調べるように指示して、自分は幽霊事件のあったシャワールームを訪れ、世界中の思春期の男の子の大半が共通して抱く願いであると推測される「透明人間になって女性用シャワールームを覗きたい」というお願いをした少年を見事に現行犯で捕まえて厳重注意。

(しかし、シャワールームに突然馬鹿でかい男性がずかずかと入り込んできて、「ご心配なく、保健所のものです」なんていわれても、そりゃあ、走って逃げますよね!
この少年を叱りつけるサムがまた笑えるほど大人っぽくて素敵ですが、でも…この男の子のお願いにぴんと来たということは、サムくんも確実に過去に同じお願いを頭に浮かべたことがあるってことですよね?)


一方の兄ちゃんは、今度は逆にいじめっ子を追いかけている小さな男の子に遭遇した直後、強烈な食あたりの発作に襲われて、サムがホテルに帰ってきた時にはバスルームでトイレを抱えているような状態に…。

そんな状態でも、きちんとコインの図案の調査は進めていたディーンによると、

コインはバビロニアのもので、呪いがかけられている。図柄の蛇は、原初のカオスを司るバビロニアの女神ティアマトで、ディーンの推測によると、コインを作ったバビロニアの司祭たちは、カオスの種子を撒き散らすための何かかなりやばい黒魔術を行ったのではないか、ということ。
(この辺りの台詞の解釈は、かなりいい加減ですのでご注意ください)

そして誰かがそのコインをあの井戸に投げて願いをかけたことで、あの井戸がカオスの始点になってしまった。井戸はやってくる者皆の願いをかなえ始めたけれども、願いは歪んだ形でもたらされる。

お話のできるテディをお願いすれば、「Bipolar」(躁うつ病)のクマちゃんが現れ、
(シロクマ=ホッキョクグマの「Polar Bear」にかけてるんですね…)

最高に美味しいサンドイッチをお願いしたディーンは、E. coli(大腸菌)まで一緒に貰ってしまった

ということに。

このカオスを終息させるには、呪いのコインを投げて最初の願いをかけた人間を探し出し、願いを撤回させるしかない。





とりあえず解決の糸口が見つかったので、食中毒で消耗したディーンがお昼寝していると、シーズン4が始まって以来、ディーンが可愛い顔で寝ている間決まって現れる恐ろしげなフラッシュバックがまたディーンを襲います。

明らかにうなされているディーンに声をかけて起こしたサムは、目を覚ました途端にBipolerテディが襲撃した酒屋さんからくすねてきたお酒を呷っているディーンに、「兄ちゃん、俺の目が節穴だとでも思ってるのか?」とオープニング明けのシーンの議論を蒸し返すことにしたようです。


Sam: The nightmares, the drinking. I'm with you 24/7. I know something's going on.
  悪夢に、飲酒に。俺は兄ちゃんと一年中一時も離れずに一緒にいるんだぞ。俺には何かおかしいことくらいわかる。

【24/7:これは、一日24時間、週7日、一日も休みなしを表す表記。日本語では通常、年中無休という言い方が普通ですね。私はかつて、某X-FilesのSのつくお話しのタイトルから、この言い回しを覚えました。某モルダーがひょんなきっかけから某副長官の家に住み込みでお仕えすることになり…というお話で…。なかなかの名作なんです。】

Dean: Sam, please.
  サム、頼むよ。

Sam: Uriel wasn't lying, but you are. You remember hell, don't you?
  嘘をついてるのはUrielじゃなくて、兄ちゃんなんだろ。兄ちゃんは地獄のことを覚えてるんだ、そうじゃないのか?

Dean: What do you want from me, huh? What?
  俺から何を聞きたいっていうんだ、は?なんだよ?

Sam: The truth, Dean. I mean, I'm your brother. I just wish you'd talk to me.
  真実だよ、ディーン。つまり、俺は弟なんだ。せめて俺には話して欲しいって願ってるだけだ。

Dean: Careful what you wish for.
  願い事をする時は気をつけろ。

Sam: Cute.
  口が減らないな。


【Cute:には、もちろんキュート、可愛い、という意味があるのですが、最近こうした話し言葉で、こんな風に「生意気な…」的な意味で使われる用法をちょくちょく見かけることがあるような気がします】

Dean: Come on, can we stow the couples therapy, huh? We're on a job. I want to work.
  なあ、カップルセラピーはとりあえず置いとこうぜ、な?俺らは仕事の真っ最中なんだ。俺は仕事がしたい。


【Couples therapy: というと、大抵の場合、問題を抱えたカップル(夫婦)が関係を修復するために胸のうちを打ち明けあうようなセラピーという印象です。この兄弟って、周りの人からカップルに間違われるだけでなく、自分たち自身でもこういう冗談が言えてしまうから、私のような人間がついつい妄想に取り込まれることになるのです…】





結論として、中華料理屋さんでこれ見よがしにイチャイチャしていた不釣合いカップルの彼氏、Wesley Mondaleがおじいさんから譲り受けたコインコレクションの中のコインを使って最初の願いをかけたという事実を兄弟は突き止めます。

このWesley Mondaleを演じるTed Raimiという俳優さんは、スパイダーマンシリーズの監督として有名なSam Raimiの末の弟さんで、お兄さんの関わる作品のほとんどに出演しているのだそうですね。
「スパイダーマン」はかろうじて観たはずが…、このTedさんの顔を見ても全くぴんときませんでした。


WesをImpalaに乗せ、なんとか願いを撤回させようと説得する兄弟に、


Wes: "Careful what you wish for." You know who says that? Good-Looking jerks like you guys, the ones who've got it so easy because you happen to be handsome.
  『願い事をする時は気をつけたほうがいい』そんなことを言うのはどんな人間か知ってるかい?君たちのような容姿の秀でたやつらさ、君らのようなやつはたまたまハンサムだってだけで、簡単に何でも手に入れられるからね。

Sam & Dean: Easy?
  簡単だって?

Wes: Yeah. Women --Women look at you, right? They notice you.
  ああ。女性は、――女性は君らのことを見るだろ?彼女たちは君らに注目するもんな。

Sam: Believe us, we do not have it easy.
  信じてくれ、俺たちは何でも簡単に手に入れたりなんかしてない。

Dean: We are miserable. We never get what we want. In fact, we have to fight tooth and nail just to keep whatever it is we got.
  俺たちは惨めなもんだ。俺たちは、俺たちが望むものを絶対に手に入れられない。実際、俺たちはなんでも手に入れたものを手元に置いとくためだけのために必死に戦わなきゃならないんだ。



等など、兄弟の訴えもそれほど心に響いたとも思えなかったWesではありますが、

小さな男の子がいじめっ子たちが逃げ込んだ大きな四駆の車を軽々ひっくり返した様子を目にしたり、

Wesと兄弟の話を漏れ聞いた(Wesの婚約者の)Hopeが、Wesとの仲を引き裂かれたくない一心で、サムが雷に打たれて死ぬことを願ってしまうという事態に至って、

ついに願いを撤回することに決め、

全ての願いが元に戻り(でもディーンの機転であの小さな男の子は今後もういじめられることはなくなったよう)、町に平和が戻ってきます。

Wesが井戸から取り出したコインをサムが溶かしてしまったということで、今後再び町をカオスの渦が襲う心配も消えました。
(Audreyの両親もかなり日焼けして、バリから無事連れ戻された様子…)





さて一件落着、と思った時、ついにディーンが口を開きます。

待ってくれ。なんだ?お前は正しい。なにが?俺はお前に嘘をつくべきじゃなかった。俺は地獄で起こったこと、何もかも覚えてるんだ。一つ残らず。だったらそれを俺に話してくれ。駄目だ。


Dean: I won't lie anymore. But I'm not gonna talk about it.
  これ以上嘘はつかない。でも地獄でのことをお前に話すつもりはない。

Sam: Dean, look, you can't just shoulder this thing alone. You got to let me help.
  ディーン、なあ、こんなことを一人で背負うなんて無理だ。俺に手助けさせてくれ。

Dean: How? Do you really think that a little Heart-To-Heart, some sharing and caring, is gonna change anything? Hmm? Somehow...heal me? I'm not talking about a bad day here.
  どうやって?お前本当に、そんなちょっとした心と心を開いて話し合うとか、分かち合って思いやるとかってことで、何かを変えられると思うのか?え?どうにかして…俺を癒せるとでも?俺は、今日はついてなかった、なんていう甘っちょろいレベルの話をしてるんじゃないんだぞ。

Sam: I know that.
  それはわかってるよ。

Dean: The things that I saw......there aren't words. There is no forgetting. There's no making it better. Because it is right here... Forever. You wouldn't understand. And I could never make you understand. So I am sorry.
  俺があそこで見たものは……言葉になんかできるもんじゃない。忘れられるようなもんでもなけりゃ、いい思い出に変えられるようなものでもないんだ。なぜって、それはここに(と、頭を叩き)焼きついてるから…永遠にな。お前には理解できない。で、俺もお前に理解させることなんかできないことなんだ。だから(お前には話せない)ごめんな。






ディーンが覚えてる地獄の記憶。

シーズン3のRubyは、人間が地獄に落ちて、何百年と地獄の業火に焼かれてる内に「人間性」みたいなものが焼き尽くされて消えていって、最後には、あたしみたいなもの⇒「悪魔」になってしまうという説明をしていたことがありましたよね?

リリスによれば、地獄での4ヶ月は40年に相当するということですけど、人間の体感年数で40年もの間地獄の業火にさらされたディーンの人間性になんらかの傷がついたりはしていないのでしょうか?

天使たちは、ディーンの地獄での経験をどう捕らえているのでしょう?

これまで、兄弟の内、悪に変わる可能性があるのは「サム」であると誰もが信じて疑わないで来たものの…、

今回のディーンの告白に基づいてあれこれ勘ぐると、地獄を経験したディーンにも、「悪魔」に変わる要素が植えつけられた…とも考えられるんじゃない…?

また考えすぎ?

うーん、どうなんでしょう?

やっぱりここはまた無心に。今後のエピソードを追いかけていくしかありませんね!

7 件のコメント:

eiri さんのコメント...

藤葉様
こんにちは。お邪魔いたします、eiriです。
今回も、素敵レビューをありがとうございました!豆知識も盛り沢山で、最後まで楽しく堪能させて頂きました~。
あんなに台詞に遊びがいっぱい詰まっているとは!しかも、24/7という言い回しも、教えて頂かなければ知らないままで、勿体無いことに~。
日本版が出た時は、教えて頂いた豆知識をもとにして、より楽しませて頂こうと思います!

しかし、今回はテディベアとか出て可愛らしいお話かと思いきや、随所に切ない場面が出てきて、絶妙なEPでしたね。
井戸での願い事の場面は、きっと切ないことを言っているのね…と思っておりましたが、訳して頂いた台詞を拝見して、やっぱりそうなんだ…としんみりしてみたり…(泣)
シーズン2の「もうひとつの世界」では、サムが幸せになるのを見届けたいという願望を持っていたディーンでしたが、今でも幸せな世界にサムを戻してやりたいというのが、彼の願いなのですね。
それに反して、もう戻れないと悟っている大人になってしまったサムの願いが、リリスの首というのも、切なくてやりきれません。
「世界を救う為」というよりは、ディーンの命を奪った復讐の為なの?という気がして、お兄ちゃんが戻った今でさえ、心の傷が癒えていないんだなとこれまた切なくなります。

最後の兄弟のやり取りも、訳を拝見して思い返すとやはり胸が痛くなります。第4話の兄弟のやりとりとは、逆になっていますね。ちょっとずつ前のEPが関連していて、やはりSPNは侮れません…。地獄での40年って本当にどんな感じなのでしょうか?
第6話で「Ghost sickness」にディーンがかかったのは、藤葉様が仰っていた強い後悔+地獄での40年分の恐怖のせいなのかしら…と思い始めたのですが…。確かシーズン1のブラッディメアリーの回で、幽霊は善悪の区別がつかないと言っていた気がするので、恐怖を与えた者と与えられた者の区別がつかなかった上に、強い後悔も持っているということでディーンは「Ghost sickness」にかかったのでは?と個人的に思っています。

あ~でも、本当のところは、どうなんでしょうか?今後の展開にドキドキしつつも、どうなっていくのか楽しみで仕方ありません。それにしても、いつも以上に長いコメントになってしまってすみません(汗)
藤葉様のレビューを拝見して、色々解釈出来るのが楽しくて、つい長々と書いてしまいました。
今回も素敵なレビューをありがとうございました。次の更新も楽しみにしています!

追伸:下のコメントのお返事ありがとうございました!スキナーさんは、やはり素敵なんですね。なんとか時間を作ってお姿を拝見したいと思います~。

藤よう さんのコメント...

eiriさん

毎度兄弟の重要な台詞についての感想文以外はなるべく端折って…と思いつつ日記を書き始めるのですが、
マニアな制作スタッフのおかげで豊富に盛り込まれる細かくて楽しい小さな情報に気付くとどうもそこを突っ込みたくなって、
結果的に、兄弟のシーンの感想文をじっくり書き込む体力が削られている…、という本末転倒的な状況になっている気がします。

>最後の兄弟のやり取り…、第4話の兄弟のやりとりとは、逆に…

eiriさんに指摘いただいて、「あ!」っと思いました。
確かにその通りですよね。
あの時はサムが「(悪魔の血が血管に流れてる俺の気持ちは)兄ちゃんにはわからない」と突き放していましたが、
今回はディーンが全く同じ言葉をサムに返していたということになるのですね…。

この兄弟、お互いがお互いをこの世の何よりも大事な唯一の愛する対象だと思っていて、
相手が抱える悩みや苦しみをなんとか分かち合って一緒に背負おうとするものの、
シリーズの進行と共に、相手を思いやる気持ちだけではどうにもならない状況に追い込まれていくようで、
本当に切ないですね。

そして、リリスを追い詰め殺すことにここまで固執するサムの心についても、私もシーズン4に入って以来、毎週、「どうしてここまで?」とまだ解釈をつけきれない感じで…。

とにかく、この先どうなっていくのか、とにかく楽しみです!

匿名 さんのコメント...

藤葉さん、こんばんは~。FANです。

今頃の反応でスミマセン。なんやかやでやっと8話観終わったところで。

毎エピソード藤葉さんの素晴らしい鑑賞の手引きに多大に助けていただきウン十倍楽しませていただいているのですが、今回改めてcuteとか24/7等のディテールに及ぶ解説のおかげで自力では到底無理な程深~く楽しませていただけているという思いがひしひしで、色々お忙しいのに毎回これほど素晴らしい解説を読ませていただけているお礼を言わずにはおれませんでまたまたお邪魔してしまいました。

また、今回↑でお2人も触れてらっしゃいますが、随所で交わされる兄弟の台詞が重く切なくで。途中織り交ぜられる軽めな場面とのコントラストで余計ずっしり響いてくるような。

それにしても、冒頭のレストランでの兄弟の見つめ合いようには「おぉ」でした。あげく、サムに自分の目を見つめて言ってみろとか言わせるとは:D
最後のディーンの台詞とそれを聞いたサムのなんともいえない表情もまた切なく。

お互いをなにより大切に思いながらもどうにもならないジレンマを抱えつつ兄弟が今後どうなっていくのか益々目が離せませんです。

今後も感想めちゃめちゃ楽しみにしております。お時間許す限りよろしくお願いします。

藤よう さんのコメント...

FANさん

時どき読んでくれてる人なんてほとんどいないのかも…と弱気になりつつ日記を書いている私ですので、こうして感想をいただくのはいつでも嬉しいです。

以前時々「Slash辞書」という私が面白いと思う英語のマメ知識を日記に載せていたものの、こちらの日記でSlashのことを書かかなくなってからすっかり出番も無くなって…、実は自分でもちょっと寂しく思っていたところでした。
その影響もあって最近ついつい、感想文書きの中で引っ掛かってきた、かつての「Slash辞書」的なマメ知識を少しずつ感想文の合間に紛れ込ませちゃおう…というような気持ちが湧いてきてしまっているのかもしれません。
少しでもお役に立っているのならよかったです。

それにしても今シーズン、FANさん仰るとおり、兄弟の仲良しぶりに織り交ぜられる重く切ないシーンのコントラストが絶妙ですよね。

(現在大相撲本場所中でもあり…)あっという間に放送になってしまう新しいエピソードについていくのに息もたえだえという感じですが、毎週本当に楽しみです。
なんとか体力の続く限り細々と日記を書いていきますのでよろしくお付き合いください。

匿名 さんのコメント...

藤よう様
「森の奥の・・・」の意味がようやくわかりました。解説をどうもありがとうございます。
これからもsupernaturalの藤ようさんの解説を頼りにしていこうと思います。
それと、この投稿で藤ようさんが「名作」と言っていた、X-filesのslashの題名はもう忘れてしまいました。もし覚えておられるなら、教えていただきたいと思います。
よろしくお願いします。

藤よう さんのコメント...

たつきさん

ですよね?

無職時代は、毎週のエピソード放送でのセリフなどを自分なりに解釈して覚書に、長々とした日記を書いていたものなのですが、
このところすっかり時間がなくなってしまって、自分でも少々残念です。

私のお気に入りの名作X-Files Slashというと、
この日記でもあげた『24/7』(←これがタイトルなんです)という作品、

もしくは、
私のプロフィールのページにリンクがつけてある、X-Files Slashの翻訳を置いているホームページに、未完ですが…日本語翻訳版を公開している
『Subterfuge』でしょうか。

匿名 さんのコメント...

藤よう様
上記の質問は確かに たつき です。また名前を忘れてしまい、申し訳ありませんでした。
また、slashの方もおしえていただき、ありがとうございます。おそらく「24/7」の方だと思いますので、読んでみたいと思います。
              たつき拝