2007年3月20日火曜日

X-Files Slasher の見たSupernatural その17

第12話の妄想鑑賞日記です。


FAITH


この言葉って大抵の日本人にとってはあまりピンとこないものではないでしょうか。
先日の日記でも、神棚と仏壇が同じ部屋にある、なんて表現をしましたが、せいぜいが戦前までの日本人と違い、現代のほとんどの日本人にとって、宗教的な信仰心(Faith)というのは日常からかけ離れたものになってしまっています。

しかしアメリカの(特に白人)文化においては、キリスト教というものの影響はとても大きくX-Files なんていうParanormal(X-Filesにおいての超常現象という単語は、Supernaturalではなく、こっちでした!)な事件ばかりを取り扱ったドラマでも、宗教関係のテーマはポイント、ポイントで出てきました。
ところが、あらゆる不思議現象を頭から信じて事件解決に向け突き進むモルダーは、なぜか宗教関係の奇跡や、事件については常に懐疑的で…。
その反対にいつもモルダーの突拍子もないTheoryにけちをつけ水を差す存在である、科学者であり医師であるスカリーは、こと宗教関係の奇跡については無条件に信じてしまう、という不思議なキャラクター設定になっていました。

スカリーは信心深いカトリックの家庭に育ったお嬢さんで、ガチガチの科学者となった現在も心の底には厚い信仰心(Faith)が宿っています。
モルダーはというと、少年時代に妹を目の前で謎の存在に連れ去られ、それをきっかけに家庭はほぼ崩壊状態(Slasherの基本常識としては、その後父親から虐待を受け、母親からはNeglect 状態)という悲惨な生い立ちです。
少年モルダーはきっと何度も、何度も、神様に「助けてください!妹を返してください!」と祈ったはずで、でも神様はモルダーの血を吐くような祈りを全く聞いてくれなかった。…ということで、モルダーは成長過程のどこかで、神様に対するFaithを失ってしまったのだ、と想像できます。

そして、さて、こちらの兄弟はどうでしょう?
父ちゃんの徹底した教育のおかげもあって、どんな不思議事件、怪奇現象も現実にあるものとして真っ向から事件に取り組むディーンに対して、子供の時から不思議なことや奇妙なことは現実にある、とは知ってはいるけど、(ある意味ディーンの母親代わりの教育がよっぽどよかったのか)世間一般の常識的な目線も忘れず、私たちの目から見ても(兄ちゃんが異常に好き、という以外は)ごく普通のインテリ青年に育ったサム。
今回の第12話では、二人の宗教的な Faith についての認識の違いがあきらかになります。


なんて、なんだか大層な前置きになってしまいましたが、今回のオープニング。


なんと兄弟が乗ったImpalaが現れます。
いきなりお仕事が佳境に差し掛かっているようです。
Impalaからお仕事道具を取り出す二人、改造スタンガンみたいなものを手にしたディーンにサムが威力は?なんて聞くと、ディーンは10万ボルトだ、とか物騒なことを言っています。
どこかの廃屋のような場所に突入した二人は、戸棚の中の二人の子供を助け出し、子供を連れて外に出たサムを待たずに一人で化け物を追ったディーンは、化け物を倒したものの、地下室の床にたまっていた雨水のおかげで自分も10万ボルトに感電!サムが駆けつけた時には、息をしているかもわからない瀕死の状態に。


オープニング明け。

場面は変わって病院です。
サムが手際よく病院の受付のお姉さんに応対し、二人のおまわりさんの事情聴取にも答えていると、どうやらディーンを診察したらしいお医者さんが出てきたのを見つけて駆け寄ります。


Sam: “Hey, doc. Is he--?”
  (先生。兄ちゃんは…?)

Doctor: “He’s resting.”
  (彼は今休んでいるよ)

Sam: “And?”
  (で?)

Doctor: “The electrocution triggered a heart attack. Pretty massive, I’m afraid, his heart, it’s damaged.”
  (感電が引き金になった心臓発作だ。非常に重症なね、気の毒だが、彼の心臓はダメージを受けてしまった)

Sam: “How damaged?”
  (ダメージってどんな?)

Doctor: “We’ve done all we can. We can try and keep him comfortable at this point, but I give him a couple weeks at most, maybe a month.”
  (我々も手を尽くしたんだ。現時点では、彼を楽な状態にしておく努力はできる、しかし、彼の余命は、もって二週間、1ヶ月というところかもしれない)

Sam: “No, no, there’s gotta be something you can do, some kind of treatment.”
  (いや、いえ、何かできるはずでしょう、何らかの治療が)

Doctor: “We can’t work miracles. I really am sorry.”
  (我々も奇跡は起こせないんだよ。本当にお気の毒だが)


せ、先生!そんなあっさり!

前回の「案山子」のエピソードで兄ちゃんと離れ離れのまま(しかも兄ちゃんは得体の知れないブロンドの田舎娘なんかとセットで生贄にされそうになったりして←あくまでサム目線です)危うく死に別れそうになって、きっと「兄ちゃん!もう一生離さないよ!」と固く心に決めたはずのサムが、きっと画面を見ている私たちとは比べ物にならない衝撃を抱えてディーンの病室に入ると、ベッドに横たわった顔色の悪いディーンがテレビのチャンネルをあちこち変えていました。
顔色悪いけど、本当にマスカラもビューラーもしてないの?というディーンの超分厚いロング睫毛とふっくら唇はまさに犯罪的な美しさ!
お前、いままでまともに昼間のテレビ見たことあるか?ひどいぞ。なんて言うディーンに、主治医の先生と話したよ、と声をかけるサム。なのに、-あの柔軟剤のテディベア、ううっ、アイツを捕まえて酷い目にあわせてやりてぇ、なんて話をそらすディーンに。


Sam: “Dean.”
  (ディーン)

Dean: “Yeah. All right, well, looks like you’re gonna leave town without me.”
  (ああ。よし、まあ、どうもお前、俺抜きで町を出ることになりそうだな)

Sam: “What are you talking about? I’m not gonna leave you here.”
  (なんのことを言ってるんだよ?俺は兄ちゃんをここに置いてなんかいかないよ)

Dean: “Hey, you’re gonna take care of that car or I swear I’ll haunt your ass.”
  (おい、車の面倒はちゃんとみろよ、じゃなきゃ、俺、絶対祟ってやるぞ)

Sam: “I don’t think that’s funny.”
  (笑えない、そんなの)

Dean: “Ah. Come on. It’s a little funny.”
  (あー。そう言うなよ。ちょっとは笑えるだろ)


そして、沈黙に陥った二人。


Dean: “Look, Sam, what can I say, man? It’s a dangerous gig. I draw the short straw. That’s it, end of story.”
  (なあ、サム、他になんて言えばいいんだ?危険な仕事だ。俺は貧乏くじを引いた。それだけのことだ)

Sam: “Don’t talk like that, all right? We still have options.”
  (そんな風に言うなよ、な?俺達にはまだ選択肢があるんだ)

Dean: “What options? You got burial or cremation. I know it’s not easy, but I’m gonna die. And you can’t stop it.”
  (選択肢ってなんだ?埋葬か、火葬か。簡単に受け止められることじゃないのはわかってるが、俺は死ぬ。そしてそれはお前には止められないことなんだ)


こんなにもあっさり自分の命をあきらめてしまうディーンには、大変な自己評価(self-esteem)の低さを感じます。こういったディーンの自らに対する評価の低さは、Shapeshifter のエピソードの時に一度はっきりと表面化して、非常に胸が痛くなりました。
父ちゃんの言うことを全て聞いて完全に尽くしてきた傍ら、こんなにもまともにサムを育て上げたディーンなのに、サムは自分を捨てて大学へ行き、父ちゃんは行き先も告げずに自分の前から姿を消してしまった。
実のところ、この旅を始めた段階で、ディーンは内心、この世で一番大事に思っている父ちゃんとサムの二人にとって、自分はもういらない存在になったのだ、と、ある意味自分自身を見切ってしまっているのではないか、とすら思えます。
(なんて可哀相なディーン!!ううっ、涙が…。サム!父ちゃん!いったいディーンになんてことしてくれたのよ!)



Sam: “Watch me.”
  (見てろよ)


それでもチャレンジするようにそう言い切ったサム。
そうですとも!
この日記ではもう数え切れないくらい言ってきたことです。
サムが大学に行ったのは、自分の夢のためにディーンを見捨てたりしたのでは全くなくて、兄ちゃんを大好きだ!と思う気持ちをどうにも抑えきれなくなったからなんだって!
父ちゃんだって、ジョーのパパを犠牲にして (←セカンドシーズンのネタバレです) まで悪魔を狩っているにも関わらず、可愛い息子達(主にディーン)を危険に巻き込みたくないという理由で、行方知れずになっているのです。
可愛い可愛い長男が半泣きで電話してくれば近くに様子を見に来るし、そんな可愛い長男を喜ばせたい一心で、苦手なメールを打ったりもする父ちゃんなのです。
ディーン!サムも父ちゃんも二人で殺し合いを始めてもおかしくないくらい(←これもちょっとネタバレかも…)あなたのことを愛しているのよ!



「兄ちゃんを絶対助ける!」という強い決意を持って、一人モーテルの部屋に戻ったサム、愛するディーンのことは(←もう私も歯に衣着せません!)絶対自分一人でなんとかするつもりだけど、一応家族の緊急事態、私の大好きな illegal voice に電話します。


Sam: “Hey, Dad, it’s Sam. Ah,--You probably won’t even get this, but it’s Dean. He’s sick and the doctor say there’s nothing they can do. But they don’t know the things we know, right? So don’t worry, because I’m gonna do whatever it takes to get him better. All right, just wanted you to know.”
  (やあ、父ちゃん、サムだよ。あー、このメッセージすら父ちゃんには届かないかもしれないけど、ディーンのことなんだ。兄ちゃんは病気で、医者は手の施しようがない、なんて言ってる。でもあの人たちは、俺達が知ってるようなこと知らないだろ?だから、心配いらない、だって俺、兄ちゃんの病気を治すためならなんだってするつもりだから。ということで、ただ知らせておきたかっただけなんだ)


切った携帯を放り投げて、サムが苦々しい顔をしていると、ノックの音が。ドアを開けるとそこにはとっても可愛いHoodie姿のディーンが!
なにやってるんだよ。自分で退院してきた。そんなことするなんて、どうかしてんじゃないの?美人の看護婦すらいない病院なんかで死ねるかよ。兄ちゃん、死を笑い飛ばすようなことばっかりいってるけど、俺にはお見通しなんだからね。なんとでも言え、それよりお前ちゃんと寝てんのか?俺より酷い顔してる。俺はこの3日間ずっとインターネットで調べてたんだ。父ちゃんの日記のあらゆる連絡先に電話したりさ。
(ちょ、ちょっと、サム!余命僅かなディーンを病院に置いたまま3日もネットサーフしたり、電話かけたりしてたの?そりゃ、最後の時を行方不明の父ちゃんはまだしも、せめて可愛いサミーとだけでも一緒に過ごしたくて、兄ちゃん無理やり退院もしてきちゃうっつうの!!)
なんのために。兄ちゃんを助けるためだよ。父ちゃんの友達の、Joshua、彼が電話をくれて。ネブラスカにいるある人のことを話してくれたんだ。専門家だって。俺を安らかに死なせるつもりはないんだな?兄ちゃんを死なせたりするもんか!これ以上言うことなし。僕らは(ネブラスカに)行くよ。


ということで、雨でぬかるむ道をImpalaを走らせてやってきたところには、病人が沢山集まっていました。
Impalaから降りた(またまたほんとに可愛い!Hoodie姿の)ディーンは、「Faith Healer(信仰治療師), Roy Legrange」 なんていう看板を目にして眉をしかめます。
そして、助け起こそうとするサムのでっかい手(ほんと簡単にディーンを持ち上げられそう)を振り払い;


Dean: “Man, you’re a lying bastard. You said we’re going to see a doctor.”
  (お前、嘘つき野郎が。医者に会いに行くって言いやがったくせに)

Sam: “I believe I said a specialist. Guy’s supposed to be the real deal.”
  (俺は、専門家、って言ったと思うけど。この人、本物だって話なんだ)


こんなテントで人を治療してるような男のところに俺を連れてくるなんて信じられない!などなど文句を言い続けるディーン。その場には、信仰治療はいかさまだ、なんて反対運動をしている人もいます。


Sam: “When people see what they can’t explain, there’s controversy.”
  (人が説明のできないものを眼にした時には、論争が起こるものなんだよ)

Dean: “But come on, Sam, a faith healer?”
  (だけどな、勘弁しろよ、サム、信仰治療師だって?)

Sam: “Maybe it’s time to have a little faith, Dean.”
  (ちょっとは faith(信心)ってものを持つ時が来たのかもよ、ディーン)

Dean: “You know what I got faith in? Reality. Knowing what’s really going on.”
  (俺がどんなものに faith(信念)を持つか知ってるだろ?現実だよ。現実に起こっていることを知ることだ)

Sam: “How can you be a skeptic with the things we see every day?”
  (俺達が毎日目にしているものを見てて、どうしてそんなに疑り深いんだ?)

Dean: “Exactly. We see them. We know they’re real.”
  (まさにそれだ。俺達はこの目で見てる。だからこそそれが本物だってわかるんだ)

Sam: “If you know evil’s out there, how can you not believe good’s out there?”
  (邪悪なものがそこにあるってことを知っていて、どうして善がそこにあるって信じられないんだよ)

Dean: “I’ve seen what evil does to good people.”
  (俺は、邪悪なものが善良な人たちに何をしてきたこの目で見てきてるんだ)


実は、ディーンが Faith というものに対してこうした認識を持つようになった理由は、セカンドシーズン第13話「Houses of the Holy」の中で、ディーンが自ら語っています。
以下、セカンドシーズンのネタバレです!
「ママは、天使はいつも皆を見ていてくれる、って言ってたけど、天使はママを守ってくれなかった」って。4歳の小さなディーンが目撃した衝撃的なママの死、そしてそれからの辛い生い立ちの中で、ディーンはモルダー同様、神様なんかいないんだ、と神様に対する faith を捨ててしまったのですね。

ここでまたより道になりますが、色々萌シーン満載なことでも知られる「Paley event」(YouTubeでは、なんと10分割されて公開されてます!)の映像をご覧になった方はいるでしょうか?私は最近やっと全編に目を通したのですが(その内このイベントでの萌台詞もいくつか取り上げて日記でご紹介したいと思っています)、あのイベントの中のジェンセンに対するファンからの、
「あなたは信仰厚い家庭に育ったと聞いているけど、(無神論者みたいな)ディーンを演じることに抵抗はないの?」という質問に対して、
「確かに俺は、信心深い家庭で育って、…おばあちゃんなんか、(俺の仕事を見て)時々泣いてるみたいだけど…」なんて答えています。
(さらに脇道に逸れるけど、このジェンセンの生い立ちをストーリーのテーマに据えた 「A Slow Cadence」というタイトルの Slash小説 も CW-RPSサイトで現在連載中です。 Fan girls って本当にインタビュー映像の細かいところまで良くチェックしてます!)


そこへ「もしかしたら、神様って謎めいた仕事をなさるのかもね」なんて割って入った女性の声。はっ、っと兄弟が声のするほうを振り返ると、傘を差した、金髪美人が立っていました。「そうかもね。君のおかげで考えが変わったよ」なんて途端に笑顔になったディーン。「でしょうね」「俺はディーン。こいつはサム」「レイラよ」「神様を信じないのに、どうしてここへ来たの?」「明らかに、俺の弟が俺の分まで信じてるから、ってとこかな」お母さんに呼ばれて立ち去ったレイラを見送り「彼女が謎めいた仕事をしてくれそうだ」なんて、とりあえずやる気になったディーン。

テントの中に入り、やる気満々のサムに引きずられて、前列の席に腰を下ろした二人、黒いサングラスをかけたロイが、ありがたい神様について演説を始めると、「本当は俺達の財布の中身にしか興味がないくせに」なんて思わず本音をもらしてしまったディーンは、壇上にあがりなさい、なんて呼ばれてしまいます。ディーン行けよ!なんて興奮状態のサムに対して、俺はいいです、誰か他の人を選んでください。なんて乗り気じゃないディーン。
私が選んだのではなく、神が君を選んだのだ、なんていうロイと、立てって!なんてさらに興奮しているサムの気迫に負け、ディーンはついに壇上に上がります。
そしてロイの手を頭にかざされたディーンは、皆が注目している壇上でそんな顔みせちゃ駄目!!というほどの色っぽい顔で、その場に崩れ落ちてしまいます。

慌てて駆け寄ったサムが、ディーンの胸倉を乱暴につかんで「Say something!」なんて揺すると(もっとさぁ、優しく抱き上げてそっと声をかける、とかできなかったの?)ディーンは、うっと意識を取り戻し、ロイの向こう側に不気味な黒スーツ姿の老人を一瞬目撃します。


場面は変わって、病院にいる二人。ディーンが本当に治ったのか確かめに来たらしいのですが、先生によると「あなたみたいな若い人では奇妙でもなんでもないことだけど、心臓はどこも悪くないわ。でも奇妙なことってあるのよね」「奇妙なことって?」「昨日のことよ、あなたみたいに若いスポーツマンの27歳の青年が、突然心臓発作で亡くなったの」
(元気になったディーンはもうあの可愛い hoodieを着ていません…。弱った身体を冷やさないように、という気づかいから着ていたのかしら)

意識を取り戻した時に不気味な老人の姿を目にして以来、どうにもおかしな感じを拭い去れない、というディーンに、ホントになんかあの場にいたんなら、僕も見ていたはずだよ、ここんとこ、うんざりするほど変なものを見てるんだから。とさりげなく、ますますサイキック能力に磨きがかかってきていることを告白するサム。


Dean: “Oh, well, excuse me, psychic wonder. You’re sure need a little faith on this one. Sam, I’ve been hunting long enough to trust a feeling like this.”
  (なあ、悪いけどな、サイキックワンダー。この件については、ちょっとはfaithってもんが必要だぜ。サム、俺はこういう感覚を信じるのには充分なほど長いこと狩りをやってきてるんだ)


調査の結果、ロイはなんらかの黒魔術を使って死神(Reaper)を操り、同性愛者や中絶に賛同する人など不道徳だと思われる人間の命と、病に苦しむ人たちの命を交換しているらしいことを突き止めた二人。
これ以上罪もない人を死なせないため、次のロイの Service を妨害し、その間に黒魔術の秘密を探り出そう、ということになったのですが、よりによって次のロイの治療の対象に選ばれたのは、あの金髪美人のレイラだったのです。
レイラを助けてやりたいという気持ちと葛藤しながらもロイの治療を妨害し、さらに黒魔術を行っていた張本人がロイの妻スー・アンだったことを突き止めたディーン。
黒魔術の祭壇とスー・アンが持っている十字架の両方を壊せば、ということで、二人はその晩のロイの service にまたやってきます。

Impalaの中で、俺の代わりにレイラが治療されていれば、彼女は今頃元気になってた、今日の治療を受けられなければ、彼女は数ヶ月の内に死んでしまうんだ、と自分の命を救われたことに罪悪感を感じているディーンに、兄ちゃんだって自分でいったんだろ、人間が神を演じることなんてできないんだ、というサム。
でも、仮にディーンの治療がまだだったら、サムはこんなこと言うでしょうか?今回のサムといい、S2第1話「In my time of dying」の父ちゃんといい、ことディーンの命がかかっている場合、常識のかけらもなくなる二人です。それに対して、ディーンはそうするだけの価値もない(と自分で思っている)自分の命のために、自分以外の命を犠牲にしたことで、その後ずっと激しい後悔の念にさいなまれることになるのです。

ディーンが再び治療を妨害している間、祭壇を見つけたサムは、なんと祭壇に可愛い hoodie 姿のディーンの写真を発見!(スー・アンったらいつの間に!これってテント内の防犯カメラの映像から落としたやつですね。私にも一枚…)
そこに現れたスー・アンに「あなたのお兄さんの命をまた取り上げるわ」と言われ、そんなことさせるもんか!と大きな祭壇を倒した怪力サム。でもスー・アンの十字架を壊す前に、サムは地下室に閉じ込められてしまいます。
スー・アンの新しい標的となったディーンが死神に命を吸い取られている最中、馬鹿力を駆使して地下室を抜け出してきたサムがスー・アンの十字架を壊し、死神はそれまで自分を操っていたスー・アンの命を奪って去っていき、レイラの治療はまたしても完了しないまま終わってしまったのでした。


そしてラスト。

モーテルの部屋で、町を出る準備をしながらも、まだディーンが罪悪感にさいなまれていると、ノックが。
あらわれたのはレイラ。
なんとサムが、ディーンがさよならを言いたがっているから、と呼んだというのです。
(こんな考え方するのは、あまりにひねくれているかもしれないけど、表面上、あまりに落ち込んでいるディーンの気持ちをなんとかするためといいつつ、数ヶ月で死んじゃうレイラなら、脅威にならないだろう、とサムの胸算用があったような気がしてなりません)

ソーダでも飲んでくる、なんて言って、サムが部屋を出てしまうと、「案山子」の回に続き、またしても全然色気を出さなくなるディーン。ベッドに並んで座った美人二人、さすがに今回、ディーンにも本気のキスシーンが訪れるか、と思いきや。当たり障りのない会話が済んだと思ったら、ディーンの頭にそっと触れただけで、立ち上がってしまうレイラ。


Dean: “You know I’m not much of the praying type—but I’m gonna pray for you.”
  (知ってのとおり、俺はお祈りなんてするタイプじゃないけど…、君のために祈るよ)

Layla: “Well, there’s a miracle right there.”
  (ほら、こんなところにも奇跡が起こった)


シリーズ全編をとおしても、随一の美しいシーンで今回のエピソードは終わりです。


次回は、今回の日記内でもちょっと触れた「Paley event」について触れてみようか、 と思っています。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

こんばんは、二重投稿失礼いたします、キョウです。
上のツリーに投稿後、ネトサーフしようと思いましたがあまりにも眠く、まだ読んでいない藤葉さんの記事を読んでから寝ようと思い立ってこうして書き込んでいる次第であります。

"FAITH"、私の好きな話の一つです。
上から、あまりにも上から目線で何様ですが、非常に完成度の高い脚本だと思います。
オチがとてもいいですよね!

ご指摘の通り、兄弟のキャラの違いがよく解るエピソードでもあり、サムが初めて明確に「愛してるから死なせやしない」と言った(言ってない言ってない;)萌え死に回でありますし!
そして(多分)一種のタブー、信仰心について一歩踏み込んだお話で、私はけっこうこういったネタが好きだったりします。(私自身は信仰心というものは持ち合わせていません。)

最近通いだした整体の先生がカトリック信者であるらしく、先日ちょっと基督教談話をしたのですが、その中で「赦し/許し」について日本人と西洋人の解釈の違いを話されていました。うろ覚えですが、日本人にとって「許し」は「乞う」もので、西洋、特に基督教信者にとっては「赦し」は「与える」ものなのだそうです。
日本語だと「許して/下さい」と書くように、「許し」は「下される」つまり恭しく「頂く」感じですが、英語だとそれに相当する言葉は「Forgive me」となり、どちらかというと「与えてくれるのを待つ」みたいなニュアンスになるのだとか。
無学な私には解ったようでよく解らないお話でしたが、ちょっとでもご考察の足しになるかと思い、勢いのままに書かせて頂きました。
ふと思い出したもので・・・;

藤葉さんにつられて私も妄想すると、サムの無条件の愛(!)を与えられることによって、愛を求める事も与える事も不器用なディーンがお話の最後でレイラに「祈り」を与えることが出来た・・というのがこのお話のキモかなあ〜なんて・・・
サムの愛がディーンを変えた、みたいな(違)
すみません、深夜に書き込むものではないですね。
完全に頭が沸いてます。
お目汚し失礼いたしました;;

今日はこのまま妄想に浸りながら(幸せ・・・v)床につこうと思います。
ではまたv

藤よう さんのコメント...

キョウさん、おネムのところ、こんな長~い妄想日記を読んでいただいて、お疲れ様でした。

自由な腐女子生活を満喫するようになって、Jensenではありませんが、ほとんど全くテレビというものを見なくなった私、夜は「疲れた!」と思ったら無理せず、(例え夫が帰宅していなくても)寝る、そして、朝は目が覚めたら起きる(というか、夜の間に誰かが書き込みしてくださっているかも?という淡い期待にうきうきして目が覚める)という感じで、皆さんの深夜に近い早朝から置きだしてパソコンの前に座っていることもしばしば(笑)

「Shapeshifter」に続いてこの「Faith」は、普段は軽くてふざけてばかりいるDeanの本当の心が垣間見える秀逸なエピソードですよね。

その内に、父と息子二人の関係について、ゆっくり考察してみたい、という誘惑に最近駆られています。
今回のエピソードを細かく見直していて、死を宣告されたDeanのことを三日も父ちゃんに連絡しなかったサムに驚かされたりしたもので。
でも1stシーズンもまだまだこの先大変なことになっていきますもんね!
シリーズ後半のエピソードはDVD購入時、勢いで一気にダーっと見たきりで(その後セカンドシーズンのエピソードを無理やり字幕無しで追いかけたりしてるので)、改めて見直してみると結構忘れてることも多くて、なんだか新鮮です。