海外Slashを読み始めて随分経ちます。
SPN(-RPS) にどっぷりと嵌まって、命の危険を感じるほどたまったガス抜きをするためこのブログを立ち上げ、以来すっかり自分でも忘れかけていましたが、実は原作者の許可をいただき、細々と「X-Files Slash」の翻訳をしています。
私のパソコンの中でサイトの更新を待ち続け、眠っていた未公開の「部分」があるので、思い切ってここに公開してみたいと思います。
(これをきっかけにまた少しは翻訳作業に戻る気になるかも…)
天下のFOX社を相手に裁判を闘おうというツワモノはまずいないと思いますが、間違っても無断転載などはなさらないよう、お願いいたします。
原作者の Xanthe も下で触れていますが、これといった Spoiler(ネタバレ) はありません。
もちろん本編の内容を知っていれば余計に深読みできて楽しめることは確かですが、知らなくても読めてしまうというのも、こうした海外 Slash の品質の高さを物語っていると思います。
読んであげてもいいよ、という方が一人でもいて、ちょっとでも海外Slashの魅力(もしくは私が大好きなスキナー副長官の魅力)を感じていただける方が現れると嬉しいのですが…。
断っておきますが、以下の長~い文章は、とある短編Slashのごく一部です。
(まだ歴史の浅い SPNのSlashでは、この作品の長さなら長編と言えるかもしれません…)
以前、この日記の中で、他のジャンルに浮気する気力も体力もない、と言った意味が少しは感じ取っていただけるでしょうか?
この作品が短編だとしたら、長編、の長さはどんなものになると思います?
何年も、そんな長い Slash を読み続けていた挙句、ある時、プロフィール内に挙げた好きな作家の一人、ジョナサン・ケラーマンのシリーズの続きがいつまでも翻訳されない!といらだって、我慢できずにペーパーバックを読み出したら、読める!ということに気付いて驚愕したほどです。
継続は力なり…、好きこそものの上手なれ…、真実だったのですね。
下の Slash本文について、改行が妙に少なくて、字が詰まってる!読みにくい!と思われるかもしれませんが、原作のレイアウトを尊重して、極力そのままの状態で、翻訳しています。一つご了承願います。
注意!:内容に同性愛的描写を含みます。そうした表現に嫌悪を催される方は、閲覧をお控えください。
TITLE: Subterfuge (欺瞞--ごまかし)
AUTHOR: Xanthe
RATING: NC17. Mulder/Skinner
SUMMARY: Mulder and Skinner go undercover in the gay S/M underworld in order to solve a case and find out some surprising things about themselves.
SPOILER: Some general references. Nothing specific.
Disclaimer: They belong to CC not me. I'm sure he'd never do something this silly with them. I don't profit by it at all. Uh-Uh. No way.
Holmes suggested that this belonged to the genre of "BDSM Romantic Comedy" (yeah, THAT well-known genre!). Thanks to Holmes for the advice, practical help and encouragement (and the title).
翻訳:藤葉
(頭から読んでやろう、とおっしゃってくださる奇特な方がいましたら
こちら↓からどうぞ)
http://fujiyou.googlepages.com/subterfuge
***
あと二つの戦いを終えると真夜中まで5分前になった。
僕は指をクロスして、これで終わりになってくれることを願った。
スキナーは荒い息をつき、僕にはこれ以上彼が耐えられるかわからなかった。
脅威の雰囲気がアリーナに立ち込めている。
スキナーはまるで血まみれの雄牛みたいだ、衰弱して、隙だらけで。どんな人間だって彼ほど上手く、彼ほど長く戦えない、でも今の彼はもう攻撃に対抗できない。対戦者も皆そこそこの腕っ節をしていて-彼は何発か強烈なボディーブローをもらっていた。僕はこの場の群集が彼の血を、彼が打ちのめされることを求めて吠えているのを感じた。僕を砂に投げ出し、服従させ、これ見よがしに大人しくなったところを、そして僕の生意気な態度、短気なところを罰するところを見たがっている。松明は燃え尽き、室内はより暗く、脅威的な雰囲気になっていた。次の対戦者がアリーナの中央に歩み出でてスキナーに挑戦した時、僕にはその姿がほとんど判別できなかった。
「最後だよ」ニックは僕をほどきながらそう呟いた。「彼にそう言ってやって。最後だって」
スキナーがあまりに荒い呼吸をしているのが僕には気に入らなかったし、彼はひどい姿になっていた。
「ニックは、これが今晩最後の戦いだって言ってる」僕は彼の頭を両手に挟み、なんとか僕に集中させようとした。
「ああ」彼は、なんとか弱弱しい笑みを作った。「だが、相手が誰だか見たか?」
「誰?」僕は振り返り、ガクっと気を重くした。
「マットだ」スキナーは呟いた。
マットはオイルを塗られている最中で、その手付かずの肌には、今やおおっぴらにスキナーを装飾しているあざが一つもない。僕が見ているのに気付いた彼は、にやりと笑った。
「あいつ、今までチャレンジを待ってたんだ-無傷のあなたには勝ち目がないのをわかってるもんだから」僕は完全に頭にきて、マットのところに行って自分で相手をしてやろうとした時、サウンダースが視界に入ってきた。スキナーが僕を制する前に、サウンダースは僕を掴み彼に向き直らせた。
「こんなのはやらせだ」僕は唸った。「スキナーは今晩全てのチャレンジを受けてる。こんなのフェアじゃない」
「だが、人生もまたしかり、そうだろう?」サウンダースは微笑み、それから彼の腕を掴んだ僕の手をするどく見下ろした。僕は無意識に手を引っ込めた。「私を怒らせると本気で後悔するぞ、フォックス」彼は危険を滲ませて言った。「私は現在所有している奴隷に充分満足してはいるが、近いうちにお前に売り込みをかけるかもしれんぞ。どう思うね?」彼は僕を鋭く見ながら顔を一方に傾けた。
「僕は属するのはスキナーだけだ」僕は冷静に彼に告げた。「それにこの‘チャレンジ’はクソだ。今すぐやめさせろ、サウンダース」
「それはできない」サウンダースは気だるげに手を振っていった。「マットは時間切れになる前にチャレンジを申し込んだのだ。スキナーはそれに応えなければならない。それはミトラが機能する上で最も基本的なことなのだ、フォックス。男がことさらに魅力のある奴隷を所有しているならば、その男はその奴隷を自分のものにしておくのに充分なほど強くあらねばならない。そのために多くの戦いが要求されることになろうとも。もちろんお前が心配している理由は分かるがね」サウンダースは例の背筋がむずむずするような視線を僕に向け、僕の肩越しにマットを眺めた。「私がお前の立場だったとしても、心配するだろうな。そもそもからして、お前はマットをあれほどまでに憤慨させるべきではなかったのだ。彼はお前に手をかけたくてうずうずしている、フォックス-マットがお前に手をかけたらな、あえて推測するが、お前は明日の朝までに実に御しやすい奴隷になっていることだろう。御しやすく-その体にたっぷりと所有の印を身につけた奴隷にね。明日の朝食の席でそういった印を見たいものだが。それもお前がまだ歩くことができればの話だ」彼は彼特有の気味の悪いユーモアセンスで高らかに笑い声をあげた。「もちろん、マットは自己顕示欲の強い男であるから、彼が勝ち名乗りをあげたらそのままこの全ての立会人の前でお前を砂に投げ出し、その場でお前を彼のものにする可能性もある。私はまさにそれを望むね。そういった場面を見るのは楽しいものだ」僕の激昂した表情を目にしてサウンダースは再びくすくすと笑い、僕に背を向けて去っていった。
僕はスキナーのところに戻った。不当さと僕らが受け入れることを強いられている、ここの奴らが僕らに差し出すあらゆる馬鹿げたゴタクに内心煮えくり返りながら。
スキナーは呼吸を取り戻し、彼はゆっくりたっぷりと飲み物を取って、少しストレッチをした。
「私はまだ終わっていないぞ、フォックス」彼は言った。「勝負を始める前から私を除外するな」
「あなたは後ろ手に片手を縛られていたってあいつを打ちのめせますよ」僕は下手でミエミエながら、僕が確信もしていない信頼を彼に見せようとした。
「いや、縛られることに関してはお前の専売特許だろう」彼はにやりと笑った。「お前がただ立って可愛く見せている間、私は愚かな変態どもに脳みそがドロドロになるまで殴られている。誰かさんが運を独り占めしているのだな」
「運命ですね」僕も笑顔を返した。「僕はあなたよりも可愛く生まれた、だから僕は奴隷坊やを選択する権利を得たわけです」僕はジョークを言おうとしたが、なんとなくマットを打ち負かした唯一のトップがサウンダースであることをこの時点で彼に告げるのはいい考えではない気がした。それは、こんな戦いの中でよりどころになるのにふさわしい心理学的見地ではないだろう。
僕はまた次の戦いのため、もう一度柱に戻って手錠で繋がれたが、今回だけはこれまでに比べて死ぬほど怯えていた。僕はスキナーがめちゃくちゃに殴られるところなんか心底見たくはなかったけど、僕だって単なる人間で、僕の心配の幾分かは自分自身に向けられたものだった。レイプなんかされたくないし、マットの乗馬鞭の味をもう一度味わいたいとも思わない。僕には、彼が今晩こなしてきた全ての戦いの後で、どうやったらスキナーがマットを打ち負かすことができるのか、考えもつかなかった。二人の男が互いの周りを回り始めると、僕は指をクロスし、僕の心臓は胸の中で激しく鼓動した。マットはスキナーと同じくらいの身長があるが、スキナーほど身体が大きくない;とはいえ、彼は筋骨逞しく、明らかによく鍛えてある。彼は明らかに手ごわい対戦者だった。
マットは前に出ると見せかけて、後ろへ下がる、その動きを何度も何度も繰り返して、怒りのフラストレーションからスキナーに唸り声を上げさせた。最終的にマットは上手く間合いを取り、スキナーの不意をついて、猛烈な一撃を僕の男の顎に見舞った。スキナーはただ頭を振っただけで、動き続けている。彼はまさに雄牛みたいだ、お構いなしに向かっていく。マットは前と同じように踊るような、突進するような様子を続けて、スキナーを更に消耗させてから、もう一発いいパンチをスキナーのわき腹に撃ち込んだ。スキナーは猛烈な勢いで飛び掛り、マットが手の届かないところに飛んで逃げる前に、なんとかマットの顔に一発パンチを撃ち込んだが、それでもそれは納得のいく一撃とは言えなかった。ポイントでは明らかにマットが優勢だ。スキナーが疲れていることは誰の目にも明らかだった。低いハミングのような音が始まった、脅威に満ち、脈打つようなリズムで一つの言葉を繰り返している:「殺せ」
その囁きは何度も何度も繰り返され、僕と一緒に柱に縛られたサブは、その両目を恐怖に見開いて僕に身体を寄せてきた。
「何が起こってるの?」彼は囁いた。僕は彼を朝食の時に見知っていた-マットが床に置いた皿から食事をさせていた子だ。
「分からない」僕は自由な方の手を伸ばして彼を宥め、僕ら二人は恐怖で放心状態のようになってその場に立ち尽くしていた。群集は卑劣に変貌した。彼らはマットの勝ちを望んでいる;彼らはスキナーが勝負を落とすことを、ついに打ち負かされることを望んでいる。彼らは彼らの仲間が勝者となって、この余所者を打ち倒し、砂の中で踏みにじることを望んでいるのだ。それから彼らは僕がレイプされ、征服され、ついには言うことを聞かされるところを見たがっている。声援に元気付けられ、マットはときの声を上げてスキナーに飛び掛り、上腹部への一撃で彼を打ちのめした。マットは更に顔面にもう一撃加えると、向こう脛を強烈に蹴りつけ、僕のボスを自分の体で地面に押さえつけた。僕はスキナーがマットの肩越しに僕の方へ視線を投げたのを目にして、それ以上見ていられなくて目を閉じた。
僕が再び目を開くと、マットは最後の、決定的なパンチをスキナーの頭に繰り出した。僕のボス、僕の恋人は砂の上に仰向けに倒れ、動かなくなった。
「やったぞ!」マットは両手を空中に差し上げて立ち上がり、その顔には勝利の歓喜が浮かんでいた。彼は僕の方を向き、僕は自分が情けない声を上げるのを実際耳にした。彼は、例のエルム街の悪夢のようなその目で僕を見ていて、僕は逃げ場が無くなったことを知った。彼は狂ってる、完全に血に飢えて、そして彼がその劣情の全てをぶつけようとしているのはこの僕なのだ。僕は無意識に、無我夢中で僕の手首に巻きついた手錠を引っ張って逃げようとしたが、どうにもならないことを知って、出来る限り彼から離れようと身をよじった。
彼はにやりと笑い、僕に寄ってきて、僕の両肩を掴み、僕の頭を引いて汗まみれで、吐き気のするようなキスをした。僕は彼を蹴り、引き下がって、身体を低くしようとしたが、彼はただ僕を再び掴んで、その手で僕の首を握りしめると僕を引っ張り戻した。
「俺はこの勝利をお前ら皆と分かち合うつもりだ!」マットは叫び、片手で僕の首根っこを掴んだまま、もう片方の腕を僕の胸に回した。「見て、楽しんでくれ!」彼は高らかに笑い、彼の自由な手が僕のジーンズの前に下りてきて、ボタンを外した。僕の肉体に触れる彼の息は熱くて、僕は今にも吐きそうだった。
その瞬間、僕は彼が力ずくで僕から引き剥がされたのを感じ、僕が身をねじった丁度その時、スキナーがマットの既に曲がった鼻筋に頭突きを食らわすのを目にした。マットは純粋な痛みの悲鳴を上げ、スキナーは更に満足のいくパンチをマットの胃に打ち込み、まっすぐに立ち上がって、僕の襲撃者の股間に彼がかき集められる限りの力を込めて蹴りを命中させた。マットは身体を丸め、苦悶のすすり泣きをもらした。スキナーは彼の前に立ちはだかり、一掴みの髪を掴んで、頭を引き上げた。
「私はチャレンジが終わったと言った覚えはないぞ」スキナーは唸った。「言ったか?」マットは、依然うめきながら頭を振った。「なら-。お前の-。勝利の-。お祝いは-。時期尚早-。だ」スキナーはマットの身体に残忍なパンチを繰り出しながら、一言一言を区切って言った。「そうだろう?」彼はマットの身体をまるでねずみでもあるかのように揺すった。
「そうだ!」マットはなんとか喘いで言った。
「そしてお前が探している言葉は?」スキナーは拳を引いて、辛抱強く待った。
「チャレンジ終了だ」マットは喘いだ。「お前の勝ちだ、スキナー」
スキナーはうなづいて微笑み、血を流している男を下ろし、それからさりげなく、ふと思いついたみたいに、マットの顔に最後の残忍なパンチを打ち込んだ。
彼がマットを砂に打ち捨てても、男はピクリとも動かなかった。スキナーが身体をこわばらせて立ち上がって、周囲を睨みまわすと、僕は他のトップたちの目にしぶしぶながらも尊敬の光を見て取った。
スキナーはゆっくりとニックのところに歩いていって、片手を差し出した。「鍵をよこせ」と彼は言った。
ニックはまだドラマの瞬間に没入したまま、呆然と彼を見つめた。
「くそったれの鍵をよこせと言っているのだ!」スキナーが怒鳴ると、ニックははっと我に返って従った。スキナーは僕のところに来て、手錠を外した。
「こんなギリギリの救出なんて、いったいどういうつもりですか?」僕は小声で鋭く言った。
「がみがみ、がみがみ、うるさいやつだ」彼は頭を振った。「ママからなんらかの礼儀を教わらなかったのか?例えば、どんな時に‘ありがとう’を言うとか?」
僕が返事をする暇はなかった。なぜならサウンダースが絶大なる賞賛の表情で近づいてきたからだ。
「ということで、ミスタースキナー-あなたは我々の小さなサークルへの価値ある加わり物であることがあきらかになったわけですな」彼は微笑んだ。「あなた自身、今晩は随分楽しまれたことでしょう」
「楽しむ…?」スキナーはぽかんとしている。サウンダースは頷いた-彼は至って真面目だった。
「アリーナのどよめき、戦いの匂い」彼は呟いたが、彼の顔は喜びのためオルガスムに達せんばかりだった。「こんなものは他にはない、そうでしょう?」
スキナーは眼鏡をかけ、考え深げにうなずいた。
「ありませんな。こんなものはこの地球上にないと心から言えます」彼は、サウンダースのことをフライドポテトの抜けたハッピーセットみたいな間抜けだと、あきらかに僕に示唆する流し目を送りながら同意した。
「そしてもちろん、あなたは見返りに値する」サウンダースはにやりと笑った。「それを楽しむためのエネルギーをいくらかでも残しておられるといいが、ミスタースキナー」彼が指を鳴らすとサブの一群が連れてこられた。皆僕の柱友達だ。「すべてあなたのものです」サウンダースは微笑んだ。「あなたは彼らを勝ち取ったのです、正攻法でね」
「全員ですか?」小さく固まったジーンズを履いた奴隷少年見本の一群に目をやった。
「そのとおり」サウンダースはにやりと笑った。
「間違っても変な気を起こさないでくださいよ」僕は声を殺してスキナーに囁いた。
「ふむ」スキナーは一瞬沈黙して、興味もあらわにサブの集団を見つめ、僕はすんでのところで今晩彼が散々受けたパンチにもう一撃加えそうになった。「別の機会に譲るしかなさそうですな」彼は最後に後悔のため息とともにそういった。「既に手元にいるサブだけで手一杯でして。これ以上の面倒はいりません」
「賢明な処置です、ボス」僕は呟いた。「OK、皆-奴隷小屋でもなんでも寝場所に戻るんだね。彼は僕のもので、彼は君たちをいらないって言ってる、だから消えろ。今すぐ!」彼らは僕の剣幕に後ずさりし、僕はスキナーがふらふらし始めているのに気付いた。「行きましょう」僕は彼の腕をとって、僕の肩に回した。
僕らはおぼつかない足取りでアリーナを出て僕らの部屋へと戻った。僕らがそこにたどり着いた途端、彼はベッドの上に昏倒した。
「馬鹿で、気の狂った、ろくでなし」僕はバスルームに姿を消し、特大のバスタブにお湯を張り始めた。「あんな風に死んだ振りなんかして。僕は心臓が止まるかと思ったんですよ」
僕は彼のそばに戻り、優しく彼の服を脱がせ始めた。彼は子供のようになすがままになっている。僕は手を進めながら彼のそこら中にキスを降らせずにはいられなかった。彼は今のところあまりに弱っていて、痛ましい状態で、例えそうしたかったとしても、抵抗できなかった。
「まあ、確かに私は公正な戦いでヤツを叩きのめしたとはいえないが」彼は呟き、僕が彼のズボンを脱がせると僕にもたれかかり、彼の頭が僕の肩にずっしりと乗った。「マットは欲張りで、特大サイズのエゴを持っている。もしヤツが私を打ち負かしたように見せかければ、ヤツはまっすぐにお前を奪いに行くだろうと思った。ただ私は確実に不意をつくため、回復を待つ必要があったのだ。私がタイミングを誤れば、逆にヤツが私を仕留めていただろう」
「まあ、その代わり、ヤツはほとんど僕を仕留めていましたけど」僕は呟き、彼のズボンとブリーフを脱がせて彼を裸にした。「ああ、くそっ、聞いてください。僕は恩知らずのろくでなしです。ただとんでもなく心配で。あなたがどんなに傷ついているかわからなかった。あなたがまだ息をしているかさえ、確認できなかったんですよ。まったく、作戦があるなら僕にもそういっておいてくれればよかったのに」
僕は彼を引き起こし、半分歩き、半分担ぐようにして、彼をバスルームに連れて行った。手を貸して彼を浴槽に入れ、湯気で曇った眼鏡を外した。彼はバスタブにもたれて目を閉じた。僕はジーンズを脱ぎ、彼の脇に滑り込んで、僕の脚の間に彼を寝かせるように引き上げた。彼の頭が僕の胸に乗ると僕は彼の頭蓋に口付けした。僕は石鹸を見つけ、優しく彼の胸から股間にむかって擦り下ろし、それから彼のコックに指を走らせた、だって、正直に言って、我慢できなかったんだ。
「ああ、そのエネルギーが私に残っているとでもいうようだな」彼は呟いた。
「あなたに何かしろなんて頼んでいませんよ」僕は彼の耳をちょっと噛んだ。「ただ遊んでるだけです。あなたが弱っていて、僕のなすがままな時にまとめてやっておかないと、そうでしょう?そんなことってめったに起こらないから」
「いい指摘だ」彼は微笑んだが、彼の目は閉じたままで、彼の顔には衰弱が刻まれていた。
僕はお湯が冷め始めるまで一時間近くも彼の身体をさすり、彼に囁きかけ、彼の横顔にキスしながら彼を抱きしめていた。僕の腕の中の彼は赤ん坊みたいで、完全にリラックスし、朦朧として、ただ愛撫や世話を楽しんでいた。
ついに僕は浴槽から彼を引き上げ、タオルにくるんで、一緒に寝室に戻りベッドに横にならせた。
「疲れただけだ。私は大丈夫だ」僕が彼の上に覆いかぶさると僕の目の中の心配を見て取り、彼は囁いた。
「傷になにか塗りましょうね。どういうわけか、奴らは救急用品をたっぷりを用意しておいてくれてるから」
僕は救急キットを取って寝室に戻り、冷たいジェルを彼の身体のあざや切り傷に塗りつけた。顎の横の切り傷といくつかのあざを別にすれば、彼の顔はそう酷く傷ついてはいない。僕はそのことに-そして彼が目を傷つけかねなかった何発かのパンチから何とか逃れたという事実に感謝した。彼の両拳は擦りむけ、あざになっていて、見るからに痛そうで僕はそこに薄く包帯を巻いた。彼は僕の不器用な治療を受けた後、シーツの下に転がり込んだ。僕は彼の隣に滑り込むと、彼を抱いて僕の腿に当たる彼の尻、彼の脚にからめた踵、僕の胸にきつく押し付けられた筋肉質の彼の背中の感触を大事に思った。
「あなたにありがとうって言いましたっけ?」僕は彼の呼吸が深くなって彼の身体がくつろぐのを感じながら、僕は呟いた。
「一度でもそんな気になったことがあるのか?」彼はそう答えた。
「どういう意味です?もちろん僕は…、いったい何のことを言ってるんですか?」僕は気色ばんだ。
「そうだな、あの馬鹿げたDATテープの件では、階段で叩きのめされた。かの有名な重罪犯人を配達され、お前のため、私のアパートに保管させられたこともあった-その結果として私のアパート一帯に広まった‘ほらあの人、手錠をかけた若い男が好きなんだって’というゴシップについては言うまでもない。現時点では一体どれほどの数になるのか思い出すこともできないほどの機会に、はるか遠くまでお前を救い出しに行った。正気で考えればお前を停職処分にするしかない数え切れないほどの事例において、そうしないことに決めた。」
「ああ、そうですね、言いたいことはわかりました。そういう全ての機会に僕はあなたに感謝するのを忘れてたってこと?」
「モルダー、お前は私に感謝したことなどない」彼はそう指摘した。彼の言葉はろれつが回らず、気だるげだった。
「今、その埋め合わせをできますよ」
僕はシーツの下に姿を消し、彼のコックを見つけた。僕はこれまで一度もこれをやったことがないけど、そんなに難しいことじゃないだろ?ああ、彼が疲れてるってことは知ってる、でもフェラチオされるのに疲れすぎなんてある?僕にはそんなこと一度もなかったってことは言える。僕は正しかった-ちょっと舐めて、唇でついばんだだけで、彼は硬くなり、僕の待ち焦がれた口の中に抜き差しし始めたのだ、そして、フォックス・モルダーこと奴隷坊やには、実際なんらかの才能があったのだ、と僕は決め付けるに至った。これって楽しい!彼のコックは、風呂のお湯、塩気、それにスキナーのエッセンスの味がして、僕は彼の精液がどんな味なのか死ぬほど味わいたかった、ゲッてなるかもしれないけど。僕にはわからない。僕にはもうなにもわからない-僕の中の確実なものはすべて消えてしまった。とにかく僕の優れた口と舌のもと、彼はわりと早く達して、僕は彼を飲み込む感覚を気に入った。うーん、おいしい!うん、指を舐めたくなるほどおいしい、まさに彼そのもの。僕はひとしずくでも零してベッドを汚すなんてことを許すつもりはなく、僕は彼を舐めて綺麗にした。ふしだらモルダー、それは僕のことだ、西海岸で最速の舌を持つ。
「どうでした?」僕は、彼の背後という先ほどの体制に戻り、彼を再び近くに引き寄せて尋ねた。
「まあ、DATテープの件はなんとかなった、しかしそれを除いた残りはまだ貸しだぞ。どうも私の勘では、お前が借りを返し切るには長くかかる気がしている。お前の未来は今後しばらく年季奉公ということになりそうだな」
「うっ、しまった!」僕がにっと笑って臆面も無く彼に鼻をこすりつけると、彼は小さく吠えるような笑い声を上げた。
「なに?」僕は尋ねた。
「お前だ。この5年間、お前は遠くからお前を賛美させようと小うるさい子供のように踊りまわってきた、いつも丁度手の届かないところに跳ね飛んで-それが今やお前は私から手を離すこともできない」
「どうして手だけで止まります?」僕が彼の耳に舌を差し入れると彼は弱々しく僕を追い払った。
「モルダー、眠らせてくれ。頼む」懇願するように彼が言うので、幾分しぶしぶと、僕は言いつけに従った。ね、僕だって従順になれるんだ。時にはね。
僕は眠るつもりは無い。その代わり、彼が確実に眠るのを待って、彼を見つめ下ろした。彼は戦いに傷ついたライオンみたいだ。血だらけであざだらけだけど、屈服しない。僕はこれから自分が何をするか知っていたのだと思う。今晩ニックと会話した時から知っていたのかもしれない。ニックが明日の晩にもチャレンジがあるといった時から。こんな虐待にスキナーはあとどれだけ耐えられる?彼はじっとして、何が起こっているかを調べだし、チームが僕らを救出にくるのを待てと言った、それを承知はしているけど、僕はチームの能力には大した信頼を持てない。僕は自分だけを頼みにすることに慣れているだけなのかもしれない。
僕は起き上がり、箪笥から彼の黒いズボンと黒いシャツを借りて静かに身支度し、彼のスニーカーを履いて、ドアに忍び寄った。ハンドルを試したけど、僕らがバスルームにいる間にあきらかに誰か来たらしくて、ドアはロックされてた。僕は針金ハンガーをとってねじり、鍵穴に差し込んだ。これは僕の無為の青春時代に身につけた才能だ、どういうことか言わなくてもわかるよね。
鍵をピッキングするのに5分ほどかかった、そしてその間中ずっと、彼が目を覚ました場合に備えて僕は息をこらしていた。どういうわけか、彼がこれを承認しないだろうと僕は知っていたんだ-もしかしたら僕って超能力があるのかもね。ついにロックが降参すると、僕はベッドに戻り、彼に優しくキスした。運が良ければ、僕がいなくなったことに奴らが気付く前に助けを連れて戻ってくるだろう。僕は廊下にすべり出て、例の蝙蝠の洞窟の方向に向かったが、僕はすぐに道に迷ってしまった。最後に僕がそこにいたときには、もっと僕の頭はこの場所のレイアウトなんかより重要な事項があったもんだから、僕の記憶はよくいってもぼんやりしてたんだ。
当然のことだけど、ある時点のどこかで、僕は間違った角をまがり、奴隷小屋の外に行き着いた。僕は爪先立ちでできるだけ静かに通り過ぎ、突き当たりに向かい、また別の廊下に入った。くそ、でもどの廊下も同じに見える。誰かの笑い声が聞こえて、僕はわき道に隠れ、トップの一人がクスクス笑っているサブにゆったりと両腕をまわして歩いてくると僕は息を止めた。彼らが通り過ぎると、僕は再びメインの廊下に出て、別の明るく照らされた通路を進んだ。廊下は今やもっと荒削りになってきて、それは僕が覚えているとおりだった。ついに僕は全く明かりの灯っていない暗い洞窟にたどり着いた。僕はそのかび臭い匂いを覚えていた-蝙蝠の洞窟だ!僕は足を進めたが、そこで足を滑らせ、岩から削りだした荒削りの階段を頭から転げ落ちた。僕はとんでもない騒音を立て、気付かれたか、と出来る限り息を潜めたが、誰も調べに来なかった。僕はなんとか車が停めてある場所を見つけ出した-ここにはおよそ10台あった、全て大きなリムジンで、きっちりと駐車してある。出口は硬い金属のシートで覆われていて、僕はガレージのドアの開閉装置を探してシートの全体に手を這わせた。ついに僕は片側にスイッチを見つけ、押した…ちっくしょう!最悪の事態になった。目映い明かりがついて、サイレンが鳴り出し、文字通り5秒以内に、僕は銃を持った男と顔を突き合わせていた。
(続く!)
まだこの後、Word にして80ページほど(!)お話は続きます。
次回は、SPN妄想日記の続きに戻るか…、もう一度、X-File 関係の考察を行うかもしれません。
2 件のコメント:
藤葉さん、こんにちは。
ようやく続きが読めました!嬉しいです!
スキナー無事勝利を手にしましたが、またまたモルダーの単独行動でどうなるっ!というクリフハンガーで殺生な~(笑)・・・凄く気になるところです!
熊受け好きの私としては今回モルダーが積極的だったのが嬉しかったです。
誘い受け・・・良いですね~
また次回楽しみにしています~♪
marsaさん。
早速読んでいただいたんですね!
毎度ご贔屓に、ありがとうございます!
自分でもあまりにブランクがあって、この後どうなるんだっけ?という感じです(笑)
Blow job(こんな言葉こんなところに書いていいのかな?)のシーンは、スキナーさん、なすがままという感じですよね?
今後は翻訳の続きも少しずつ再開していければ、と思ってます。
懲りずにぜひまたのご来店を!
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