久々にこのタイトルで考察を行います。
Slash…、何年読んでいても全く飽きないのですが、どういう作品を好んで読むか、については、私にもそれなりに変遷がありました。
X-Files のSlash に入門した当時、既にウェブ上に公開されている作品数は、まじで星の数ほどと言うしかないくらい大量にありまして、一体どこから手をつければいいのよ!!! と途方にくれるしかない状態。
でも確かにそこにはお宝がザックザックと埋まっていて、どこでも掘り返しさえすれば金脈が現れることは確実だ、ということは、当時、完全なひよっ子Slasher だった私にも本能的にわかっていました。
しかし片っ端から読んでいく、としたとしても、読むスピードも現在と比べたら亀のような遅さで、しかも苦労して読み進めていった挙句、お話にならないような素人くさい作品だったり、なによりもスキナー受けとかだったら!(marsaさん、もし遊びに来てくれてたら、すみません(笑))どうしたらいいの??!!なんていう恐怖もありました。
ところが現在でも健在の「the Basement」という、それこそ巨大な老舗のX-Files のSlash archive には、Pairingや文章の長さといった分類に混じって、なんと「Award Winning Stories」というソート(検索)ボックスがあるのです。
つまりこのサイトでは、読者からの人気投票により、高評価を受けたSlash作品(複数)には、毎年、賞が授与されていたということで…。(2005年以降は残念ながら、もうこの活動は中止されたみたいです)
このAward Winningのソートボックスで出てくる作品の中から、好みのPairing(私の場合、モル/スキ)を選んで読んでいけば、はずれって事はないんじゃないか、とあたりをつけました。
このBasement というサイトでは、文章の長さは文字数ではなく、キロバイト(k)換算になっていて、100k以下なら、新米の私でも無理なく読める、ということも分かってきました。
ということで、「Award Winning Stories」の中のMulder/Skinner、NC-17(もちろんです!)、100k以下、この三つの条件に当てはまる作品を片っ端から読んでいこうと決め、それを実行すると、これがほとんどはずれなし!
海の向こうでも(いや、この場合、海のこっちは私だけなんですけど…)、スキナーさんはご主人様であり、Total Top である方が人気が高いらしいことが伺え、長い隠れ腐女子人生の中で初めて!多数派に所属した自分を実感しました。
そしてこれは現在のSupernatural Slashを読む上でもやってることですが、「このお話は気に入った!」と思う作品に出会うと、そのお話を書いた作者さんの名前からソートをかけて、その作家さんの作品を全て読んでいく、という風に読み進めていくと、ほとんどハズレ無しにどこまでも、どこまでも、どこまでも Slash Archive という大海に潜っていくことができたのです。
そうやっている内に、どんなに長い作品も「この人が書いた話なら…」という信頼感をもとに抵抗なく読み進められるようになり、数年たって、気づけば現在の私ができあがっていました。(一体、何になったんでしょう?)
では、どういうお話を「これだ!」と思うか、ですが、基本的に、超甘党でハッピーエンド志向の私は、心に傷を抱えているモルダーを盛大に甘やかしつつもポイントポイントで手綱を締めて制御するご主人様副長官が大好物。
時には、モルダーとクライチェックの二人をペットとして受け入れたり、なんていうのも許容範囲です。
とにかく、Angst満載の本編エピソードで積もり積もった欲求不満をSlashで心地よく癒して、それを糧にさらに深く本編エピソードにのめり込んでいく、というスパイラルパターンが出来上がり、Slasherとして成長するのとともに、立派なX-Files フリークにも成長した、という結果に。
そして現在、ここまで急速にSupernatural Slashの深みに嵌まり込んだ原因も、長年知らず知らずに磨き上げてきたAngstドラマの甘甘Slashを読むための基本(渇望と癒し、とでもいうか)に、あまりにぴったりとこのSupernatural Slashというものがフィットしたから、なのかもしれません。
文章を読むスピードが格段に速くなっているという点が大きな助けになっているとしても、「これだ!」と思う作品を探し出す嗅覚も確実に向上していることを最近実感している私です。
ところが、極度の甘党である私も連日大甘ストーリーに浸っていると、たまにはピリッとAngstなんかもいいかもね、なんていう気分になってきます。
そうやってちょっと緊張感をもって、Angst作品にトライし、それが名作だったりすると、号泣しながらまた別の意味で癒しをもらったりする結果にもなります。
そうやって甘党(Shmoop)であろうと辛党(Angst)であろうと正統派の名作を心底堪能した後で、次にやってくるのは、これがまだ上手く日本語が見つけられないのですが、皮肉系とでも呼ぶべきジャンル(Crack)です。
Slashとはあくまでfanfictionの一ジャンルで、ファンが自分のお気に入りのキャラクターを使って好きなようにお話を作っていくものなのですが、そうは言っても、原作となるドラマ内での登場人物のあり方や、RPSなら、モデルとなる現実の俳優さんの(一般に知られている)性格なんかをもとに、ありえそうな設定でお話を作っていくということが基本にあるので、現実としてある程度、キャラクター設定も何パターンかの有力な設定の中に納まってくることになります。
(美人で心に傷を抱えるJensenとか、大型犬の子犬みたいな元気一杯のJaredとか、誘われれば誰とでも寝てしまいかねないSlut!Jensenとか、Jensenがとにかく大好きで誰にたいしても焼きもちを焼くJealous!Jared とか…)
折角のフィクションなのに、そんな制限を設けたら面白くないじゃない、と思われる人もいるかもしれませんが、上に挙げた約束事にある程度縛られないと、ドラマのキャラクターや俳優さんの名前を借りただけの、全然現実味のないお話になってしまって、別にこのキャラじゃなくてもいいじゃない!ということになり、結果的に読者としては、作者の自己満足以外のなにものでもない、とんでもないBad Fictionを読まされることにもなりかねないのです。
(こういう作品に当たると消化不良というか胸焼けみたいな感じになり、本当に酷い目に遭います…)
そして実は、今回の考察で一番のポイントとして、皆さんにご紹介したいと思っている、Crack というジャンル。
これはある作品のSlashの常識的な設定を一部もしくは全て打ち壊した、もしくはひっくり返した設定で、お話をつくるというジャンルです。
それが上のBad fictionとどう違いがあるの?と思いますか?
これが実に際どいところなんです!
作者の腕次第で、このCrackというジャンルの作品は、それこそ最悪も最悪のBad fictionになってしまう可能性を持っています。
なので私の場合、よっぽど信頼の置ける作家さんの手によるものか、信頼の置ける作家さんが「面白い!」と太鼓判を押しているものでない限り、Crackには手を出さないようにしているほどです。
でも上手い作家さんの書くCrackは、まじで!お腹がよじれるほど!!面白いんです!!!
ここで大事になるのは、読者が無意識に抱いているキャラクター設定をとんでもない方向からひっくり返してキャラクターを作り上げながら、それでも読者の頭の奥底の正統派のキャラクター設定とは絶妙な感覚でリンクが切れないようにする、という職人技。
(これは計算でできるものではなく、まさに作者のお笑いに関する天性の感覚とそれを文章に移す超絶技量が試されることになります。…って、ちょっと妙に大げさになってきてますが(笑))
読者としては、そういう微妙な視点に立って読むことができるからこそ、本来絶対言わない台詞を言ったり、ありえないことをやらかしたりする登場人物の様子が面白くて!楽しくて!!たまらない!!!ということになるわけです。
最近、大好きな作家さんである、keepaofthecheez さんと、la_folle_allure さんの手によるCrackを立て続けに読む機会があり、やっぱりこの人たち天才だ!!!!!と心底感服した私なので。どうも話が大きくなってしまいました(笑)すみません…。
「Crack」読んでみたいですか?
う~ん…。Crackを心から楽しむためには、Slash検定(いつからそんなものが…)中級以上の力が必要になりますが…。
(とにかく設定もストーリーもめちゃくちゃなことが多いので…、大きな視点と気持ちでお話全体を受け止めよう!という心の余裕が必要になるのです。ジェンセンは!ジャレッドは!こんなこと言わないもん!しないもん!なんて怒り出すようではまだまだ、Crackには早すぎます。)
とはいえ、これだけ煽っておいて、何も無しというのではあんまりなので(早くも)次回のSlashへの考察で、取り上げようと思っている、知る人ぞ知るMPに絡む短編 Crackがありますので、一つご紹介しておきます。
私が確実に天才だと認める作家、keepaofthecheezさんの CRACK です。
http://keepaofthecheez.livejournal.com/196765.html
でも本当の次回は、Paleyの続きを!と思っております…。
2007年4月2日月曜日
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2 件のコメント:
藤葉さま。
どっ、どうしたんですか!?1日に2つも更新されて次の日もしっかり更新。この怒涛の更新に何故か少々動揺しておりますkyuです。いや、ホンマぶっ倒れないで下さいねー。
改めまして、こんばんは。kyuです。
「Paley~(その4)」お疲れ様です。色々と撮影の裏話やら設定話などオイシイ話ばかり。ありがとうございます。藤葉さまのレポを踏まえて、再度映像を見てみようと思います。もう少し聞き取れる単語があるかもしれない?
そして「考察(その5)」。今回も読み応えのある話。おススメされているCrack というジャンル、読んでみたいとは思うのですが、今はただ単語を拾い読みしている私では難しいだろなぁ。まさにSlash検定中級以上の実力が必要だと(笑)微妙な視点に立って読めるようになったら本当に面白いでしょうね。ちょっと試しに紹介されていたCrackの赤文字(多分、意味があるんですよね?)を中心にサラッと読んでみたのですが、想像力豊かなジャレッドが「ジェンセンに○○が出来ちゃ…(どこまで表現してよいのやら)」という夢を見ちゃって、夢の中でパニックってる話…で合ってます?眠気と戦って読んだので全く自信がないのですが…。お話の中で、「(your babyと言われて)パニックに陥ったジェレッドが、叫びながら部屋を飛び出してドレッサーに頭をぶつけた」というシーンが、何か可笑しくて笑えました。勝手にギャグ話と思っているのですが、そもそも全然話が違ってたら…作家さん、ゴメンなさい、もっと修行します。
kyuさん。
ど、どうしたんでしょう?この邪エネルギー(笑)
実はここ一週間ほど体調悪くて、いつも以上に引き篭もった生活をしていたため、いつもにも増して、腐のエネルギーが溜まってしまったみたいです。
実は、今回ご紹介したJaredの夢シリーズまだ他にもありまして、その中では一番これが読みやすいかなーと思った作品なのです。
こんなに短い作品なのに、ちゃんとお話の導入部でさらっとJaredの家族の証言とか、学生時代の思い出みたいなのが出てきて、いかにも「どんな馬鹿げた夢でも見ますよ、この子は」とでも言うように、うまくキャラ説明がされてますよね。
最後に、大慌てであるモノを取るためにベッドから転げ落ちるJaredを見て、Jensenが夢の内容にピンと来て大笑いする、っていうオチも効いてます。
本当にご紹介したいCrack!沢っ山あるのです…。
その内、Crack祭りでもやろうかしら…。
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