2007年9月14日金曜日

いいSlashの書き方(その2)

今週は家庭の事情でなかなかゆっくり日記が書けません。

それどころか不覚にも大好きなお相撲すらほとんど見ていません!
(横綱が一人不在、ベテラン魁皇も休場となってしまった今場所は、なんだか少し気が抜けてしまう感じもあって残念です。)

それでもこの数日、日記書きから遠ざかっている間、念願の「TAXi4」(字幕版)を観て来ました。

このシリーズはもともと大好きなのだけれども、やっぱり!面白いですねー!!!
この面白さは理屈抜きです。

エミリアン&ダニエルのコンビの可愛さは相変わらずでしたが、(どちらも奥さん不在のまま)ついに、エミリアンがダニエルのおでこにチューしたり(!)…。

ラッセル・クローの最新作「プロヴァンスの贈り物」(未見)の恋人役として出ている女優さんが、ダニエルの奥さんにそっくり…だと思っていたのだけど、今回ダニエルの奥さんが留守のまま出演シーンがなかったのは、それとなにか関係があるのでしょうか?

マルセイユ警察のお馬鹿ぶりもますますエスカレートして…。

ジベール署長のキャラクターも冴え渡って、とにかく全編大笑いの連続でした。

絶対認めない!と思っていた「TAXi NY」も Christian Kaneが出演していることが判明してからは、以前のように毛嫌いできなくなってしまったし、

今後「TAXi」のシリーズが特典映像などを盛り込んだ豪華版でBOX販売されたりしないだろうか、という夢がますます膨らんでしまいます。



***



繰り返しますが、今週は家庭の事情で、思うように日記を書けない私なのですが、なんと大好きなSlash読みまでお預け状態…。

ま、それはさておき、忘れないうちに、前回の日記からの引き続きで、Jeyhawkさんによる

いいSlashの書き方

の後半をご紹介していきます。

文章を書く上での基本が主なテーマだった前半に対し、後半はいよいよ読者が面白いと思える「物語」を書く上での基本、ということで、内容もかなり込み入ってきます。

そして…、内容が複雑さを増すだけに、一回の日記で「後半」を全てご紹介するのが難しいということが判明したので、今回は「いいSlashの書き方(その2)」ということにして、さらに分割させていただこうと思います。


***


Plot and Characterization.
プロットとキャラ設定

20. Set the scene. I know that throwing the reader into the action is very tempting and in some cases even a good move, but please set the scene at some point. I want to know more about your characters, about the places they frequent and the rooms they move through.

場面を設定して。読者をいきなり話に引き込みたいという誘惑もわかるし、時にはそれでうまくいくこともあるけど、いずれかの時点で、きちんと場面の設定をしてちょうだい。読み手としては、キャラクターのこと、そのキャラのいる場所や部屋の設定も知りたいもの。

21. Use subtext to tell me more about your character. Is he a pedantic neat freak with neurotic tendencies? Don’t tell me, show me. Let me look at his apartment where everything is perfectly aligned, show me how he reacts when something disturbs his ordered world, give him heart palpitations when he realizes he might have to let handy men into his private space.

Show me, don’t tell me.

暗示的にキャラクターの説明をしてちょうだい。ただ言葉で説明するのじゃなくて、あなたのキャラがどんな部屋に住んでいるかを紹介したり、何か事件が起こった時、彼がどんな反応をするかを見せて、彼がどんなキャラクターなのかを教えてちょうだい。

22. Characterization is important. Please give your characters a character or they will just be carbon copies of real people. I assume you know your character, please let me know him too, or the fact that he is acting like a fourteen year old girl will be very confusing to me.

Actually, please stop with having grown men acting like fourteen year old girls, period. If there isn’t a curse involved and you’re actually a good writer, I’m not buying it.

If you don’t know your character and what pushes his triggers, please don’t write him. He will turn out a sloppy mess that is likely to go off in any direction at any given time. I will not connect to him in any way. You fail.

キャラ設定は重要。人物をちゃんと作り込んで、作者がきちんと理解していないと、立派な成人男性の登場人物が、14歳の女の子みたいな行動をしたりすることになっちゃう。そんなのはやめて欲しいの。
そんなのは読者としても感情移入できないってことで。あんたは完全に失敗したってこと。

藤葉: 女の子が書いているSlash、そしてやおいにおいては、油断すると登場人物(特に「受」)は作者を投影したことが丸分かりな「乙女」になってしまいがち。
作者としてそんなつもりは毛頭ないのに、キャラクターに間違った感情移入をした状態で、ストーリーを進めていくうちに、立派な成人男性のはずのキャラクターがとんでもなく女々しいことをし始めたりすることになってしまう。
この22項で言われているのは、それを避けるためには自分のキャラクターをきちんと理解して、そのキャラクターが言いそうなこと、しそうなことを読者が納得できる形で表現しなければならないということですよね。
キャラクターに無駄に自分を投影させない。これって、頭ではわかっていても、キャラクターを完全に自分から切り離して一人の現実味のある人間として書くというのはなかなか難しいことです。



23. Character descriptions are more important than you think, but don’t go overboard. I want a general description of what your character looks like, especially if it is an original one. That doesn’t mean you have to describe them down to the very last freckle, because people tend to make up their own picture of the characters anyway.

Lack of descriptions is one of the most common faults in RPS fiction, because we all know what they look like, right? Wrong. Don’t assume all your readers know the characters; maybe they are looking into RPS for the first time. It would also be good if you don’t wait until page 300 to give a proper description; by that time people will have assumed what the character looks like and your description is bound to mess with that picture.

キャラ説明というのは想像以上に重要ではあるけれども、やりすぎは禁物。それがオリジナルのキャラであれば特に、その外見の一般的な説明はして欲しい。でもだからといってそばかすの全てまでなんていう詳細の説明は必要ないの、だって、どっちみち読者というものは自分なりのキャラの姿を頭に思い浮かべているものだから。

RPSのFicでもっとも陥りがちなのは、説明の欠如。読んでる人間は全員、主人公の見た目を知ってるでしょう、って?それは違うの。全ての読者が、登場人物を知ってると思わないで。ひょっとしたら初めてRPSってものに興味を持った、なんて人だっているかもしれない。詳細な描写を300ページになってからするなんていうのも駄目、それまでには読者は自分なりのキャラクターの姿を思い描いているものだし、あんたの説明のおかげでそれを台無しにする可能性が高いわ。

藤葉:高品質のSlashであればあるほど、ドラマの本編を知らなくてさえ「面白い小説」として読めてしまうもの、そんな原作を知らない読者のためにも全てのキャラを「ご存知のとおり」で基本的な描写を省いて書いてしまうことなんてことはせずに、基本的、一般的な描写だけは提供するようにしてあげようよ、ってこと。
未熟な書き手としては、頭に浮かんだ面白いストーリーを面倒な前置きなしに書いてしまいたい!と思うものだけど、いずれ自分でオリジナルの小説を書いてみたいと思っている人間ならなおさら、どんなに面倒でもこの工程をおろそかにしてはいけない、とも言えます。


このキャラ説明の程度やタイミングの指摘、基本的なことなんだけど、まじで勉強になります。

24. Your supporting characters need a life and background too. Don’t just throw in a bunch of familiar names and rely on stereotypes. They need life, character, to be interesting, or you could have just built your cast out of breadsticks.

登場人物の人生やバックグラウンドなんかも必要。知ってる名前をどーんと出して、ありがちな設定にまかせちゃう、なんていうのもやめて。登場人物にも人生や興味の対象が必要で、それが無かったら味気ない存在になっちゃう。

25. While on the subject of characters, no Mary Sues, please. It is quite possible to turn an RPS character into a Mary Sue, usually with a clever (or not) application of the Harry Potter syndrome. The poor guy suffers to all kinds of abuse, torture, rape, etc. until he should be a quivering mess in a mental institution.

Not your Mary Sue though, oh no, all he needs in the right guy and suddenly all is right and dandy in his world. He might even start to behave like a high school girl with a crush.

I’m not saying you can’t put your characters through extreme situations, or that they shouldn’t be able to function more or less normally afterwards, but be realistic about it. Love doesn’t cure all ailments and therapy will probably be needed, possibly years of it.

Mary Sueを出すのはやめて、お願い。

藤葉:一般的には、作者(またはその理想像)を色濃く投影させた有能かつ万能で、脈絡もなく物語の中心人物として登場しては、最悪の場合、(よりにもよってFanficの)主人公と恋に落ちたりするオリジナルキャラのことを一般的に「Mary Sue」と呼ぶのだと思うのですが…。

Mary Sueの問題は、昔からFanficを書く上で、上の22項とも切り離せない、非常に微妙な問題であるといえます。
主人公の相談相手として、ついうっかり、頼れるお姉さん的な存在を投入したくなってしまう、その根っこは「自分も大好きな主人公たちに関わりたい」という純粋なファン心理につながっているともいえるのですが、それはBad Ficへの一番の近道にもなるということなのです。

この項目のJeyhawkさんの説明を読むと、最近は、また別のMary Sueの解釈があるのかもしれません。ご都合主義的な展開、という感じ、でしょうか。
とんでもない酷い状況を作っておきながら、次の瞬間には魔法のように全てが解決してしまう、というような。Jeyhawkさんの意見は、Fanficにだって、ある程度、理屈や常識で納得できる展開が必要なのよっていう感じに解釈できそうです。


ここまでで、キャラ設定についての心得が終了です。


今回ちょっと駆け足になってしまいましたが、この続き、「プロット」およびその他の事項についての説明は、また次回にじっくりご紹介ということにさせていただきます。


しかしこの日記…、いったいどこへ向かおうとしているのでしょうか。


***


海外のFangirlsの日記からは、少しずつ SupernaturalのセカンドシーズンのDVDセットを入手した!っていう興奮の声が洩れ聞こえてきて、そこにはやっぱり

セカンドシーズン第1話:In my time of dying

のコメンタリにおける J2いちゃいちゃ話についても話が出てきてて…。

ジャパンワーナーさん!!!

お高い日本版DVDに、ちゃんと全てのコメンタリ&おまけ映像、入れてくれてるんでしょうね???!!!


頼むわよ!!


は、早く、来週になって~~。

早いところ手元にBox2が届いてくれないと、気になって、引越しの準備も手につきません。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

待ってました!!!!!!ありがとうございます!!!!!甲子園みたい!!!!!!
(↑前回の"!"の使いすぎのくだり、面白かったです。それとも犬を作ったりする細長い風船なんでしょうか)
私は体裁よりまず中身、という持論ですし、大変基本的な指摘が多いので、今回の内容のほうが同感できました。(藤葉さんの解説が楽しみなのでリンク先は読んでいません)
私はオリジナルキャラクターが出てくる作品は苦手です。「マネージャー」とか「同級生」とか、固有名詞が出てこない端役程度なら自分でも書きますが、オリジナルキャラクターに個性が見えてくるとつい避けてしまいます。(「家族」「スタッフ」などに関しては、本人が語ることが多いのでその範囲で登場して頂いてます)

「ドリーム小説」という言葉はご存知ですか?
私はどマイナージャンルが長かったので最近まで知らなかったのですが、同人小説、恐らく同人誌ではなくwebでの言葉だと思うのですが、キャラクターとオリジナルキャラクターの恋愛もの(エロもあるようです)を差す言葉のようです。
サイトによっては、JavaScriptで最初に好きな名前を入力すると本文にその名前が表示される仕掛けになっていたり…。
私は、作者はあくまでカメラマンであり監督だと思っているので(もしくは視聴者?)、真剣に読んだことはありません。

匿名 さんのコメント...

藤葉さま、またまたお邪魔します。こんばんは。
いいSlashの書き方なるほどでございます。今回のキャラ設定にしても、自分もどちらかのキャラが女々しくなってしまうのは、辛いものがあるので、大いに納得で。

それから、シーズン2の1話目にはそんなJ2いちゃいちゃコメントがあるんですね。う~む。コメンタリーとなると果たしてBOX2の付録に付いてくるのか、心配ですね。最悪米版も買わなきゃなのか。

なんですが、BOX1収録分本編は予想を遥かに超えてよろしかったです。
シーズン1の終わりの方で自分の嗜好とは違う方向に向っているのかなとちらっと思わせるところもあり、そういった意味でシーズン2の行方が気がかりだったのですが。
そんな思いはふっとんでしまう台詞、シーンの数々で嬉しかったです。

藤葉さんはとてもご多忙のご様子で。
まだまだ残暑は続くようですので、どうぞご自愛くださいませ。
それでは、また~。

藤よう さんのコメント...

りょうこさん
待っていてくれましたか!!!!!
エクスクラメーションマークの嵐!!!7回裏のジェット風船!!!甲子園みたい!!!ですよね(笑)
私の解説が楽しみだなんて、また嬉しいことを言ってくれます。

私がこの分野へハマるきっかけになった XF Slash には信じられないほどの長編物が沢山あって、そうした作品を書く腕利きWriterさんたちの手にかかると、オリジナルキャラクターも納得できる存在になっていたりすることも多かったのですが、基本的に素人が書いているFanficにおいては、オリキャラの登場はがっかりした結果に結びつく確率が高いですよね。

「ドリーム小説」!?初耳です。
Mary Sueを逆手にとったというか、開き直ったとでも言うべきか…。
Webという媒体を活用したFanficのある種の進化なのかもしれませんが、究極の自己満足…、まさに「自分だけで楽しむ作品で、好きなことをして何が悪いの?」という感じですね。

Fanficと一口にいっても様々な形態が生まれてきているのですねー。

藤よう さんのコメント...

FANさん
SPNシーズン2のコメンタリ!
いったいどういうことなのでしょうね?
通常のドラマに声のみを被せていくコメンタリではなく、J2の二人が画面に出ていて、視聴者と一緒にドラマを見ながらコメンタリをしていく、なんて斬新な形式になっていて、それがおまけ映像に入っているなら!こうしてじりじりとBox2を待っている甲斐もあるというものですが…。

私がちらっと読んだところでは、J2のあまりのいちゃいちゃぶりを一緒にコメンタリしているキム・マナーズが「君達…、行き過ぎだよ」なんてたしなめる場面があるとか!!

そんなFangirlsにとっての最高のお宝コメンタリを値段の高い日本版に入れない、なんていうことが明らかになったとしたら…、全力でジャパンワーナーに抗議しなければなりませんよね!「金返せ!!!!」って。

Box2どうなってるんでしょう。本当に心配です。